金市場ニュース

ニュースレター(2020年9月4日)ドル高で下げた金価格は良好な米雇用統計で更に下げる

週間市場ウォッチ

今週金曜日午後3時の弊社チャート上の金価格はトロイオンスあたり1925.73ドルと、前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から1.62% 下げています。また銀価格は、本日12時のチャート上の価格はトロイオンスあたり26.82ドルと前週のLBMA価格(午後12時)から1.94%下げています。そして、プラチナは本日午後2時の弊社チャート上では901.84ドルとかろうじて900ドルを守ったものの前週金曜日のLBMA価格から3.03%下げています。

今週金相場は本日の雇用統計を市場が待つ中でドルが強含み、トロイオンスあたり1964ドルから1920ドルまで下げることとなりました。これにより、金価格は8月6日に2075ドルをと史上最高値を付けて以来、4週間で3度週間の下げを見せたこととなります。しかし、最高値を付けるまで金価格は9週連続で上昇しており、これは、金本位制が廃止されて以来3番めに長期の上昇期間となります。

それでは、まず今週ドルを強含めた要因について下記にリストアップしてみましょう。


  • 月曜日発表の米ISM製造業景況指数が2018年以来の速いペースで上昇していたこと。

  • 火曜日に欧州中央銀行のチーフエコノミストであるレーン専務理事によるユーロ高けん制ととらえられる発言や、水曜日発表のEUの生産者物価指数が低下したこと、そしてユーロ域内ウイルス再燃を受けた見通しが悪化したことなどから、ユーロが弱含んだことでドルが相対的に上昇。ちなみに、ユーロは対ドル3月後半以降11%近く上昇する中で、火曜日に2年4ヶ月ぶりの水準へと上昇し、ドルを押し下げた際には金は一時1990ドルを超えていました。

  • 水曜日発表の米ADP全国雇用者数は予想の95万人を下回り42.8万人となっていたものの、前回修正値の21.2万人を上回っていたこと。

  • 新規失業保険申請件数が88.1万件と前週の101.1万件と予想の95万件も下回っていたこと。

  • 本日の米雇用統計で非農業部門雇用者数 は137.1万人と、予想の140万人より低く前回修正値の173.4万人も下回っていましたが、ほぼ予想の水準ではあり、また失業率は前回10.2%、予想9.8%も下回り5ヶ月ぶりに10%を下回る8.4%となっていたこと。

その他の金を押し下げた要因


  • 3月に急落以来下げ幅を取り戻す急騰を続けていた株価が、昨日米国市場ではハイテク株を中心にナスダックは前日比5%の大幅安となり、本来リスクオフ基調は金をサポートするものの、金のキャッシュアウト(他の資産の損失を埋めるための現金化)を警戒して頭を押さえられたこと。

  • 本日は良好な雇用統計後ドルが強含んだ際に米長期金利が上昇しており、金利を生まない金はこの動きでも押し下げられている模様です。

なお、今週金市場への影響は限定的でしたが、FRBの下記の発言は、より緩和的な政策観測を広がらせています。


  • 月曜日のクラリダFRB副議長が長期低金利維持の可能性を再確認し、最大雇用達成のためにインフレ2%を上回る水準も容認するとし、過去の失業率の低下で先手を打った利上げは、間違っていた可能性があるという見解を示したこと。

  • 火曜日のブレイナード理事の追加緩和策が必要との発言。

ブリオンボールト・リアルタイム金価格チャート

 

その他の市場のニュ―ス


  • コメックスの貴金属先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、先週25日に市場がジャクソンホールのパウエルFRB議長の講演を待つ中で、銀を除き全ての貴金属で減少していたこと。

  • コメックス金の先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは前週比10.9%減の430トンとほぼ3ヶ月ぶりの低さげ下げていたこと。そして建玉は8週連続で100万枚を超えていたこと。

  • コメックス銀の先物・オプションのネットロングポジションは、前週比18.9%増の5,844トンと2週連続の増加で4週ぶりの高さとなっていたこと。

  • コメックスのプラチナ先物・オプションのネットロングポジションは、前週比17.9%減で18.8トンと2週連続で下げて5週ぶりの低さとなっていたこと。

  • コメックスのパラジウム先物・オプションのネットロングポジションは、前週比4.2%減の9.8トンと、2週連続の下げで4週ぶりの低さとなっていたこと。

  • 金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、今週木曜日までに週間で1.5トン(0.1%)減で1250トンと再び少ないながらも2週連続で週間の減少の傾向であること。

  • 金ETFの第2の規模のiShare Gold Trustの残高は、今週は週間で7.81トン(1.54%)増で512トンと過去最大を更新し、24週間連続の週間の増加傾向であること。

  • 銀のETFとして最大銘柄のiShares Silver Trustの残高は、今週111トン(0.63%)減で17,680トンと、3週連続で減少傾向であること。

  • 金銀比価は、火曜日に68台へ下げて今週71台を推移していたものの、本日は72へと上昇し、多少ながら銀割安傾向となっていること。

  • 今週上海黄金交易所(SGE)のディスカウント(ロコ・ロンドン価格と上海価格の差 - プレミアムは中国での需要の高さ、ディスカウントは需要の低さを示す)は、今週の平均が59と2週連続でそのディスカウント幅を最高値の75から狭めたこと。

  • コメックスの金取引量は金価格が緩やかに下げる中で、平均量で前週比11%減少して、ロックダウン時の低い数値に戻りつつあること。

来週の主要イベント及び主要経済指標

本日の米雇用統計で金市場は動きましたが、来週もECBの政策金利発表が木曜日、米消費者物価指数発表が金曜日にあり、市場は注目することとなります。

その他、今週金市場はドルの動きに反応していましたので、ドルを動かすイベントや指標、そしてニュースは重要となり、来週火曜日に米国議会が夏休みから戻りますので、コロナ対策追加経済政策関連ニュースは重要となります。

それでは、主要経済指標の詳細は主要経済指標(2020年9月7日~11日)でご覧ください。

ブリオンボールトニュース

今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。

なお、弊社のYouTubeチャンネルでは、日々の弊社の金価格ディリーレポート(英文)を音声でもお届けしています。

ロンドン便り

今週英国ではコロナウイルス関連のニュースがトップニュースである中でも、王室関連ニュースが幾つか大きく伝えられていましたのでご紹介しましょう。

まず月曜日には、故ダイアナ妃の銅像が、誕生60年を祝いかつて元妃が暮らしたケンジントン宮殿に面する公園に建造されると報道されていました。

これは、故ダイアナ妃の息子のウィリアム王子とヘンリー王子が共に望み、委託をして検討されていたとのこと。

近年不仲が公然となっている両王子ですが、今回は「宮殿を訪れる全ての人々にとって、この像が母親の人生や残した遺産を振り返るきっかけとなることを望んでいる」と共同声明を出していました。

そして、水曜日にはヘンリー王子とメーガン妃が、米動画配信サービス大手ネットフリックスと契約したことが発表されていました。

夫妻はこの3月で正式に王室から離脱し、米国へ生活拠点を移したことからも、英国での彼らに関する報道は減っていましたが、再びこの件でタブロイド紙などが、ここぞとばかりにこのニュースに関する記事を伝えています。

今回のネットフリックスとの契約は150万ドルに及ぶともされており、数年に渡りドキュメンタリーや長編映画や子供向け番組を作成して「希望を与えるコンテツの政策に取り組む」とのこと。

すでに、このような番組作成経験の無いことに対する否定的意見、また今回もエリザベス女王へは事前に話が通っていなかったなどと批判する記事も多いようですが、王室の一員としてできることではなく、柵のない自由な世界で生きることを選択した二人が、どのような作品を作り上げていくのか見守りたいと思います。

 

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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