金と銀の購入が過去3年間で最高へ
金と銀の購入がBREXIT(英国のEU離脱)後、米大統領選を前に増加しています。ブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュがここで、その背景を解説しています。
7月に個人投資家の金と銀の購入が、金・銀相場が急落した2013年4月以来の高い水準へと増加しています。
この7月の金と銀の需要の大幅な増加は、6月末の国民投票で英国のEU離脱(BREXIT)の結果が出たことで、金相場が2年ぶり、銀相場が3年ぶりの高さへ上昇している中で起こりました。そして、ブリオンボールトにおいては、金購入者数が前月比1.5%増、銀購入者数が38%増加しています。
そして、売却者数においては、7月に価格が上昇し、利益確定や損切りの機会でもある中、6月の記録的な高い水準からは下げ、金においては23%減、銀においては6%減となっています。
そのため、月間の金購入者数と売却者数のバランスを算出し、金投資家の投資傾向を数値化しているブリオンボールトの金投資家インデックスは、7月に53.4と、6月の51.4から上昇することとなりました。
この数値は、他の金や銀の市場データ同様に投資家の傾向を表しますが、今後の投資に関するアンケートとは異なり、世界最大の金・銀現物オンライン市場を運営しているブリオンボールトで実際に行われた取引をベースに算出されています。
この数値が50である場合は、その月の購入者数と米客車数が完璧に一致したことを意味します。
金投資家インデックスは、今年5月に過去3年間で最高の55.8まで上昇していました。そして、金相場が史上最高値となった2011年9月には、71.7へと史上最高を記録しています。
ブリオンボールトの銀投資家インデックスは、
今年の金と銀投資のリターンは、2016年の価格の上昇から個人投資家に堅固なものを提供しています。
7月の新規顧客の資金入金数は、過去3年で最高であった6月の記録的な水準には劣ったものの、過去12ヶ月の平均値を63%上回っています。また英国の顧客に限ると、その数値は97%上回っています。
さらに、米国の新規顧客数は2012年2月以来の高さで、過去12ヶ月の平均の66%増で、ユーロ圏の新規顧客数は、ドイツとオランダとベルギーが牽引し20%増であることもデータから明らかとなりました。
6月末のBREXITショック後、地金への需要は増加し続けています。これは、今年11月に控えた米大統領選へとその懸念がシフトし、現実のものとなっていることを示していると考えます。
先月のようなの金・銀価格の上昇は、本来既存の顧客にとっては利益確定、もしくは損切りの機会を与えることになりますが、世界の主要中央銀行が経済成長やインフレ率を上げるためにより一層力を入れ、マイナス金利やさらなる量的緩和を導入する中、より多くの個人投資家を金と銀投資へと向かわせているのです。
ブリオンボールトにおける取引量は、個人投資家の売却が減少する中、前月6月の過去5年間の記録となった1億1900万ポンド(約160億7233万円)から、8800万ポンド(約118億8542万円)へと減少しました。しかし、これは2015年の年間平均の4500万ポンド(約60億7777万円)のほぼ倍と未だ高い水準となっています。
重量にすると、7月にブリオンボールトのユーザーの金売却は多少ながら購入を上回ったために、13キロ減少し、6月の過去最高から0.04%減の35.2トンとなっています。
それに対し銀は、0.3%増の603トンと最高記録を新たに更新しています。これは、ブリオンボールトのユーザーは、価格がドル建てで42%上昇しているにもかかわらず、過去6ヶ月間に銀保有量を56トン増加させたことになり、これは2011年から2012年の冬以来の大幅な増加量となります。