金投資家インデックス: 2012年以来の金相場の急騰で売却が進む
2月に金の購入者数は倍増しました。しかし、売却者数も急増したのです。
金価格は、他のどのような要因よりも、資金運用業者の傾向に沿って動きます。そして、2月はこの人々や他の投資家が金に資金を動かしました。ここで、ブリオンボールトのリサーチ主任のエィドリアン・アッシュが、2月の金投資家の動向について解説しています。
金を裏付けとした上場投資信託の金ETFの残高は、2月に過去6年で最も速いペースで増加しました。投機的資金も、米国先物・オプション市場に流入し、ネットロングポジションを4倍としました。
その結果はどのようなものでしょうか?金価格は11%上昇と、2012年初旬以来の最も速いペースとなりました。
ブリオンボールトの新規金購入者数も倍増しました。しかし、売却者数も速いペースで増加していました。
これは、金価格の急騰を、既存の顧客は利益確定時期、もしくは損切りの時期と見たことからです。これは、2015年暮れには金価格は過去6年間で最低値と、2011年夏のピークからは45%下げていたことからも、理解できる動きでしょう。
個人投資家へ世界最大の金・銀現物オンライン市場を提供しているブリオンボールトの新規ユーザー数は、2月に過去12ヶ月の平均の110%増となりました。これは、金価格が急落した2013年4月以来の、最も高い月間数値です。
しかし、金売却者数も108%と急増していました。
そのため、金投資家インデックスの頭を抑え52.1と、1月の51.6より上昇したものの、昨年の平均53.1を下回ることとなりました。
この数値が50の場合は、月間のネット購入者数と売却者数が完璧に一致したことを示し、金投資家インデックスは、2011年9月に最高の71.7を記録し、2015年1月に 50.5と過去5年間で最低値を記録しています。
それでは、なぜ個人投資家の反応は鈍かったのでしょうか?それは、金価格はドル建てで2月に過去12ヶ月の最高値に達し、ユーロ建てで過去10ヶ月の最高値、ポンド建てで過去2年半で最高値を記録したことからです。
月間平均金価格では、2月にドル建てで9.3%上昇し、これは、最高水準まで上昇した2011年8月以来のペースで、過去30年間で8回のみ起きている現象です。
しかし、このような状況を保険の位置付け買い時と見た金投資家も多い中、これを利益確定や損切りの売り時と見た金投資家も多かったのです。
実際重量にすると、1月の史上最高の保管量から、2月は0.4トン下げて34.4トンとなりました。
それに対し、金ETFの最大銘柄SPDRゴールドシェアの残高は、13%増と2009年3月以来の速いペースで増加しました。
また、ブリオンボールトの顧客の銀の保有量は0.2%増の548トンとなりました。
銀投資家インデックスは、金同様に50.5と、1月の50.1から少なからずも増加しました。しかし、2015年の平均である52.8を下回るものとなりました。
それは、2月の銀価格の上げは金の上げには比べ物にならなかったものの、新年の2011年ピーク時からの72%の下げからの上昇であったために、既存の顧客の利益確定や損切りの機会となったためです。
金と銀の投資においては、今回のように価格の急激な変化が起きた際に、素早く売買できることが重要でしょう。
金・銀投資家は、購入する際に、売却時にどれだけ良い価格で、いかに早く売れるかを事前に考慮することを忘れがちです。例えば、金貨などは、その小売価格を見る限り、今回のような価格の急騰時にも収益を出すことは難しいものです。
しかし、ブリオンボールトの顧客は、専門市場が公認する保管場所で貯蔵されている、専門市場がスポット価格で取引をする形態の金地金を購入しているために、費用と売買の手間を大幅に削減することができ、そ のためにも、価格が動いた2月を売却機会と見ることができたのです。