ニュースレター(5月8日)1186ドル ギリシャ懸念、債券利回り上昇、米雇用統計が発表される中、レンジ内の動きに留まる
週間市場ウォッチ
今週金曜日のPM Fix金価格は、トロイオンスあたり1186ドルと、前週同価格から0.8%下げています。
週明け月曜日金相場は、英国や日本が祝日の中、前週金曜日の下げの反発から緩やかに上昇しました。
翌火曜日は、英国時間昼過ぎに発表された米国貿易収支が予想以上に赤字幅を広げたことから、トロイオンスあたり1200ドル近くまで上昇し、緩やかに戻すこととなりました。
水曜日は、英国昼過ぎに発表されたADP民間雇用者数が、予想の20万人を下回る16.9万人であったことから、金相場はトロイオンスあたり1196ドルまで上昇した後、再び押し戻されることとなりました。
これは、米雇用統計を金曜日に控え、ギリシャ情勢も来週月曜日のユーロ圏財務相会議で合意に至らなかった場合は翌日のIMFへの返済ができないこと、また、イエレンFRB議長が前日、国債利回り急上昇の可能性を指摘したことから、米・独の国債の利回りが上昇していることからも、金相場がレンジ内での動きを続けざるを得ない状況となっている模様でした。
本日金曜日は、注目の米国雇用統計が発表され、非農業部門雇用者数223,000人と前回126,000人を上回ったものの、予想224,000人を少なからず下回り、前回数値は88,000人に下方修正されました。そして、 米国失業率は5.4%と前回5.5%から改善し予想通りとなりました。
この発表直前に金相場はトロイオンスあたり10ドルほど上昇したものの、発表後即座にその上げ幅を失い、再び上昇したものの発表前のトロイオンスあたり1184ドル~1186ドルあたりへと戻しています。
なお、ハング・パーラメントが予想されていた英国総選挙の結果が、保守党の単独過半数獲得となったことから、英国株価とポンドが上げ、一時ポンド建て金相場はトロイオンスあたり15ポンド下げ、今年の再低値へと下落することとなりました。
その他の市場のニュース
- 東京商品取引所が新しい金先物取引の「東京ゴールドスポット100」を開始したこと。
ブリオンボールトニュース
英国の主要経済サイト「This is Money」の、金の投資方法と購入時期について解説している記事で、ブリオンボールトにおいて、4月の需要が20ヶ月来の水準へ高まったことと、それに関するブリオンボールト・リサーチ主任のエィドリアン・アッシュのコメント、「英国総選挙とECBの量的緩和による為替リスクへの懸念が、金への需要を高めた明らかな要因だ。」が取り上げられました。
今週の市場分析ページには下記の記事が掲載されました。
ブリオンボールト・リサーチ主任のエィドリアン・アッシュの「2015年の金投資センチメントは上昇基調」
今週の主要経済指標の結果は、下記のリンクでご覧いただけます。
ロンドン便り
日本でも伝えられているように、英国総選挙が昨日行われ、投票が締め切られた昨夜10時からは夜通しで開票結果が伝えられていました。
結果は、御存知の通り、ハング・パーラメントが予想されていた事前世論調査等の結果とは大きく異なり、保守党が単独過半数を得て、キャメロン保守党党首が組閣に着手することとなりました。
今回の選挙では、保守党が予想以上の331議席を獲得したとともに、スコットランド国民党(SNP)がほぼスコットランドの59議席の全てとも言える56 議席を獲得するなど、前回から50議席増と、「選挙の上での津波(Electoral Tsunami)」と英国主要日刊紙のインディペンデント紙は表現しています。
そして、先の2党に議席を失った、労働党と自由民主党の両党首のエド・ミリバン氏とニック・クレグ氏は本日即座に辞任を表明しています。また、獲得投票数 は全体の13%と、2大政党の保守党と労働党に次いだものの、議席は1つしか獲得できなかったイギリス独立党党首のナイジェル・ファラージ氏も同様に辞任 を 表明しています。
今回の総選挙で躍進したスコットランド国民党は、昨年スコットランドの独立を問う住民投票で、独立運動を牽引した政党であり、昨年の住民投票では敗れたものの、スコットランド独立を目指しています。
そのようなことから、キャメロン保守党党首は、本日の首相官邸前でのスピーチで、「一つの国家としての英国」を強調すると共に、全ての国(スコットラン ド、ウェールズ、 北アイルランド、イングランド)の権限移譲を進め、英国の欧州連合加盟継続の是非を問う国民投票を実施することを公約通り行うと述べていました。
今日は、保守党政権下の今後5年間に、英国が歴史に残る大きな変化を遂げる、新しい幕開けの日なのかもしれません。