金市場ニュース

ニュースレター(3月11日)1264.75ドル ドラギ欧州中銀総裁のコメントで金が急騰

週間市場ウォッチ

今週金曜日のLBMA金価格のPM価格はトロイオンスあたり1264.75ドルと、前週同価格から1%下げています。

週明け月曜日は、中国の政策担当者が、債務の対GDP比率を増加させることが、経済成長の助けになると述べたことが伝えられ、中国の鉄鉱石価格が記録が残る2009年以来 最高の19%上昇しましたが、金相場は、欧米株式市場の動きに反する形でトロイオンスあたり1256ドルと1273ドルの間を推移することとなりました。

火曜日に金相場は、アジア時間にトロイオンスあたり1277ドルまで上げたものの、緩やかにその上げを失うこととなりました。アジア時間の上げは、中国輸入が前年比13.8%減、輸出が25.4%減と貿易収支が大きく下げたことから、世界株式市場が下げたことからでした。その後その上げを戻したものの、同日もレンジ内の動きとなりました。

水曜日に金相場は、欧米株価が上昇し、原油価格がバレルあたり40ドルを超えて上昇する中、このところの上げの調整、利益確定の売却もあり、LBMA金価格のPM価格が決まる午後3時にトロイオンスあたり1247ドルまで下げることとなりました。しかし、その後下げを取り戻すこととなりました。

木曜日金相場は、欧州中銀金融政策発表で主要政策金利を0及び中銀預金金利を-0.4%とそれぞれ下げたことから、ユーロが下げドルが強含んだことか ら一時下げたものの、その後ドラギ総裁が「追加利下げは見込まない」とコメントしたことから、ユーロが戻し、金相場も大きく上げることとなりました。

この間、OPECとOPEC外の国々のミーティングの予定がキャンセルされたことからも原油価格がバレルあたり40ドルを割り、欧米株式市場も欧州中銀の追加利下げが無しというニュースで大きく下げたことも金を押し上げた模様です。

本日金曜日金相場は、株式相場が昨日の下げを取り戻す中、ロンドン時間早朝に付けた過去13ヶ月で最高値のトロイオンスあたり1282ドルから、株式市場への資金の流れや利益確定の売りも進んでいるようで、トロイオンスあたり20ドルほど下落しています。

その他の市場のニュース


  • 年初から増加を続けている金ETFの最大銘柄SPDRゴールドシェアの残高は、年初から150トン増と2014年と2015年の減少分を10週間で取り戻していること。

ブリオンボールトニュース

今週も、金相場が動く中で、ブリオンボールトのリサーチ主任のコメントが多く取り上げられることとなりました。

ここで、エィドリアンは、「金投資が必要な局面でインフレヘッジとなる」としながらも、「どのようなインフレも現在は経済成長とみなされることから、米金融当局が利上げペースを上げれば金にとってはネガティブな材料となる可能性はある」としています。

ここで、エィドリアンは、「トレーダーやアナリストの中で、金の急騰は調整が必要だろうというコメントが出ている」とし、しかし「先週の『Golden cross』は、モメンタムトレーダーを金へ引き込んだ。投機的資金も、長期金保有者が価格の下げの買い時を待つ中、金から流出していない。」とコメント しています。

ここで、エィドリアンは「ドラギ(総裁)は中銀預金金利をマイナス0.4%としても、ユーロ安を達成できなかった。しかし、預金することが、金のラージバーを保険をかけて保管するよりも3倍も割高にしてしまったのだ。」というコメントが取り上げられています。

今週の市場分析ページには下記の記事が掲載されました。

ロンドン便り

今週は、昨年ここでもお伝えした、ロンドンの中心部にある宝飾店街のハットンガーデンの貸金庫から1400ポンド(約23億円)の宝石類や現金を盗んだ強盗団への判決が下りたので、英国主要メディアは大きく伝えていました。

ロンドンの裁判所が9日に下した判決は、被告5人に対して禁錮6年から7年の実刑でした。平均年齢63歳と、強盗団の大半は年金生活者です。そのため、彼 等は老後をスペインの南部アンダルシア州のコスタ・デル・ソルで過ごそうと、3年をかけて計画したとのこと。その計画は、ロンドン北部のイズリントンにあ るパブ「キャッスル」でアルコールを片手に行われ、また壁の穴をあけるドリルの使い方を「ユーチューブ」で視聴して学んだなどと、詳細が伝え られています。

なお、主犯格の被告の2人は、過去1980年代に行われたBrink's-Mat社金塊強盗事件などにも関与しているとのこと。

一昔前でしたら、これほど簡単に逮捕に至らなかったかもしれませんが、デジタル時代の技術を駆使して、ほぼ強盗団全員が約一月半後に逮捕されることとなりました。

強盗団が盗んだ1400万ポンド(約23億円)のうち、400万ポンド(約6.6億円)のみが回収されているとのこと。そして、最後の1人もまだ逮捕されていないとのことです。

映画化されるという話もあることから、この事件の事後談などはまたここでお伝えしましょう。なお、この事件の判決が今週でたことからも、ブリオンボールトでは、「 世界でも有名な歴史的強盗事件 」というインフォグラフィックを作成しました。よろしければ、ご覧ください。


 


 

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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