金市場ニュース

ニュースレター(2023年6月30日)主要中銀の長期の利上げ観測で金は3ヶ月ぶりの低値へ下げ、米インフレ鈍化で下げ幅を削る

私は今週はまで日本に入っていますので、今週のニュースレターは簡易版ですが、通常通り本日お届けします。来週からはロンドンから通常通りお届けします。

週間市場ウォッチ

今週金曜日午後3時の弊社チャート上の金価格はトロイオンスあたり1913ドルと、前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午前3時)から0.9%安と3週連続の下落となっています。この間銀価格は、本日12時のチャート上の価格は前週のLBMA価格(午後12時)から0.5%安のトロイオンスあたり23.46ドルと2週連続の週間の下げとなっています。プラチナは本日午後2時の弊社チャート上では前週金曜日のLBMAのPM価格から2.4%安のトロイオンスあたり901ドルと7週連続の下落で2022年10月以来の低さとなっています。パラジウム価格は、前週のLBMAパラジウムPM価格と比較して、本日午後2時の弊社チャート上での価格は1.8%安のトロイオンスあたり1279ドルと2週連続の下げで2018年の12月以来の低さとなっています。

金・銀・プラチナ・パラジウム相場の動きの概要

今週貴金属相場は、主要中央銀行の総裁が発言したECBのシンポジウムで、高インフレに対応するために、長期の利上げに言及し、木曜日発表の米GDPと新規失業保険申請件数が米経済の堅固さを示唆したこともあり、ドルと長期金利がそれぞれ3週間と3ヶ月ぶりの高さへ上昇し、金と銀は3ヶ月ぶり、プラチナは8ヶ月ぶり、パラジウムは4年半ぶりの低さへ押し下げられることとなりました。

プラチナとパラジウムの下げ幅が大きかったのは、本日発表された中国の製造業PMIのように、直近で中国の経済の停滞を表すものが多いことが工業用途の多いこれらの貴金属の頭を重くしている模様です。

なお、本日発表されたFRBが重視する米インフレデータがインフレの鈍化を示したことで、貴金属相場は、下げ幅を削っています。

そのような中、今週ECBのシンポジウムのパネルディスカッションで日銀の植田総裁は、他の主要中央銀行のタカ派的スタンスとは対象的に金融緩和を継続する姿勢を明確としたことで、円安が7ヶ月半ぶりの水準へ進み、円建て金相場はロンドン時間午後にgあたり8905円と、終値ベースで上昇して終える傾向ですので、このチャートを今週はお届けしましょう。

 

一週間の円建て金相場のチャート 出典元 ブリオンボールト

今週の金相場の動きと背景について

週明け月曜日は、週末のロシア関連地政学リスクの高まりからも、金相場はロンドン時間午前中に、前週の3ヶ月ぶりの低値から一時トロイオンスあたり1933ドルまで上昇していましたが、その後上げ幅をほぼ失って、1922で終えていました。

これは、ロシアの民間軍事会社ワグネルの反乱は週末完結したという認識で地政学リスクが後退する中で、今週のECB主催の金融シンポジウムで水曜日にパウエルFRB議長がパネル討議に参加する予定だったことからも、前週のパウエル米FRB議長の年内2回の利上げ観測が再び広がることで、上げ幅を削ることとなりました。

火曜日金相場は、同日発表の米経済指標が予想を上回る良好であったことで、FRBによる利上げが長期に渡る観測が広がり、長期金利が上昇する中、トロイオンスあたり1911ドルまで一時下げた後に、1915ドルで終えていました。

同日発表された米指標は、耐久財受注、ケースシラー住宅価格指数、新築住宅販売件数、消費者信頼感指数、リッチモンド連銀製造業指数等で、全て予想を上回り、米経済の強さが感じられるものとなっていました。

水曜日金相場は、ECBのフォーラムのパウエル米FRB議長のコメントが伝えられる中でドルが強含み、金はトロイオンスあたり1903ドルへと一時下げたものの、この水準では買いが入るようで1909ドルへと下げ幅を縮めて終えていました。

パウエル議長は、年内2回の利上げの可能性、そして2会合連続の利上げも示唆したと伝えられていました。

それに対し、日銀の植田総裁は金融緩和継続とこのパネルディスカッションでも述べていたことからも、円安となり、円建て金相場はgあたり8876ドルまで一時上げて、8865円と前週終値の水準まで上昇していました。

木曜日日金相場は、発表された米経済指標が堅調であったことで、FRBによる長期の金利引き上げ観測が広がり、ドルと長期金利が上昇する中で、心理的節目のトロイオンスあたり1900ドルを割って1893ドルと4ヶ月ぶりの低値を一時つけた後に、1908ドルまで戻して終えていました。

発表された指標は、新規失業保険申請件数と米GDPで、ともに予想を上回り、新規失業保険新絵師件数は2021年10月の水準へ下げていました。

また、前日夕方にFRBが銀行のストレステストの結果を発表し、米トップ23銀行が全て不況時にも必要とされる自己資本を維持できるとの見解を示したことも、金利引き上げ長期化観測を広めることとなりました。

そこで、FEDWatchツールの次回7月のFOMCでの利上げは9割弱となり、一週間前の7割強から増加していました。

本日金曜日は、FRBが重視するインフレデータが発表され、インフレ鈍化が見られたことで、FRBの長期的な利上げ観測が多少後退し、ドルと長期金利が前日の3週間と3ヶ月ぶりの高さから下げる中で、ロンドン時間午後3時半過ぎにトロイオンスあたり1916ドルへと上昇して推移しています。

このインフレデータは、米個人消費支出(PCE)コア・デフレーターで、4.6%と前月と予想の4.7%を下回り、ヘッドラインのデータは前回4.3%から3.8%へと下げていました。

ドル建て金相場の一週間のチャート 出典元 ブリオンボールト

その他の市場のニュ―ス

  • シンガポール中銀が5月に4トン金準備を増加させて226トンと、前年末から73トン(47%)増加させていたことを、ワールドゴールドカウンシルが伝えていたこと。
  • コメックスの貴金属先物・オプションの資金運用業者のポジションは、今週末に6月27日のデータが発表されますので、来週のニュースレターで通常どおりお伝えします。
  • 金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、今週木曜日までの1週間で2.6トン(0.3%)減で924.50トンと、2週連続の週間の減少。昨日までのデータで、月間では15トン(1.6%)減で月間の減少、年初からも6.86トン(0.78%)減。
  • 金ETFの第2の規模のiShare Gold Trustの残高は、今週木曜日までに週間で2.06トン(0.45%)減で448.74トンと、5週連続の週間の下げ。月間でも6.72トン(1.48%)減、年初からも0.08トン(0.03%)減。
  • 銀のETFとして最大銘柄のiShares Silver Trustの残高は、今週木曜日までに週間で51.38トン(0.35%)減で14,560.82トンと、週間の減少傾向。月間では6.47トン(0.06%)増、年初からは21.15トン(0.15%)増。
  • 銀比価は、今週84 台後半で始まり、週半ばで若干83台半ばまで木曜日に下げたものの、金曜日に84代後半と3月末以来の高さへ上昇して週を終えていたこと。5年平均は82.24。(数値が高いと銀の割安傾向で、低いと銀割安傾向が解消されたこととなる。)
  • プラチナの金と差であるプラチナディスカウントは、1000ドル強で始まり、1000ドルを割っていたものの、本日1000ドルを超えて4月半ば以来の高さで終える傾向。2022年平均は839.64ドル。2021年平均は708.82ドルで5年平均は564.76ドル。
  • プラチナとパラジウムの差であるプラチナディスカウントは、389で始まり、335と6月12日以来の低さで終えていたこと。2022年の平均は1153ドル。ロシアが世界の4割を供給することからもロシアのウクライナ侵攻で2000ドルを超えてディスカウントが上昇。2021年の平均は1305ドル。5年平均は918.27。
  • 上海黄金交易所(SGE)のプレミアムは、今週人民元建て価格が上昇し、人民元が対ドル昨年11月以来の弱さへ下げる中で、週間の平均では11.04ドルと3月末以来の高さで、前週の5.93ドルから上昇していたこと。2022年の平均は11.03ドルと、前年の4.94ドルを大きく上回る。(ロンドン価格と上海価格の差:プレミアムは中国での需要の高さ、ディスカウントは需要の低さを示す)コロナ禍で特殊な動きをした2020年を除く5年平均は9ドル。
  • コメックスの先物・オプションの週間の平均取引量は前週平均比で前週が数週ぶりの高さであったことから、金は8%減、銀は19%減、プラチナは23%減、パラジウムも8%減。

来週の主要イベント及び主要経済指標

今週も先週末のロシア内の一日で終えた反乱が落ち着いた後は、主要中央銀行の政策金利先行きへと注目が移り、ECBシンポジウムや主要経済指標が市場を動かしています。

来週もこの傾向は続き、水曜日のFOMC議事録と金曜日の米雇用統計は重要となります。

詳細は主要経済指標(2023年7月3日~7日)でご覧ください。

ブリオンボールトニュース

今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。

なお、弊社のYouTubeチャンネルでは、日々の弊社の金価格ディリーレポート(英文)を音声でもお届けしています。よろしければ、こちらも購読ください。

ロンドン便り

今週も日本に入っていますので、ロンドン便りはお休みさせていただきます。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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