ニュースレター(7月3日)1167.95ドル 週末のギリシャの国民投票を待つ中、米金利引き上げ観測から金は押し下げられる
週間市場ウォッチ
先週金曜日のLBMA金価格のPM価格は、トロイオンスあたり1167.95ドルと、前週同価格から0.2%下げています。
週明け月曜日は、週末にギリシャが7月5日に国民投票を行うことを発表したことから、ユーロ圏の財務相が金融支援の延長を拒否し、ギリシャが同日か ら資本規制を導入することを前日日曜日に発表したことから、アジア時間取引開始と共に安全資産としての金が買われ、金相場は上昇しましたが、その後緩やか に下げることとなりました。
同日の中国の金利引き下げや米国中古住宅販売成約数のが予想を下回ったことなどは、影響をあまり与えなかった模様で、欧米株価が同日下げる中、金もリスクオフとなった模様です。
翌火曜日は、株式市場が前日の反発で上昇する中、金相場は下げ幅を広げていましたが、トロイオンスあたり1167ドルへと下げた段階で切り返す事となりました。
同日ギリシャ情勢は、ギリシャが欧州安定メカニズム(ESM)活用の2年間の救済プログラムを要請し、これを受けてユーロ圏財務相による電話協議が開かれ ましたが、メルケル首相が国民投票より前にギリシャからの提案を協議しないと述べたことも伝えられていました。
なお、同日が期限であったギリシャによるIMFへの債務返済は行わませんでしたが、IMFは債務不履行ではなく返済延滞とみなしています。
同日発表の主要経済指標では、米国ケース・シラー住宅価格指数とシカゴ購買部協会景気指数が予想を下回ったものの、米消費者信頼感指数は予想を上回り、市場へは影響を与えなかったようです。
水曜日は、米国ADP全国雇用者数が今年に入り2番めの高い水準となり、米ISM製造業景況指数も予想を上回ったことなどから、ドルが強含み金相場は下落することとなりました。
また、ギリシャ情勢では、ギリシャ首相が譲歩する内容の書面をEUに送ったことなども伝えられ、株式市場は堅調な動きとなりました。
木曜日は、市場注目の米雇用統計が発表される前に、ADP全国雇用者数同様の良い結果の観測が広がり、今年3月以来の低い水準の1158ドルへと金相場は 下げていましたが、非農業部門雇用者数は223,000人と、予想の23万人と前回修正値25.4万人(28万人から下方修正)を下回り、4月分も下方修 正されたことから、その下げを多少戻すこととなりました。
ちなみに、失業率は5.3%と前回5.5%と予想の5.4%から改善したものの、注目されたのは、労働参加率が62.6%と、前回の62.9%から 下げ、平均時給は0.0%と前回修正値と予想の0.2%より悪く、平均時給も前年比2.0%と前回の2.3%よりは下げていたことなどです。
なお、欧米株式市場は、明日からの米国の3連休を前に、ギリシャ情勢を見極めることなどからも、全般下落することとなりました。なお、ギリシャの国 民投票で改革案が受け入れられた場合、ギリシャ財務相は辞任することをブルームバーグとのインタビューで語ったことが伝えられていました。
本日金曜日は、米国市場が独立記念日の祝日であることからも、狭いレンジでの取引となっています。
その他の市場のニュース
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中国株式市場の急落を受けて、中国が火曜日に昨秋4度目の利上げに踏み切ったこと。 -
ギリシャのIMFへの支払いが延滞したことから、ギリシャ国債格付けが、ムーディーズやS&Pで引き下がられたこと。 -
今週ロンドン貴金属市場協会が、上海黄金交易所(SGE)と相互間で、9999キロバーのスペックに同意したことが発表されたこと。
ブリオンボールトニュース
ギリシャ危機が混迷を深める中、ユーロ圏における金の需要が高まっていることを伝えるブルーンバーグの記事で、ブリオンボールトにおける金の需要が高まっていることも伝えられました。
この詳細については、日本語で金関連情報を網羅する、ゴールドニュースサイトの「【金市場分析&リサーチ】ECB量的緩和とギリシャ危機で金投資が2012以来の高い水準で進む」でご覧いただけます。
今週の主要経済指標の結果は、下記のリンクでご覧いただけます。
ロンドン便り
今週、英国主要メディアは30人もの英国人が犠牲となったチュニジアの銃乱射事件について広く伝えていますが、同様にこの時期の風物詩であるウィンブルドン、そして、イングランドチームが準決勝に進出したワールドカップ女子サッカーについても大きく伝えていました。
そこで、今週は英国メディアにおけるイングランド女子サッカーチームの報道についてお伝えしましょう。
イングランド女子チームは、これまでのワールドカップでは準々決勝が最高位であったことから、初の準決勝に国中が湧いていました。特に日本は前ワールドカップの優勝チームであるものの、イングランドチームとの対戦記録では、イングランドが上回っていることなどから、期待はかなり高いものがありました。
そのため、1日に日本にオウンゴールで敗退した翌日の見出しは、「これほどまでに辛いことがあるだろうか(タイムズ紙)」、「イングランドのワールドカップの悲嘆(BBC)」、「胸が潰れるようなオウンゴールでイギリスの夢が消えた(ガーディアン紙)」などというものでした。
しかし、「Lioness(雌獅子)」と呼ばれているイングランドチーム健闘を全てのメディアが称えていました。
ちなみに、「ガーディアン」紙は、巧みなパス交換を行う日本代表を「幾何学に取りつかれたW杯覇者」と形容し、また「キラー」との異名を持つ岩渕真奈選手の投入が、「イングランド代表にあらゆる種類の問題をもたらした」とも述べていました。
また、他のメディアでは試合後に日本チームがイングランドチームに対してとても同情的であったと好意的に伝えています。
こうして、男性サッカーチームの影に隠れていたイングランド女性サッカーチームの躍進で、7月5日の米国と日本チームとの決勝にも、英国ファンも注目することになりそうです。