金市場ニュース

ニュースレター(2022年6月17日)米、英、スイス中銀の利上げでリスクオフ基調となり、金は堅固に推移

週間市場ウォッチ

今週木曜日午後3時の弊社チャート上の金価格はトロイオンスあたり1841ドルと、前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)からほぼ0.6%高と2週ぶりの上昇となっています。この間銀価格は、本日12時のチャート上の価格は前週のLBMA価格(午後12時)から1.3%高でトロイオンスあたり21.87ドルとやはり2週ぶりの上昇となっています。プラチナは本日午後2時の弊社チャート上では前週金曜日のLBMAのPM価格から2.7%安のトロイオンスあたり934ドルと2週連続の下落となっています。パラジウム価格は、前週のLBMAパラジウムPM価格と比較して、本日午後2時の弊社チャート上での価格は2.8%安のトロイオンスあたり1859ドルと3週連続の下げとなっています。

今週の金・銀・プラチナ・パラジウム相場の動きの概要

今週は、米国、英国、日本、そしてスイスの中央銀行が金融政策を発表し、日銀を除き全て利上げを行ったことで、金融市場が速いペースの金融引き締めによる景気後退懸念で大きく下げ、貴金属相場もその動きに反応することとなりました。

米主要株価指数は、年初からの下げ幅をダウ平均株価が17%、S&P500種が22.5%、ナスダックが30.5%と広げる中で、金相場は主要通貨あたり下記のように堅固な動きをしています。

これは、インフレ懸念、主要中央銀行による速すぎるペースの利上げによる景気後退懸念等によるリスクヘッジの需要等がある中で、より速いペースの金融引締を行う米中央銀行からもドルが他主要通貨で強含んだことで、他の貨建てで金が上昇していることが背景となっています。ちなみに、下記の通貨は、TRYがトルコリラ、JPYが日本円、GPBが英国ポンド、EURはユーロ、CNYは中国人民元、INRはインドルピー、USDは米国ドルとなります。

年初からの主要通貨建ての金相場の上昇幅 出典元 ワールド・ゴールド・カウンシル

日々の金相場の動きと背景について

週明け月曜日金相場はロンドン昼過ぎまではドル高と長期金利上昇に対して下げながらも堅調な動きとなっていましたが、その後、株価、債券価格、コモディティ、そして暗号通貨が大きく下げる中で、究極のリスクオフである現金化が進み、トロイオンスあたり1820ドルと3週ぶりの低さへと下げることとなりました。

これは、前週金曜日の米消費者物価指数が40年ぶりの高さであったことが懸念となり、米株価指数が大きく下げ、S&P 500種が年始の高値から20%安と弱気市場に入ったことからも、米長期金利が更に上昇し、ドルインデックスは2002年12月以来の高値をつけていたことが背景となりました。

火曜日金相場は、前日長期金利が2011年4月以来の高さ、またドルインデックスは2002年12月以来の高さへ上昇したことから、でロンドン午後に更に押し下げられて、ひと月ぶりの低さのトロイオンスあたり1810ドルで終えていました。

翌日はFOMCの結果が発表され、より早いペースの利上げ観測が広がっていましたが、同日発表の5月の米卸売物価指数が前月比0.8%上昇と、上昇幅は前月の0.4%から拡大していた事が、予想と一致していたものの先の観測を固めていました。

水曜日金相場はトロイオンスあたり1836ドルへと一時上昇していましたが、その後上げ幅を削って1833ドルで終えていました。

これは、同日NY時間午後2時にFOMCの結果が発表されて、大方市場が予想していた0.75%の利上げとなり、「噂で売ってニュースで買う」の動きで上昇することとなりました。

また、7月においても0.5%から0.75%の利上げの可能性が示唆されたものの、.パウエル議長がFOMC後の記者会見で「0.75%は異例な水準で頻繁には行われない。」と述べたことが市場を落ち着かせ、年初来20%から30%前後の大きな下げを見せていた米主要株価指数も反発したことで、急激な現金化も落ち着くこととなりました。

木曜日金相場は前夜のFOMCの結果、そしてスイス中銀とイングランド銀行の金融政策発表を受けて、ほぼ前日終値の水準のトロイオンスあたり1830ドル前後を推移していましたが、その後1851ドルへと上昇して終えていました。

これは、同日スイス中銀は15年ぶりにマイナス0.75%からマイナス0.25%へと引き上げ、イングランド銀行は政策金利を0.25%引き上げて年1.25%としたことで、景気冷え込み懸念から世界株価が下げている中で、リスクオフで米国債が買われて長期金利が下げたことがサポートとなり、また安全資産の需要も入った模様です。

本日金相場は、前日の上げ幅を多少削っているものの、トロイオンスあたり1839ドルで終える傾向となっています。

本日市場注目の日銀の金融政策決定会合では現行の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)付き量的・質的金融緩和政策の継続を賛成多数で決め、他の主要中央銀行との金融政策上の方向性の違いが明確となりました。

そこで、対ドル円が弱含み、円建て金相場はgあたり7989円と月曜日以来の高い水準へと上昇することとなりました。

ドル建てにおいては、米株価指数が前日の下げを多少取り戻しているものの、円が弱含むことでドルを相対的に押し上げてドルインデックスは高止まりし、長期金利も多少上昇していることから、多少頭を抑えられている模様です。

ブリオンボールト・リアルタイム金価格チャート

その他の市場のニュ―ス


  • コメックスの貴金属先物・オプションの資金運用業者のポジションは、先週7日火曜日に、米主要小売業の業績見通しが下方修正されたことで、景気後退懸念が広がり、株価の下げ、長期金利とドルが多少弱含み、貴金属価格が上昇する中で、パラジウムを除く全ての貴金属の強気ポジションが増加していたこと。

  • コメックス金の先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、22%増の217トンと8週中2週目の増加となっていたこと。この間金価格は前々週比0.65%高。建玉においては、前週比2.9%減。

  • コメックス銀の先物・オプションのネットポジションは、138%増加して1,185トンと4週ぶりの高さへ2週連続で増加していたこと。この間銀価格は2.2%高。

  • コメックスのプラチナ先物・オプションは、6週ぶりにネットロングで、そのポジションは5.3とんで、4月5日ぶりの規模となっていたこと。この間プラチナ価格は4.6%高。

  • コメックスのパラジウム先物・オプションのネットポジションは11週連続でネットショートで、17%増の5.8トンと1月18日の週以来の大きさ。この間価格は4%安。

  • 金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、今週木曜日までに4.9トン(0.46%)減で1064トン週間の減少傾向であること。

  • 金ETFの第2の規模のiShare Gold Trustの残高は、今週木曜日までに0.89トン(0.17%)減で514トンと3週連続の残高減少傾向であること。

  • 銀のETFとして最大銘柄のiShares Silver Trustの残高は、今週木曜日までに20トン(0.21%)増の16,953トンと5週ぶりに増加傾向となっていること。

  • 金銀比価は、今週86台で始まって本日84台と下げていること。2021年平均は71.83で、5年平均は80.35。(数値が高いと銀の割安傾向で、低いと銀割安傾向が解消されたこととなる。)

  • プラチナの金とのディスカウント(金との差)は、910ドルで始まり、週半ばで855ドルへ下げたものの、本日は899ドルへと上昇していたこと。2021年平均は708.82ドルで5年平均は564.76ドル。

  • プラチナとパラジウムの差であるディスカウントは、今週949ドルで始まり、週半ばで886ドルへ下げたものの、本日939ドルへと上昇していること。ロシアのウクライナ侵攻でロシアが世界の4割を供給することからも1000ドルを超えてディスカウントが上昇していたものの、この幅はウクライナ戦争以前の水準へ下げていること。

  • 上海黄金交易所(SGE)の木曜日までの週平均は、価格のボラティリティの高さで数度ディスカウントとなっていたことから、0.57ドルのプレミアムと前週の2.79ドルから下げていること。(ロンドン価格と上海価格の差 - プレミアムは中国での需要の高さ、ディスカウントは需要の低さを示す)昨年平均は4.94ドル。コロナ禍で特殊な動きをした2020年を除く5年平均は9ドル。

  • コメックスの先物・オプションの取引量は、価格のボラティリティの高さで取引量が急増し、今週木曜日までの平均で、前週比金が42%増の4週ぶりの高さ、銀が18%増の13週ぶり、プラチナが13%増のやはり13週、パラジウムが13%増と2週ぶりの高さへ増加していたこと。

来週の主要イベント及び主要経済指標

今週金相場は、主要中央銀行の金融政策で金融市場同様に大きく動くこととなりました。そこで、来週も主要国の中央銀行の金融政策に影響を与える指標や、中央銀行メンバーのコメント等が注目されることとなります。

そこで、水曜日と木曜日のFRBパウエル議長の発言、そして、水曜日の日銀金融政策決定会合議事要旨、英国消費者物価指数、木曜日の主要国の製造業とサービス部門のPMI等が重要となります。

詳細は主要経済指標(2022年6月20日~24日)ご覧ください。

ブリオンボールトニュース

ブリオンボールトは5月20日から大英図書館で始まる「金(Gold)」のエキジビションのスポンサーをさせていただいています。ご興味があれば下記のリンクでご覧ください。

http://bl.uk/events/gold

 

今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。

なお、弊社のYouTubeチャンネルでは、日々の弊社の金価格ディリーレポート(英文)を音声でもお届けしています。よろしければ、こちらも購読ください。

ロンドン便り

今週は日本に一時帰国していますので、お休みさせていただきます。

 

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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