金市場ニュース

ニュースレター(2022年10月7日)堅調な米雇用統計を経て2週連続の上昇へ

週間市場ウォッチ

今週金曜日午後3時の弊社チャート上の金価格はトロイオンスあたり1697ドルと、前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から1.6%高と2週連続の週間の上昇となっています。この間銀価格は、本日12時のチャート上の価格は前週のLBMA価格(午後12時)から7.5%高のトロイオンスあたり20.63ドルと2週連続で週間ベースで上昇しています。プラチナは本日午後2時の弊社チャート上では前週金曜日のLBMAのPM価格から7.8%高のトロイオンスあたり931ドルと2週ぶりの週間の上げとなっています。パラジウム価格は、前週のLBMAパラジウムPM価格と比較して、本日午後2時の弊社チャート上での価格は2%高のトロイオンスあたり2257ドルと2週連続で上昇しています。

今週の金・銀・プラチナ・パラジウム相場の動きの概要

今週貴金属相場は、週前半にドルと長期金利が前週前半のそれぞれ20年ぶりと14年ぶりの高さから金曜日以降下げていた基調を受け継いでいたことで、大きく上昇して始まっていました。

この背景は、早いペースの利上げ観測が、米主要経済指標の悪化や豪中銀が予想を下回る利上げ幅であったことで、景気後退のためやこれまでの利上げの効果を見るためにFRBの利上げペースが緩む観測が広がったことからでした。

そのような中で、金の先物・オプション市場では4年ぶりの高さのショートポジションが積み増されており、ショートカバーもあって大きな上昇を見ることとなりました。

そして、金市場よりも規模が小さい銀やプラチナはより大きな上げ幅を見せ、すでに高値に至っているパラジウムも堅調な上げ幅を見せることとなりました。

しかし、水曜日に発表された米雇用統計の先行指標と見られているADP雇用者数は予想を上回り、本日の雇用者数も予想を上回るものである中で、FRB高官によるタカ派的発言は日々相次いでおり、来月のFOMCにおける0.75%の利上げ幅予想は8割弱まで上昇しており、ドル高と長期金利上昇へと再び転換したことで、貴金属相場は全般頭を抑えられることとなりました。

しかし、5ヶ月連続で残高を減少させていた金ETFは、ワールドゴールドカウンシルのデータによると、9月も世界全体で95トンと2021年3月以来の大きな減少となっていたものの、10月に入り金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアが3営業日連続で今週は14週ぶりの週間の増加で、第2規模のiShareゴールドは6週ぶりに多少ながら昨日増加するなど、多少金へのセンチメントの変化も見られていました。

今週のチャートとしては、金先物・オプション市場の資金運用業者のロング(緑)とショート(赤)ポジションの動きをご覧いただきましょう。先週火曜日までにショートポジションは2018年以来の高さへ増加し、ロングポジションは金融危機の2008年以来の低さへ下げていたことが見られます。今週火曜日のデータは今週末発表されますが、おそらくショートがかなり減少しているものと思われます。

コメックスの金先物・オプションの資金運用業者のロングとショートポジションと金価格の推移 出典元 CFTC、LBMAのデータを元にブリオンボールトが作成

日々の金相場の動きと背景について

月曜日金相場は、長期金利とドルが多少弱含む中で、トロイオンスあたり1701ドルと前週終値比2.4%と大きく上昇して終えていました。

これは、同日米ISM製造業景況指数が発表され、予想を下回ったことで、FRBによる利上げペースが緩む観測が広がり、長期金利が下げる中で金相場が上昇することで、買いが買いを呼び、金先物・オプションのショートポジションは4年ぶりの高さへ増加していたことからも、ショートカバーも入って更に上昇することとなりました。

火曜日金相場は、前日の上げ幅を更に広げて1.4%高のトロイオンスあたり1725ドルと3週ぶりの高さへ上昇していました。

これは、同日発表された指標などでFRBによる利上げが緩む観測が広がり、ドルインデックスが2週ぶりの低さ、そして長期金利がやはりほぼ2週ぶりの低さへ共に下げていたことが背景となりました。

同日発表された指標は、米国の求人状況を示すJOLT労働調査で、前回1117万人、予想1045万人が1005.3万人と13ヶ月ぶりの低さとなっていました。

また同日の豪中銀が0.5%の引き上げ予想を下回る0.25%の引き上げをしたことも、他の主要中央銀行の利上げペースが緩む観測を広げたようです。

水曜日金相場は、ドルと長期金利が上昇に転じる中で、トロイオンスあたり1718ドルへと0.4%下げていましたが、前週末比では3%高と堅固な動きをみせていました。

ドルと長期金利の上昇は、同日発表の米ADP雇用統計が予想の20万人を上回る20.8万人であったこと、また米ISM非製造業とサービス部門PMIが共に予想を上回ったことも、今週多少広がっていたFRBの利上げペースが緩む観測を後退させることとなりました。

そこで、2営業日ぶりに米主要株価指数が下げていました。

木曜日金相場は、長期金利とドルが前日に続き上昇する中で、トロイオンスあたり1712ドルと0.3%ほど前日比下げて終えていました。

翌日は米雇用統計が発表されることからも市場は様子待ちの状況の中で、米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁がインフレ抑制のために積極的な利上げの一時停止はかなり先と述べ、クリーブランド連銀のメスター総裁もタカ派的発言を行ったことが背景となりました。

本日金曜日の市場注目の米雇用統計は予想を上回るものであったことで、FRBによる大幅な金利引き上げ継続観測からもドルが9月末の水準へと上昇し、米長期金利もほぼ3.9%と9月末の水準へ上昇することとなりました。

 そこで、金相場は一時トロイオンスあたり1691ドルへと下げた後に1700ドルへ戻してロンドン時間夕方に推移しています。

発表された非農業部門雇用者数は26.3万人と前回の31.5万人を下回ったものの予想の25万人を上回っていました。ちなみに失業率は3.5%と前回と予想の3.7%を下回って50年ぶりの低さとなっていました。また平均時給は前月比0.3%と予想と前回と同じで、前年同月比は5.0%と前回5.2%と予想の5.1%を下回っていました。

そこで、11月のFOMCでの利上げ幅は0.75%が8割弱と前日、一週間前の予想より増加しているなど、ドルと長期金利を引き上げています。

ドル建て金価格チャート 出典元 ブリオンボールト

その他の市場のニュ―ス


  • コメックスの貴金属先物・オプションの資金運用業者のポジションは、先週20 日火曜日に翌日のFOMC後の発表を待つ中で、パラジウムを除くすべての貴金属で強気ポジションが減少していたこと。

  • コメックス金の先物・オプションのネットポジションは6週間のネットロング後、3週連続でネットショートで、25%増の128.5トンと2018年11月27日の週以来の高さとなっていたこと。ちなみにロングポジションは、2008年以来の低さ。この間LBMA PM金価格は前々週比1.8%安で1634ドルと2020年3月末以来の低さとなっていたこと。建玉は前週比5.5%減であったこと。

  • コメックス銀の先物・オプションのネットポジションは、13週連続でネットショートで14%増の1258トンと、2週ぶりの大きさとなっていたこと。この間LBMA銀価格は3.3%安となっていたこと。

  • コメックスのプラチナ先物・オプションは、4月19日の週以来連続のネットショートで、そのポジションは247%増の10.8トンと2週ぶりの増加。LBMA PMプラチナ価格は7.7%安と2週ぶりの低さ。

  • コメックスのパラジウム先物・オプションのネットポジションは3週連続のネットロングで8.7%増の1トン。LBMA PM価格は3%安で2週ぶりの低さ。

  • 金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、今週木曜日までに6.6トン(0.7%)増で946トンと14週ぶりの週間の増加傾向で、2020年3月24日以来の低さから今週月曜日から3営業日連続で上昇していたこと。

  • 金ETFの第2の規模のiShare Gold Trustの残高は、今週木曜日までに2.1トン(5%)減で477トンと2020年7月22日以来の低さで、6週連続の減少傾向であること。しかし、昨日は8月24日以来初めて0.06%と少量ながら増加していたこと。

  • 銀のETFとして最大銘柄のiShares Silver Trustの残高は、今週木曜日までに242トン(1.6%)減の14,716トンと9月半ば以来の低さで、2週連続の減少傾向となっていること。

  • 金銀比価は、今週火曜日に81台と4月末以来の低さへ下げた後に82台と5月上旬の低い水準へ多少上昇して終える傾向。2021年平均は71.83で、5年平均は80.35。(数値が高いと銀の割安傾向で、低いと銀割安傾向が解消されたこととなる。)

  • プラチナの金とのディスカウント(金との差)は、今週月曜日に799と9月半ば以来の高さであったものの、本日は779と下げていること。2021年平均は708.82ドルで5年平均は564.76ドル。

  • プラチナとパラジウムの差であるディスカウントは、今週1325ドルで始まり、水曜日に1390ドルと4月末以来の高さになった後に本日は1341ドルまで下げていること。ロシアが世界の4割を供給することからもロシアのウクライナ侵攻で2000ドルを超えてディスカウントが上昇。年初は1000ドルほど。

  • 上海黄金交易所(SGE)は今週中国のゴールデンウィークで休場。前週平均は、前々週の41.40ドルから43.23ドルへと上昇し2016年以来の高さ。(ロンドン価格と上海価格の差:プレミアムは中国での需要の高さ、ディスカウントは需要の低さを示す)昨年平均は4.94ドル。コロナ禍で特殊な動きをした2020年を除く5年平均は9ドル。

  • コメックスの先物・オプションの週間の平均取引量は前週から金は12%減で3週ぶりの低さ、銀は19%増で14週ぶりの高さ、プラチナは12%減で5週ぶりの低さ、パラジウムは8%増で5週ぶりの高さ。

来週の主要イベント及び主要経済指標

今週はFRBの今後の金融政策を予想する上でも本日発表の米雇用統計へ市場は注目していましたが、来週も金融政策に影響を与えるであろう指標が重要となり、水曜日のFOMC議事要旨と木曜日発表の米消費者物価指数はその中でも大きな影響を持つものとなります。


その他、水曜日の米卸売物価指数、金曜日の米小売売上高やミシガン大学消費者態度指数等も重要となります。

詳細は主要経済指標(2022年10月10日~14日)をご覧ください。

ブリオンボールトニュース

今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。

なお、弊社のYouTubeチャンネルでは、日々の弊社の金価格ディリーレポート(英文)を音声でもお届けしています。よろしければ、こちらも購読ください。

ロンドン便り

今週英国では、トラス政権の小型補正予算の一部減税撤廃、保守党党大会、天然ガス不足による電力供給が制限される緊急事態が発生する可能性、ウクライナ情勢が大きくメディアでは伝えられていました。

そのような中で、先週日曜日はロンドンマラソンが開催され、私の走り仲間も多く出走していましたので、このことについてお伝えしましょう。

世界のマラソンの中でも6大メージャーの一つであるロンドンマラソンは、通常4月上旬に開催されますが、パンデミックの影響で今年まで3度目の10月開催となっていました。

他の著名マラソンの中でもチャリティー枠が大部分であることから一般枠で最も当たる確率が低いと言われているロンドンは、4万2000人が当日ロンドンの東グリニッチから西のバッキンガム宮殿前までの26マイル(42.195キロ)の市内のコースを走っていました。

今回で42回目を迎えるマラソンは、今年のUEFA欧州女子選手権で優勝したイングランドチームのエレン・ホワイト選手やジル・スコット選手も参加していましたが、中距離でオリンピックの金メダルを4つ獲得して長距離へ移行したモー・ファラ選手は怪我で棄権していました。

ロンドンマラソンは仮装をして走る人々も多いのですが、今年はギネスブックの記録をそれぞれボトルの被り物等の仮装のカテゴリーや松葉杖を付いての最速を狙い、28のカテゴリーでエントリーがされていたようです。

ちなみに昨年は30のカテゴリーでギネスブックの記録が更新されたとのこと。それは、パジャマでの最速男性ランナー(2時間51分45秒)、長靴での最速ランナー(2時間56分38秒)、二人の着包みでの最速ランナー(3時間17分12秒)、6人の着包みの最速ランナー(4時間34分52秒)等。

そして、最高齢ランナーは私の走り仲間の89歳の日本人の北畑耕一さんであることもBBCのサイトでも紹介されていました。

当日は、北畑さんのサポートでほぼ中間地点の20キロ地点のタワーブリッジからゴールバッキンガム宮殿まで応援で回りましたが、好天にも恵まれて多くの人々が沿道で応援をしていて、ランナーの方達は苦しい中も笑顔で答えながら走っていらっしゃいました。

北畑さんは78歳からマラソンを始めて、26回目のマラソンとのことですが、今回は目標通り7時間を切り、完走後に笑顔で待ち合わせの場所にいらっしゃる颯爽とした姿から、そしてマラソンを完走したランナーの皆さんの清々しい顔を見て、改めて健康で走れる喜びを思い返した一日となりました。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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