金市場ニュース

ニュースレター(2021年8月6日)好調な米雇用統計後、金は5週ぶりの最低値へ急落

週間市場ウォッチ

今週金曜日午後3時の弊社チャート上の金価格はトロイオンスあたり1763ドルと、前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から3.4%安と下落し、5週ぶりの低さとなっています。また銀価格は、本日12時のチャート上の価格はトロイオンスあたり24.96ドルと、前週のLBMA価格(午後12時)から2.1%安で、ほぼ4ヶ月ぶりの低さとなっています。そして、プラチナは本日午後2時の弊社チャート上では999ドルと、前週LBMA価格から4.3%安と今年の最低値で昨年12月22日以来の低さへと下げています。

今週の金・銀・プラチナ相場の動きの概要

今週は本日発表の米雇用統計を待つ中で、貴金属価格はプラチナを除き狭い範囲での動きとなっていましたが、本日の良好な雇用統計後全ての貴金属は大きく数カ月ぶりの低さへと下げることとなりました。

本日の米雇用データの詳細は下記の「日々の金相場の動きと背景について」で触れていますが、非農業部門雇用者数、失業率、平均時給が全て予想を上回って経済の順調な回復が示唆されていたことで、米ドルが一週間ぶりの高さ、長期金利が3週ぶりの高さへ上昇するなど、FRBの金融緩和縮小観測が再び広がっている模様です。

ドル建てコモディティである貴金属はドルが強まると下げる傾向があり、金利を産まない金の価格と長期金利は、歴史的にほぼ逆相関で推移します。今回はドルと金の推移を示すチャートを下記に添付します。ここで、ドルと金価格がほぼ逆方向へ動く傾向があることをご覧いただけます。

金価格とドルの動きの推移 出典元 セントルイス連銀

なお、本日銀とプラチナも同様に大きく下げていますが、銀とプラチナの市場規模は金よりも小さいために、価格のボラティリティは大きくなる傾向があります。

それに加え、プラチナは今週他の貴金属が下げる前に下げ幅を広げていました。これは、先週もお伝えしたように世界的な半導体不足で自動車生産が滞っていることから、自動車の排ガス浄化装置の需要が高い割合であるプラチナ需要減少観測が広がっていたことの模様です。

日々の金相場の動きと背景について

週明け月曜日ロンドン時間午前中は実質金利が先週達した市場最低値の水準であるにも関わらず、前週終値比下げていましたが、その後この金利が更に下げて、ドルが弱含む中で、前週終値を上回る水準のトロイオンスあたり1812ドルで終えていました。

この金利とドルの下げは同日発表された米ISM製造業景況指数が予想を下回ったことが要因となりました。

しかし、昨年金相場が史上最高値を付けた際は、この数値はマイナス1%割る水準であったことからも、金の上げ幅が十分ではないこと、またさらなるきっかけが出ない限り、より強い上げ基調が生まれず、「上がりきらないものは下げるしか無い」という格言が意識されることになるとブリオンバンクのコメルツ銀行のアナリストはコメントしていました。

火曜日金相場は、きっかけとなる指標やイベントが無い中で、トロイオンスあたり1810ドルを挟んで8ドルほどの狭い幅での動きとなっていました。

今週は金曜日の米雇用統計、その先行指標のADP全国雇用者数が明日に控えていたこと、欧米は夏休みに入っていることからも、様子見の市場は動意薄となっていました。

水曜日金相場は、経済指標及びFRB高官のコメントで大きく動くこととなりました。

まず同日発表された、米雇用統計の先行指標と見られているADP全国雇用者数が予想の69.5万人を大きく下回り33万人であったことから、長期金利が大きく下げて金はトロイオンスあたり1831ドルまで一時上昇しましたが、その後米連銀のクラリダ副議長が、2023年に利上げを開始する準備ができていると述べたことが伝えられ、長期金利が数日ぶりに1.2%を超えて上昇したことで、金は同日の上げ幅をほぼ失う事となりました。

木曜日金相場はロンドン時間午後に長期金利が上昇する中で、一時1800ドルを割る水準まで下げ、ロンドン時間夕方に1806ドル前後を推移していました。

先の長期金利の上昇は同日発表の米新規失業保険申請件数が予想とほぼ同水準と、雇用の継続的な改善が見られたことが要因となりました。

そこで、翌日の雇用統計を前に、前日ADP全国雇用者数が予想を大幅に下回った事による懸念が後退したからでした。

本日金相場は、市場注目の米雇用統計が発表され、非農業部門雇用者数が予想の87万人を上回る94.3万人と史上5番目の増加規模で、失業率は前回の5.9%から予想の5.7%も下回る5.4%となっていました。

そこで、この発表後ドルが強含み、米国債10年物の利回りが上昇したことで、金はトロイオンスあたり1762ドルと6月30日以来の低さへと大きく下げることとなりました。

そしてこの下げのテクニカルな要因としては、直近のサポートの1790ドルを割ったことで、更なる売りを引き起こした模様です。

ブリオンボールト・リアルタイム金価格チャート

その他の市場のニュ―ス

  • コメックスの貴金属先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、先週27日、FOMCの結果が発表される前日に世界株価が中国の規制強化で下げる中で全ての貴金属で減少していたこと。
  • コメックス金の先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、2.8%減の329トンと、3週ぶりに減少していたこと。また、建玉は2週連続で減少していたこと。
  • コメックス銀の先物・オプションのネットロングポジションは、前週比19.3%減の3,295トンと3週連続で減少し、2020年5月19日以来の低さとなっていたこと。
  • コメックスのプラチナ先物・オプションのネットロングポジションは、前週比1.7%減で12.97トンと4週連続で減少し、2020年11月17日以来の低さへ減少していたこと。
  • コメックスのパラジウム先物・オプションのネットロングポジションは、前週比0.9%減で7.8トンと2週連続で減少し、4週ぶりの低さへ下げていたこと。
  • 金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、今週木曜日までに4営業部中3営業日減少し、週間で3.9トン(0.4%)減少して、先週5週ぶりに週間の増加となっていた後に週間の減少となっていること。
  • 金ETFの第2の規模のiShare Gold Trustの残高も、木曜日までに4営業日中2営業日減少し、週間で0.7トン(0.14%)減で、先週4週ぶりに週間の増加後に減少となる傾向であること。
  • 銀のETFとして最大銘柄のiShares Silver Trustの残高は、今週木曜日までで週間で7.4トン(0.04%)減少し17,202トンと、2週連続の減少の傾向となっていること。
  • 金銀比価は、今週水曜日にADP全国雇用者数が大きく予想を下回って、経済回復懸念から工業用途需要が高い銀が下げたことで、一時70台を付けた以外は、71台を推移していること。
  • 上海黄金交易所(SGE)の価格は、ロンドン価格に対し、プレミアム(ロンドン価格と上海価格の差 - プレミアムは中国での需要の高さ、ディスカウントは需要の低さを示す)で、週間平均は2.21ドルと前週の2.86ドルから増加していたこと。
  • コメックスの金、銀、プラチナの先物の取引量は、今週木曜日までに金と銀は直近のレンジ内を推移していたことからも、週間で減少し、金は5週ぶり、銀は2週ぶりの低さで、プラチナは価格が他の貴金属より下げていることからも2週ぶりの高さへ上昇していたこと。

来週の主要イベント及び主要経済指標

今週市場は先ほど発表された米雇用統計に注目し、予想を上回る結果で金相場はトロイオンスあたり1800ドルを割って大きく下げていますが、来週の注目指標は、FRBの金融政策に影響を与えるかの可能性がある水曜日の米国の消費者物価指数、木曜日の新規失業保険申請件数等となります。

その他指標では、月曜日の中国の消費者物価指数、木曜日の米卸売物価指数、金曜日のミシガン大学消費者態度指数等となります。

詳細は主要経済指標(2021年8月9日~13日)をご覧ください。

ブリオンボールトニュース

今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。

なお、弊社のYouTubeチャンネルでは、日々の弊社の金価格ディリーレポート(英文)を音声でもお届けしています。よろしければ、こちらも購読ください。

ロンドン便り

今週英国では引き続き東京オリンピックの模様が日々大きく伝えられています。

英国の最多メダル獲得数はリオオリンピックの67とのことで、本日の段階で58と速いペースでメダルを獲得していますが、8日の最終日までにこの数を超えることができるかということのようです。

そのような中で、出場選手のメダル獲得に至るまで(また獲得に至らなくとも)様々なストーリが伝えられていますので、本日はメダル獲得後、様々な理由で英国で話題となっている英国選手を二人ご紹介しましょう。

スカイ・ブラウン選手

スケートボードで銅メダルを獲得したブラウン選手は13歳と英国最年少のメダリストとして話題となっています。また、昨年5月に練習中に頭蓋骨や左手を骨折する大怪我をしながらもオリンピックで結果を残したこと、そしてスケートボード同様に力を入れているサーフィンでもオリンピックを狙いたいと述べていることなども注目されているようです。

それに加えて、インタビュー等で見ることができる、年齢に見合った弾けるような明るさ、他を気遣う優しさや、大舞台で結果を出せる強さ等からも人気となっているようです。

トーマス・ディリー選手

男子シンクロ高飛び込みで念願の金メダルを得たディリー選手は、国内外の競技に9歳から出場し、最初のオリンピックは2008年の北京で当時14歳。この時点で決勝へ進出した最年少であったとのこと。その後15歳で世界ランキング1位を取り、2012年のロンドンオリンピック、2016年のリオオリンピックでは共に銅メダルを獲得していました。

そこで、英国の人々にとってはディリー選手は、北京、ロンドン、東京というオリンピックやその間の様々な国際大会での活躍を彼の成長とともに見守ってきたという気持ちがあるようです。そのためにも、ようやく金メダルを取れたことを国中がまるで自分の家族のように喜んでいたように感じました。

また、彼は同性愛者であることを2013年に発表し、LGBTQコミュニティーのロールモデルともなっていました。

そして、今回のオリンピックでは、パンデミック中に夢中となった趣味の編み物を、観客席でダイビング競技に出場する選手を応援する中で黙々としている姿が好意的に報道されていました。

残り2日となったオリンピックでは、マラソンを含めた陸上競技、野球、バスケットボール等の球技の決勝などが残っているようで、個人的にとても楽しみにしています。

パンデミック中であることからも、オリンピック開催そのものが危ぶまれたこの大会ですが、トップアスリートが繰り広げるドラマは英国の人々を魅了していることは間違いないようです。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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