金市場ニュース

ニュースレター(2020年2月14日)新型コロナウイルス感染の広がりによる懸念と良好な経済指標の中での株高でも金は上昇

 週間市場ウォッチ

今週金曜日午後3時の弊社チャート上の金価格はトロイオンスあたり1582.52ドルと、前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から0.6%上げています。また銀価格は、本日12時のチャート上の価格はトロイオンスあたり17.70ドルと、前週のLBMA価格(午後12時)から0.4%上昇しています。そして、プラチナは本日午後3時の弊社チャート上では971.88ドルと前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)とほぼ同レベルとなっています。

今週金相場は、新型コロナウィルス感染拡大と収束への観測でリスクセンチメントが動く中で堅固な動きをした後に、ドル建てでほぼ2週間ぶりの高さ、ユーロとスイスフランク建てで史上最高値、日本円では40年ぶりの高さで終えることとなりそうです。

月曜日金相場は新型コロナウイルスによる死亡者が2002年~2003年のSARSの志望者を上回り、主要諸国や関連機関がこのリスクを警告する中で、トロイオンスあたり1577ドルへ一時上昇していました。

同日中国政府は人々の移動と職場への復帰を解除し、中央銀行はウィルスに対応するためにビジネスに貸し出す特別な資金を商業銀行へ提供していました。

火曜日金相場は、世界株価が上昇する中で、一時トロイオンスあたり1566ドルまで下げていました。

世界株価の上げは、前日米国株価指数が史上最高値を付けた基調を受け継いだこと、米ジョンズ・ホプキンズ大の調査が「新規の感染者数は減少している」としたこと、ロイターもまた中国の感染症の専門家の発言として「新型肺炎の拡大は数週間以内に安定する」と伝えたことから、新型肺炎の懸念後退したことからでした。

なお、パウエル議長は同日の下院金融委員会の公聴会での証言で、中国発の新型コロナウイルス感染拡大に伴う影響を金融当局として注視していると述べたものの、米国経済に前向きな見方を示したことも伝えられていました。そのため、市場は金融政策に基本的な変更は無しという理解でありながらも、FRBが年内に再び金融緩和に踏み切るとの観測は浮かんでいたようです。

また、昨年9月に米短期金融市場で起きた翌日物レポ金利の急上昇については、金融当局が抑え込みに成功したとの認識を示し、パウエル議長はレポオペの積極な活用を徐々にやめる意向と述べていました。

水曜日金相場は、米国主要株価指数がアジアと欧州株価同様に上昇して始まり、ダウ工業株価指数が史上最高値を付ける中で、トロイオンスあたり1571ドルで終えていました。

同日の株価の上昇は、前日の株価の上昇基調を受け継ぎ、中国当局が発表している新型肺炎の感染者数の増加幅が縮小していたこと、中国習近平国家主席が経済目標達成に自信を示したこと等を市場は好感した模様です。

なお、前日の下院での議会証言に続き同日もパウエルFRB議長は上院で証言をしていましたが、前日の証言から大きな違いはなく、市場への影響も限定的となっていました。

木曜日金相場は世界株価が全般下げる中で、トロイオンスあたり1576ドルと上昇していました。

これは、中国の新型肺炎の認定基準の変更に伴い、感染者数が急増したことで、感染拡大への警戒感が再燃したことからでした。

本日金相場は、トロオンスあたり1581ドルと10日ぶりの高さへと上昇しています。この間、ユーロ建てではトロイオンスあたり1457ユーロと史上最高値を更新しており、日本円で建てではグラム当たり5580円と40年ぶりの高さへと上昇しています。

本日アジアと欧州株価は、新型肺炎の感染者数の増加で、主要消費国の中国での需要が減退するとの懸念が投資家心理の悪化につながったものの、中国を中心にアジア各国が新型肺炎の影響を抑制するための景気刺激策の検討に乗り出していることからも投資家心理の悪化に歯止めをかけてまちまちで終えていました。

しかし、本日発表された米小売売上高が4か月連続で少ないながらも増加していたこと、ミシガン大学消費者態度指数が2018年以来の高さであったことで、米国主要株価指数は全て上昇しています。

その他の市場のニュ―ス


  • CMEのFRBの今後の金利予想のFedWatchでは、一月前に9.5%が次回FOMCでの利上げを予想していたものの、今週はその予想が0%で利下げ予想が若干ながら増加していたこと。

  • コメックスの貴金属先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、先週4日に前日のコロナウィルスの肺炎感染拡大懸念が後退する中で株価が上昇する中で、銀を除きすべての貴金属で減少していたこと。

  • コメックス金の先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは前週比017.9%減の657.8トンと4週連続で下げて8週ぶりの低さとなっていたこと。

  • コメックス銀の先物・オプションのネットロングポジションは、前週比16.1%増の8,840トンと4週ぶりに増加していたこと。

  • コメックスのプラチナ先物・オプションのネットロングポジションは、前週比9.39%減の74.8トンと8週間ぶりに減少していたこと。

  • コメックスのパラジウム先物・オプションのネットロングポジションは、前週比11.86%減の21.4トンと5週連続で下げて昨年9月末の低さとなっていたこと。

  • 金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、今週木曜日までに週間で6.1トン増で922トンと昨年10月21日以来の高さとなっていたこと。

  • 金ETFの第2の規模のiShare Gold Trustの残高は、今週木曜日までに週間で3.19トン(0.86%)増で372トンと、5営業日連続で増加していたこと。

  • 銀のETFとして最大銘柄のiShares Silver Trustの残高は、今週木曜日までで週間で0.32%増加していること。

  • 金銀比価は今週88台から89台へと上昇(銀が割安)となっていること。

  • 今週上海黄金交易所(SGE)のプレミアムは、今週平均が1.49と少なくとも昨年8月以来最も低い数値となっていること。

  • コメックスの取引量は今週木曜日までの週平均量で前週比14%減少していたこと。

来週の主要イベント及び主要経済指標

今週も新型コロナウィルス関連ニュースで市場が動きましたが、来週も引き続き関連ニュースは注目されます。また主要経済指標では、水曜日のFOMC議事録は今後の金融政策を予想する中で重要となります。

その他主要指標では、月曜日の日本のGDP、火曜日のドイツとユーロ圏のZEW景況感調査、米国のニューヨーク連銀製造業景気指数、水曜日の英国の消費者物価指数と米国の生産者物価指数と住宅着工件数、木曜日の米国のフィラデルフィア連銀製造業景気指数と新規失業保険申請件数、金曜日のドイツとユーロ圏と英国と米国の製造業とサービス業のPMI、ユーロ圏消費者物価指数、米国の中古住宅販売件数等となります。

ブリオンボールトニュース

今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。

ロンドン便り

今週も新型コロナウィルス感染についてが日々トップニュースで伝えられていましたが、ボリス・ジョンソン首相が内閣改造を昨日行い、ここで予想外の展開があったことからも大きく伝えられていましたのでご紹介しましょう。

英国内閣では財務相は政権では首相に次ぐ位置となります。その財務相を昨年7月の組閣から務めていたサジード・ジャビド財務相が留任が予想されていたにもかかわらず、昨日突然辞任を表明していました。

この背景は、首相官邸サイドが財政を首相主導で行うことを望むことからも、ジャビド財務相の顧問を全て解任し、首相官邸の顧問が財務相の顧問を務めることを留任の条件としたことから、ジャビド財務相は辞任をせざるを得なかったと声明を発表しています。

なぜこのようなことに至ったかを深堀すると、英国のEU離脱の是非を決める国民投票の離脱派の顧問で、昨年末の総選挙で保守党が圧勝した際の立役者とも見られている、ボリス・ジョンソン首相の顧問のドミニク・カミング上級補佐官とジャビド財務相の確執があるようです。

これまでもジャビド財務相はカミング上級補佐官が反対する重要案件で、カミング氏を避けてジョンソン首相と直接合意を形成するなどして影響力を維持していたようですが、結果的にはカミング氏にしてやられたようです。

これにより、ジャビド財務相は秋の予算案が総選挙で3月へ延期されたために、一度も予算案を発表せずに財務相を退任することとなり、この後任はジャビド財務相の下で財務省主席政務次官を務めていたリシ・スーナック氏が昇進しています。

スーナック氏は、39歳の若さですが、オックスフォード大学を出て米スタンフォード大学でMBAをフルブライト奨学生として取得し、ゴールドマンサックスで勤務後にヘッジファンドのパートナーと、そうそうたる経歴を持っています。国会議員として選出されたのは2015年の総選挙ということですので、議員歴5年での財務相への昇進は稲妻のようなものとも伝えられています。

サッチャー政権下の1987年以来の歴史的な大勝をした与党保守党を率いるジョンソン首相の求心力の高さを改めて示すこととなりましたが、強すぎる首相の危うさも感じさせる内閣改造ともなったように個人的には感じるものともなりました。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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