金市場ニュース

金価格ディリーレポート(2022年10月17日)金相場はほぼ全ての主要通貨で上昇、ただし英新財務相の減税策撤回での英国ポンド建て金は頭を抑えられる

金相場は、月曜日にほぼ全ての主要通貨で上昇しましたが、ジェレミー・ハント財務相が前任者のクワシ・クワルテング氏の財源無き減税を撤回した後に、ポンドが上昇し英国債が急騰したため、英国ポンド建て金価格では上値が抑えられることとなりました。
 
ドル建ての金現物相場は、ロンドン時間昼過ぎに先週の2ヶ月ぶりの最大の週間の下げ幅をほぼ半分に縮小し、トロイオンスあたり1.2%上昇の1665ドルとなっていました。
 
ポンド建ての金価格地金は、為替市場でポンドが上昇したため、上げ幅を抑えられて0.05%高の1472ポンドとなっていました。ユーロの金価格は、この間0.9%上昇して1706ユーロとなっていました。
 
それに対し、 日本円建て金価格は、本日再び日本円が対ドル32年ぶりの低値をつけたことからも、gあたり7967円と前週終値比1.3%高の1週間ぶりの高値を記録していました。
 
先週金曜日に新たに財務相に就任したジェレミー・ハント氏は、リズ・トラス首相の経済成長を目指す小型補正予算案発表以来混迷を続ける英国債券及び為替市場を落ち着かせるために、本日月曜日に3週間前に発表された ほぼ全ての減税策を撤回するとともに、エネルギー補助の期間を2年から6ヶ月に縮小させることを発表していました。
 
つまりは、約450億ポンドの税源無き減税策の、約320億ポンド分を撤回したこととなります。
 
この発表の直後、英国ポンドは対米ドルで早朝の上げ幅を拡大し、1ポンド=1.13ドル前後へ強含んでいました。
 
英国ポンドは3週間前に、減税と歳出拡大の大盤振る舞いで英国への信頼が損なわれる恐れからも、対米ドルで1.037ドルと史上最低水準まで下落していました。
 
これにより、英国の金価格(トロイオンスあたりポンド)は 過去最高の1580ポンドを記録しました。
 
対ドル英国ポンドのひと月の推移 出典元 BBC
 
また、このニュースを受けて英国国債の利回りが低下し、つまりは政府の借入額減少となっていました。
 
英国長短国債利回りの推移 出典元 ブルームバーグ
 
30年物国債の利回りは、ハント氏の 週末のインタビューで小型補正予算を含む全ての政策への見直しが示唆されたことで、すでに月曜日の市場明けと同時に低下し、ハント氏の声明の後にさらに39ベーシスポイント低下して4.37%になっていました。
 
イングランド銀行は、債券市場の混乱で厳しい状況に陥っていた年金基金を保護するために介入を余儀なくされた後、2週間にわたる緊急債券買い入れプログラムを金曜日に終了させていました。
 
イングランド銀行の金融政策委員会は11月3日に開催され、金利に関する次の動きを決定する予定です。
 
それに対し、ベンチマークとして政府だけでなく多くの金融・商業機関の借入コストの指標となる米国債10年物利回りは、 先週米消費者物価が予想を上回ったことで2日間で14年ぶりの高水準となる節目の4%台を2度上回った後、本日8ベーシスポイント低下して3.94%となっていました。国債価格と利回りは逆方向に動きます。
 
ドルインデックス(主要通貨に対する米国の通貨価値の指標)は、月曜日昼過ぎまでに0.4%下げて、2週間の上昇傾向を止めていました。
 
一方、上海金取引所の金価格はロンドンに対してプレミアムを示し続け、月曜日にトロイオンスあたり35ドルまで上昇していました。これは、国内の人民元価格が6営業日ぶりの安値となり、中国の通貨が2008年以来の低い対ドルレートまで下落したにもかかわらずでした。
 
金地金の世界最大の消費市場である中国の金現物市場では、先週、週平均が中国のゴールデンウィーク前の40ドルから32ドルに下げ幅を縮小していましたが、9月の月間平均プレミアムは32ドルで、鉱山業界のワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)によると 約6年ぶりの高水準となっていました。
 
WGC中国は、「旺盛な内需が、中国の金価格のプレミアムを牽引する最も重要な要因である」と述べています。
 
10月初旬の7日間のゴールデンウィーク中の中国における金消費は、第4四半期の需要の強さについて複雑なシグナルを送っていました。それは、一部の小売業者は、予想される売上高を押し上げていましたが、コロナウィルス感染拡大とそれを防ぐための移動規制のある都市の小売業者にとっては良いものではありませんでした。
 
中国共産党は日曜日に10年に2度の第20回全国代表大会を開催しました。そして、3期目を任される見込みの習近平国家主席は大会の冒頭で、今後5年間のビジョンを示しました。
 
2時間近くに及んだ演説で、習近平は中国の「ゼロ・コロナ」政策を称賛し、一部の投資家が期待した経済成長への政策優先の転換を示唆することはありませんでした。
 
そのような中で、今回の党大会の最中に発表される予定だった、注目の中国国内総生産成長率を含む第3四半期の経済データの発表は土壇場で延期されていました。
 
 
 

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

注意事項: ここで発信される全ての記事は、読者の投資判断に役立てるための情報です。しかし、実際の投資にあたっては、読者自身にてリスクを判断ください。ここで取り扱われる情報及びデータは、すでに他の諸事情により、過去のものとなっている場合があり、この情報を利用する際には、必ず他でも確証する必要があることを理解ください。Gold Newsの利用については、利用規約をご覧ください。

SNSで最新情報を入手

Facebook   TwitterYoutube

 

金市場の需要/供給ニュース