ニュースレター(5月1日)1175.95ドル 大きな要因の無いまま上げた後に、要因無くその上げ幅を失う
週間市場ウォッチ
今週金曜日のPM Fix金価格は、トロイオンスあたり1175.95ドルと、前週同価格から0.6%下げています。
週明け月曜日は、金相場は午後3時のLBMA金価格が発表される頃に大きく上昇することとなりました。
LBMA金価格のオークションを見る限り、売り注文を大きく上回る買い注文が価格を引き上げていることが分かります。同日は、ギリシャの対EU交渉体制を刷新し、責任者から財務相を外したことが伝えられていました。
翌火曜日は、再びLBMA金価格が発表される頃に上昇することとなりました。これは、イランが米国の貨物船を拿捕したことが伝えられたことに反応した模様ですが、実際はマーシャル諸島国籍の貨物船と、後に訂正されています。
水曜日は、FOMCの結果を待つ中、ロンドン時間午後に発表された米国第1四半期GDPが予想の1.1%を大きく下回り0.2%であったことから、一時金相場は上昇しましたが、その後はレンジ内で神経質な動きを続け、FOMC発表後多少下げたものの、相場への影響は限られたものとなりました。
市場注目のFOMC声明では、予想通り政策金利は据え置かれ、「労働市場と景気に対する判断を引き下げ、少なくとも第3・四半期まで利上げ開始を待たなければならない公算が大きいことを示唆した」ことが伝えられるなど、多少タカ派的ではあるもののほぼ想定内となり、記者会見と経済・金利見通しの公表がある6月のFOMCへと注目が移ることとなりました。
木曜日は、同日発表された米新規失業保険申請件数が予想を下回る15年来の良好なものであったことがきっかけとなり、今週は特に大きなニュースのない中相場が上げ続けていたことからも、調整の売りが入り、金相場はトロイオンスあたり25ドル強大きく下げることとなりました。
本日金曜日は、前日の大きな下げを受け継ぎ、ロンドン昼過ぎに更に下げることとなりました。
ブリオンボールトニュース
英国の総選挙を前に、4月にブリオンボールトの英国からの顧客を中心に、410kgの金を積みましていたことについて、本日下記の主要英国経済誌が取り上げています。
CityWire: 英国総選挙の懸念が20ヶ月来の金の需要を生み出す
Every Investor: 金現物の需要が4月に増加
ここでは、この増加量は2013年8月以来の高い水準であり、取引量は、月間平均量の40%増となったことにも言及し、ブリオンボールトの顧客の保有する金の総量は33.6トンとなり、その評価額は8億3千万ポンド(約1520億円)となったことも伝えています。
そしてその背景として、リサーチ主任のエィドリアン・アッシュは、「先行きの不透明感がある時に人々は金を購入します。来週の英国総選挙後の混乱からのポンド安や、欧州中央銀行 の金融政策によるユーロ安などの、通貨安の懸念が4月の金需要増加の要因といえるでしょう。」というコメントを取り上げています。
今週の主要経済指標の結果は、下記のリンクでご覧いただけます。
ロンドン便り
いよいよ来週7日は、英国の総選挙となっています。そのため、日々選挙関係のニュースが英国主要メディアではトップニュースで取り上げられています。
そこで、本日は、昨日英国国営放送のBBCの主要政治番組の「Question Time」で、選挙前に最後に主要党首がこの番組で有権者の質問に答えたことに関して、英国主要日刊紙で大きく伝えられているので、英国日刊紙の政治色も含めて、伝え方の違いをお話してみましょう。
英国の日刊紙は、高級紙と大衆紙、全国紙と地方紙などと、様々な区分けがありますが、本日は全国紙で高級紙であり、ブロードシートととも呼ばれる一般紙での記事の違いを見てみました。
ブロードシートと呼ばれるものは、ガーディアン、ファイナンシャル・タイムズ、インディペンデント、タイムズ、デーリ・テレグラフなどがあります。英国の新聞はその政治色を明確に出すことから、読む新聞で読者の政治傾向が見えるとも言われていますが、ガーディアンが左派で、デーリー・テレグラフが最も右派となり、タイムズが右派である以外は、ほぼ中道と考えられています。
昨日は、先日来ここでもお伝えしてきているように、現英国首相のデービット・キャメロン保守党党首は、最大野党のエド・ミリバン労働党党首、連立政権を組んでいる、第3党のニック・クレッグ自由民主党党首とのテレビ討論を受け入れなかったことから、それぞれが一定の時間内で直接有権者の質問に答える形式の番組となりました。
その結果を伝える、先の新聞を要約すると次のようになります。
-
ガーディアン「キャメロンは育児補助金の削減がないと答えることを避けた」とし、保守党の社会保障費用を削減する可能性に焦点を置いています。 -
ファイナンシャル・タイムズ「ミリバンはスコットランド国民党と組むことを否定」とし、有権者に答えたそれぞれの党首の主要な点をほぼバランス良くまとめています。 -
インディペンデント「厳しい質問をした有権者が最も輝いていた」と、この番組を肯定的に伝えています。 -
タイムズ「スコットランド国民党党首はミリバンが(スコットランド国民党と組まないというのは)その場しのぎの嘘」とし、ミリバン労働党党首の信頼性を疑問視させる記事を掲載しています。 -
デーリー・テレグラフ「ミリバンが間違っている証拠」とし、労働党党首をかなり攻撃する記事が掲載されています。
この番組の後ガーディアンがまとめた世論調査によると、昨日の番組での勝利者は、保守党党首のキャメロン氏が44%、ミリバン労働党党首は38%であったとのこと。
ハング・パーラメント(少数派議会)となることは確実と予想されていますので、主要メディアの報道合戦と共に、選挙後の連立政権の発足に向けて、選挙後もしばらく混乱は続きそうです。
お知らせ 5月30日に行われる毎年恒例の金投資に関する様々な情報が提供される「ゴールドフェスティバ ル2015」は、残念ながら、先週定員一杯となったとのことです。
先日よりお知らせしているように、私は「トークセッション:世界の金、その現実を現地の方に直接聞きます。5ヵ国比較: 日本の金、世界のゴールド」に英国市場を代表し、パネリストとして登壇します。そこで、既にお申し込みをされて当日参加される場合は、是非会場でお声をお 掛けください。当日お会いできるのを楽しみにしています。
|