ニュースレター(2026年7月17日)米CPI・PPI下振れで反発も、中東情勢悪化で貴金属は再び下落
週間市場ウォッチ
今週金曜日の弊社チャート上のLBMA価格が決まる時間の価格と前週のLBMA価格を比較した一週間の変動率は以下の通りです。
*金は午後3時の弊社チャート価格、銀は午後12時、プラチナとパラジウムは午後2時の価格。
**日本円価格はLBMA価格として発表されないために、弊社チャート上の金曜日午後3時の価格。
- 金:ドル建て価格は、2週連続の週間の下げで、金曜日価格で昨年10月10日以来の低値。
- 銀:2週連続の週間の下げ。金曜日価格で昨年11月28日以来の低値。
- プラチナ:2週連続の週間の下げ。金曜日価格で昨年11月21日以来の低値。
- パラジウム:2週連続の下げ。金曜日価格で6月26日以来の低値。
貴金属市場の動向(週間)
今週の貴金属相場は、米消費者物価指数(CPI)と卸売物価指数(PPI)が市場予想を下回ったことを受けて、米連邦準備制度理事会(FRB)の早期利上げ観測が後退したことから、週半ばにかけて下げ幅を縮小していました。しかし、週後半には米国とイランの紛争が再び激化し、原油価格が上昇したことでインフレ圧力への警戒感が強まり、FRBによる早期利上げ観測が再燃したことから、金・銀価格はともに約8か月ぶりの低水準へ押し下げられることとなりました。
その結果、貴金属価格の年初来の騰落率は、金▲7.35%、銀▲23.11%、プラチナ▲22.64%、パラジウム▲20.90%と、いずれも下げ幅を広げています。
一方で、昨年同時期との比較では、下記のチャートでも分かるように、金+20.27%、銀+46.60%、プラチナ+10.82%、パラジウム+0.78%と、引き続きすべてプラス圏を維持しています。
このことから、年初来の低迷は、昨年末から年初にかけての大幅上昇の反動によるものとも言えるでしょう。
本日午後には、原油価格が高止まりし、インフレ圧力を背景としたFRBの早期利上げ観測に大きな変化が見られない中、これまで圧倒的な上昇を続けてきた世界のテクノロジー株が調整局面に入りました。一方、こうした局面では現金化の売りに押されやすい貴金属価格が反発しており、市場では資金シフトの兆しも見られました。
今週の貴金属相場の動き(日次)
■ 月曜日
金・銀相場は、イラン紛争激化への懸念から原油価格が一時約5%上昇し、インフレ圧力の再燃が意識されたことで、米連邦準備制度理事会(FRB)の早期利上げ観測が強まり、大きく下落しました。
金価格は一時トロイオンスあたり3,986ドルと7月1日以来の安値を付け、4,000ドルの心理的節目を割り込みました。銀価格も57.44ドルと7月8日以来の安値となりました。
米国とイランは週末から攻撃を応酬し、トランプ米大統領はホルムズ海峡を通過するイラン船舶への封鎖を再開するとともに、その他の貨物にも通行料を課す方針を示したことで、中東からのエネルギー供給への懸念が高まっていました。
■ 火曜日
金・銀相場は、中東情勢が悪化する中、同日発表された米消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回り、FRBの早期利上げ観測が後退したことから上昇しました。
金価格は一時トロイオンスあたり4,100ドルまで上昇し、前日の下落分の約8割を回復しました。銀価格も59.46ドルまで上昇し、約9割を取り戻した後、上げ幅を縮小しました。
コアCPIは前月比で横ばい、前年比は2.6%へ鈍化し、市場では2週間後のFOMCで政策金利が据え置かれるとの見方が強まりました。一方、米国とイランの対立は続き、原油価格は約1か月ぶりの高値へ上昇していました。
■ 水曜日
金相場は、米卸売物価指数(PPI)が市場予想を下回ったことでドルと長期金利が低下し、一時トロイオンスあたり4,073ドルまで上昇しました。
コアPPIは前年同月比4.7%と、市場予想および前回を下回ったことから、FRBの追加利上げ観測が後退し、貴金属相場を支えました。
一方、米国によるイランへの攻撃を受けて原油価格は上昇し、インフレ再燃への懸念が金価格の上値を抑えました。
銀価格も58.84ドルまで上昇したものの、中国GDPが市場予想を下回り、工業需要への懸念から上げ幅をほぼ失いました。
■ 木曜日
金・銀相場は、米国とイランの対立激化を受けて原油価格が上昇し、FRBの早期利上げ観測が強まったことで、約8か月ぶりの安値へ下落しました。
金価格は一時3,976ドルと2025年11月初旬以来、銀価格も55.34ドルと2025年11月末以来の安値を付けました。
背景には、米海軍がホルムズ海峡付近でイラン向けとされる石油タンカーを攻撃したとの報道がありました。また、イランは米国が攻撃を拡大すれば地域のインフラを攻撃すると警告し、両国の対立は一段と激化していました。
■ 金曜日
本日の金・銀相場は、ロンドン時間昼過ぎに前日の約8か月ぶりの安値を再び試したものの、その後反発し、金はトロイオンスあたり4,010ドル前後、銀は55.95ドル前後で推移しています。
米国とイランの紛争激化による原油価格の上昇が引き続き相場の重しとなる一方、午後には金が4,000ドルを回復し、週末を前にしたポジション調整や、テクノロジー株急落による株式市場からの資金シフトも相場を支えたとみられます。

その他の市場のニュ―ス
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コメックス(COMEX)のデータによれば、前前週金曜日の米雇用統計が予想を下回り、米連邦準備制度理事会(FRB)の早期の利下げ観測が後退し、貴金属価格が上昇していた先週火曜日に、ホルムズ海峡でイランがタンカーを攻撃したニュースも入っていたことから、全ての貴金属でネットロングが減少していました。
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金のネットロングは前週比1.6%減の357.24トンと、前週の1月27日の週以来の高水準から下げていました。2025年の平均は465.8トン、2024年は555.8トン。
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銀の先物・オプションのネットロングは4.8%減の1,887トンと、前週の5月12日の週以来の高水準から減少していました。2025年の平均は5,132.4トン、2024年は4,231.0トン。
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プラチナのネットロングは4.9%減の11.6トンと、3月10日の週以来の低さとなっていました。2025年の平均は16.2トン、2024年は9.4トン。
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パラジウムは、2月3日の週以来のネットロングから3月17日の週にネットショートへ転じた後、ネットショートは6.6%増の19.9トンと、昨年8月26日の週以来の高水準となりました。2025年の平均は19.3トンのネットショート、2024年は32.6トンのネットショート。
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金ETF最大銘柄のSPDR Gold Sharesの残高は、今週木曜日までに0.57トン(0.06%)減の1,001.878トンと、昨年9月8日以来の低い水準で、週間の減少傾向となっています。2025年は累計で198.04トン(20.81%)増と4年ぶりの年間増加ペースとなっていました。2024年は6.59トン(0.75%)減、2023年は38.53トン(4.4%)減、2022年は57.2トン(5.9%)減、2021年は195トン(6.8%)減。
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金ETF第2位のiShares Gold Trustの残高は、今週木曜日までに0.73トン(0.16%)減の461.74トンと、昨年9月8日以来の低水準となり、6週連続の週間減少傾向となっています。2025年は累計で101.09トン(23.35%)増と4年ぶりの年間増加ペースとなっていました。2024年は5.91トン(1.29%)減、2023年は50トン(11.6%)減、2022年は42トン(8.9%)減、2021年は36トン(7.0%)減。
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銀ETF最大銘柄のiShares Silver Trustの残高は、今週木曜日までに122.32トン(0.82%)増の14,933.83トンと、6月22日以来の高い水準で、週間では2週ぶりの増加傾向となっています。2025年累計では2,120.59トン(14.45%)増と2年連続の年間増加ペースとなっています。2024年は720.44トン(5.3%)増、2023年は936.56トン(6.4%)減、2022年は1,937トン(12.2%)減、2021年は867トン(4.2%)減。
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金銀比価(LBMA価格ベース)は、今週69台後半で始まり、本日71台後半と昨年12月初旬以来の高さへ上昇して推移しています。2025年の平均は87.85、2024年は84.75、2023年は83.27、過去5年平均は82.44です。比価が高いほど銀が相対的に割安であり、低下するほどその割安感が薄れていることを示します。
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上海黄金交易所(SGE)とロンドン金価格の価格差は、2月27日の週からプレミアムへ転じており、今週の平均プレミアムは7.83ドルと、前週の4.08ドルから上げていたこと。2025年の平均プレミアムは2.85ドル、2024年は15.15ドル、2023年は29ドル、2022年は11ドル、過去5年平均は6.9ドルです。
来週の主要イベント及び主要経済指標
今週の貴金属市場は、米消費者物価指数(CPI)と卸売物価指数(PPI)が市場予想を下回ったことを受けて反発したものの、その後は米国とイランの紛争激化による原油価格の上昇を背景に、インフレ圧力への警戒感が強まり、主要中央銀行による利上げ観測が再燃したことで再び下落しました。また、本日は世界的なテクノロジー株の急落を受け、一時売りに押されたものの、若干反発する場面も見られました。
来週は木曜日に欧州中央銀行(ECB)の政策金利発表、金曜日には主要国の製造業・サービス業購買担当者景気指数(PMI)の発表が予定されており、市場の注目が集まります。
その他、主要経済指標の発表スケジュールの詳細は、主要経済指標(2026年7月20日~24日をご覧ください。
ブリオンボールトニュース
今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。
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主要経済指標(2026年7月13日~17日)今週のの結果をまとめています。
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主要経済指標(2026年7月20日~24日来週の予定をまとめています。
なお、弊社のYouTubeチャンネルでは、日々の弊社の金価格ディリーレポート(英文)を音声でも配信中です。ぜひご視聴、ご登録ください。
ロンドン便り
今週まで日本に滞在していましたので、ロンドン便りは休ませていただき、来週から再開させていただきます。




