金市場ニュース

ニュースレター(2022年10月21日)FRB高官のハト派的コメントと日本政府と日銀の円買い介入で金は週間の上昇へ転じる

週間市場ウォッチ

今週金曜日午後3時の弊社チャート上の金価格はトロイオンスあたり1643ドルと、前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から0.4%安と2週連続の週間の下落で3週ぶりの低さとなっています。この間銀価格は、本日12時のチャート上の価格は前週のLBMA価格(午後12時)から2.1%安のトロイオンスあたり18.37ドルとやはり2週連続で週間ベースで下げいます。プラチナは本日午後2時の弊社チャート上では前週金曜日のLBMAのPM価格から0.5%安のトロイオンスあたり906ドルと2週連続で週間の下げとなっています。パラジウム価格は、前週のLBMAパラジウムPM価格と比較して、本日午後2時の弊社チャート上での価格は3.8%安のトロイオンスあたり2006ドルと2週連続の下げとなっています。

今週の金・銀・プラチナ・パラジウム相場の動きの概要

今週貴金属相場は、ドルインデックスが高止まりし、米長期金利が2007年以来の高さへ上昇する中で、金曜日ロンドン時間午後に主要通貨建てでは円建て以外の通貨のLBMA価格ベースで週間での下げを記録する傾向でした。

その後、FRB高官のハト派的コメントがウォール・ストリート・ジャーナルで伝えられ、長期金利が上げ幅を縮め、ドルが多少弱含む中で、日本政府と日本銀行の為替介入で日本円が151円から147円まで強含み、日本円建てを除く貴金属価格が全般上昇へ転じることとなりました。

そこで、本日のチャートは本日大きく動いた日本円建て金相場をお届けしましょう。

一週間の日本円建て金相場のチャート 出典元 ブリオンボールト

ちなみに、銀の中国からの輸出が今年中国の需要を見たすために減少していることが伝えられており、銀のETFの最大銘柄のiShareシルバーは今週も前週に続き残高を増加させるなど、銀のセンチメントの変化は見られています。

また、プラチナに関しては、ワールド・プラチナム・インベストメント・カウンシルが2023年以降供給不足となることを伝えており、コメックスのプラチナ先物・オプションのネットポジションが前週から17週ぶりにネットロングへ転換するなど、やはりセンチメントが変わってきているようです。

そのような中で、金は金ETFが6営業日連続で残高を減少させ、最大規模のSPDRゴールドシェアと第二規模のiShareゴールドがそれぞれ2020年3月と7月以来の低さとなるなど、センチメントは弱気と言えるかもしれません。

日々の金相場の動きと背景について

月曜日はドルインデックスと米長期金利が下げたことで、ほぼ全ての主要通貨で金相場は上昇したものの、その後長期金利が上昇に転じたことで上げ幅を失って、トロイオンスあたり1650ドルで終えていました。

ドルインデックスと米長期金利が下げたのは、同日ハント英新財務相がトラス政権の財源無き減税を含む小型補正案をほぼ撤廃したことで、英国ポンドが強含み、英国国債利回りが下げたことが要因となっていました。

そのため、英国ポンド建て金価格は上昇幅を抑えられた後に、他の通貨建て金相場同様にさらに下落していました。

火曜日金相場は、ドルと米長期金利が上昇する中で、トロイオンスあたり1652ドルと前日比終値と同水準で終えていました。

同日のドルと長期金利の上昇は、同日発表された経済指標やゴールドマン・サックス等の決算結果が良かったことからも、FRBによる大幅利上げ継続観測が広がったことからでした。

また、同日イングランド銀行が金融引締の延期を否定したことでポンドが弱含んだこともドルを相対的に強めた要因となった模様です。

そのような中、日本円は再び32年来の安値を更新して149円となったことで、日本円建て金相場はgあたり7915円へと上昇していました。

水曜日金相場は、米長期金利が2008年7月以来の高さへ上昇し、ドルインデックスも強含んだことで、トロイオンスあたり1627ドルと3週間ぶりの低さへ下げて終えていました。

これは、同日発表の英国の消費者物価指数が10.1%と40年ぶりの高さへ上昇していたことで、世界的なインフレ圧力の強さが意識され、ミネアポリス連銀カシュカリ総裁がインフレ更新が止まらない場合は、政策金利を4.75%を上回る水準に引き上げる必要が生じるかもしれないと見方を示し、FRBによる大幅値上げが長期続く観測が広がったことからでした。

木曜日金相場は、ドルインデックスが多少ながら弱含んだことで、長期金利は高止まりしているものの、トロイオンスあたり1645ドルへと前日終値比1.1%上昇して、前週終値まで戻したものの、その後上げ幅を失って1627ドルで終えていました。

ドルが弱含んだのは、同日ドイツの生産者物価指数が前月比2.3%、前年同月比45.8%高で、欧州中央銀行による利上げ幅が拡大する観測が入りユーロが強含んだこと、そして、英国のトラス首相が辞任したことで英政情混迷が終える観測で英国ポンドがやはり対ドル強含んだことが背景となっていました。

しかし、ニューヨーク時間に長期金利はFRBによる大幅利上げ継続の観測で4.154%と2008年7月以来の高い水準へと上昇していました。

これは、同日の新規失業保険申請件数が予想を下回り9月半ば以来の低さでなったこと、そしてフィラデルフィア連銀のハーカー総裁が、「インフレ抑制で進展が不十分という率直に残念な状況を踏まえれば、金利は年末までに4%を大きく超えると私は見込んでいる」と述べたことが伝えられ、FRBによる大幅利上げ継続観測が要因となったようです。

本日金曜日金相場は、米長期金利が本日の2007年以来の高値から下げて、ドルインデックスが上げ幅を削る中で、トロイオンスあたり1654ドルへと前日終値、前週終値比で上昇して推移しています。

米長期金利とドルが上げ幅を削った背景は、本日ウォール・ストリート・ジャーナルがFRB高官の中には将来の大幅利上に必ずしも賛同していないと伝えたことが背景となっている模様です。

また、本日日本円が再び32年ぶりの円安の151円代後半をつけたことからも、ロンドン時間夕方に政府と日銀が円買い介入で日本円が一時144円をつけるなど大きく強含み、日本円建て金相場はgあたり7996円の2週ぶりの高さから7760円へと急落するなど大きな動きをして、主要通貨建てでは唯一週間の下落を記録する傾向となっています。

下記では今週のドル建て金相場の動きのチャートをご覧ください。

過去1週間のドル建て金相場のチャート 出典元 ブリオンボールト

 

その他の市場のニュ―ス


  • 先週末から行われていたロンドン貴金属市場協会の年次会議の参加者における来年の年次会議時の価格予想は金が本日比12%高の1930.50ドル、銀は52%高のトロイオンスあたり28.30ドルであったこと。

  • コメックスの貴金属先物・オプションの資金運用業者のポジションは、先週11 日火曜日に米消費者態度指数を待つ中で、プラチナを除くすべての貴金属で強気ポジションが減少していたこと。

  • コメックス金の先物・オプションのネットポジションは2週連続でネットロングであったものの74%減で4トンと前週2021年11月以来の週間の急増を見せた後に下げていたこと。この間LBMA PM金価格は前々週比2.9%安で1664ドルと、2週ぶりの低さへ下落し、建玉は前週比2.4%減で2016年以来の低さであったこと。

  • コメックス銀の先物・オプションのネットポジションは、2週連続のネットロングであったものの、84%減の84トンと前週の6月21日の週以来の大きさから急減していたこと。この間LBMA銀価格は7.3%安で19.40ドルと前週の6月末以来の高さから下げていたこと。

  • コメックスのプラチナ先物・オプションは、4月19日の週以来連続のネットショートからネットロングへ転換し、そのポジションは1.07トンと、6月7日以来の高さ。LBMA PMプラチナ価格は3.2%安で895ドル。

  • コメックスのパラジウム先物・オプションのネットポジションは5週連続のネットロングで38%減の1.5トン。LBMA PM価格は3.1%安で2187ドルと前週の4月末以来の高さから下げていたこと。

  • 金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、今週木曜日までに10トン(1.1%)減で931トンと202年3月末以来の低さで、2週連続の週間で減少傾向。

  • 金ETFの第2の規模のiShare Gold Trustの残高は、今週木曜日までに12.8トン(2.69%)減で462トンと2020年7月初旬以来の低さで、8週連続の週間で減少傾向であること。

  • 銀のETFとして最大銘柄のiShares Silver Trustの残高は、今週木曜日までに2.9トン(0.02%)増の15,121トンで、2週連続の週間の増加傾向。

  • 金銀比価は、今週88と89間で推移し、9月末以来の高い水準。2021年平均は71.83で、5年平均は80.35。(数値が高いと銀の割安傾向で、低いと銀割安傾向が解消されたこととなる。)

  • プラチナの金と差であるプラチナディスカウントは、今週778から718まで下げて、3年来の低さ。2021年平均は708.82ドルで5年平均は564.76ドル。

  • プラチナとパラジウムの差であるプラチナディスカウントは、今週1091ドルと1117ドルの間を推移し、ほぼ7月末以来の低さへ下げていること。ロシアが世界の4割を供給することからもロシアのウクライナ侵攻で2000ドルを超えてディスカウントが上昇。年初は1000ドルほど。

  • 上海黄金交易所(SGE)のロンドン金価格との差は、今週平均は40.28ドルと2016年以来の高さ。(ロンドン価格と上海価格の差:プレミアムは中国での需要の高さ、ディスカウントは需要の低さを示す)昨年平均は4.94ドル。コロナ禍で特殊な動きをした2020年を除く5年平均は9ドル。

  • コメックスの先物・オプションの週間の平均取引量は前週から金は12%減、銀は29%減、プラチナは15%減、パラジウムは11%減で、それぞれ、7週、12週、7週、3週ぶりの低さへ下げていたこと。

来週の主要イベント及び主要経済指標

今週は引き続き世界の債券市場も動かした英国の政情、そしてユーロ圏の消費者物価指数が注目されていましたが、来週は木曜日に欧州中央銀行、金曜日に日本銀行の金融政策決定会合後の発表があり、FRBがインフレ指標として重視している金曜日の個人消費支出のPCEデフレータなどへ市場は注目することとなります。

その他、月曜日の主要国の製造業とサービス部門のPMI、木曜日の米国GDP、耐久剤受注や新規失業保険申請件数、金曜日のミシガン大学消費者態度指数等となります。

詳細は主要経済指標(2022年10月24日~28日)をご覧ください。

ブリオンボールトニュース

弊社日本市場責任者のホワイトハウス佐藤敦子が、11月10日日本時間午後7時(英国時間午前10時)にサンワード貿易株式会社主催の「金や海外資産への分散投資のススメ」というウェビナーに、日本貴金属マーケット協会の代表理事の池水雄一氏と登壇します。これは、無料で参加が可能ですので、よろしければ先のリンクでお申し込みください。 

サンワード貿易主催ウェビナーのお知らせ

今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。

なお、弊社のYouTubeチャンネルでは、日々の弊社の金価格ディリーレポート(英文)を音声でもお届けしています。よろしければ、こちらも購読ください。

ロンドン便り

今週英国では日々大きく変わり続けた英国の政権とそれによる金融市場の動き、そして英国で10.1%と40年来の高いインフレをつけたことなどが大きく伝えられてます。

そこで、今週の政権関連ニュースをまとめてみましょう。

月曜日 ジェレミー・ハント新財務相が、9月23日にトラス政権が発表した小型補正予算のほぼ全てを撤回し、光熱費抑制策は2年間から6ヶ月間と期間を短縮。これにより減税規模約450億ポンドのうち320億ポンドが撤回。トラス首相は国会での答弁を欠席したものの、急遽BBCの政治記者とのインタビューを受け、小型補正案が金融市場を揺るがしたことを謝罪したものの、辞任の意思はないと明言。

水曜日 トラス首相は国会で野党党首を含む議員との答弁に臨む。同日夜にスエラ・ブラヴァマン内相が閣僚規範違反を理由として辞任。その辞表で暗にトラス首相を批判。また、同日行われた議会での採決での混乱から保守党院内幹事長が辞任とのニュース後、辞任は否定されるなど、党内運営の混乱が改めてニュースのトップへ。

木曜日 午前中に党首選の運営を担う党内組織「1992年委員会」のグラハム・ブラディ委員長がトラス首相と面会したことが伝えられ、昼過ぎにトラス首相が辞任の記者会見を行う。

同日「1992年委員会」が党首選の詳細を発表し、立候補には月曜日午後2時までに当所属下院議員の100人以上の推薦が必要とし、立候補者が最大3人に限られることが明らかとなる。立候補者が1人の場合は無投票で決まり、2人であれば党員によるオンライン投票。3人の場合は、議員投票で2人に絞り込んで党員によるオンライン投票。

つまりは、早ければ24日月曜日午後2時の段階で時期首相が決まり、遅くとも28日金曜日に決まることとなります。

31日には英国政府は中期財政計画発表するために、先の日程が決まったとのこと。

本日英国時間夕方に前党首戦で3位のモーダント下院議長が立候補したことが伝えられていますが、ボリス・ジョンソン前首相を支持すると公表した議員もすでに明らかとなっており、ジョンソン首相が立候補することになるのか、そして前回2位で次期首相最有力とされているスナク元財務相の動きもまた注目されています。

ジョンソン前首相が辞任後、2ヶ月近くを費やして保守党が選出したトラス首相が、45日と史上最短で辞任せざるを得なくなった状況には目も当てられませんが、来週もまた英国政情から目が離せない状況は変わらないようです。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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