金市場ニュース

ニュースレター(2020年11月20日)コロナワクチンニュースで金は押し下げられる中でプラチナは2ヶ月ぶりの高さへ

週間市場ウォッチ

今週金曜日午後3時の弊社チャート上の金価格はトロイオンスあたり1875.55ドルと、前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から0.81%安と下げて2週連続の下げとなっています。また銀価格は、本日12時のチャート上の価格はトロイオンスあたり24.19ドルと、前週のLBMA価格(午後12時)から0.23%下げて、やはり2週連続の下げ傾向となっています。そして、プラチナは本日午後2時の弊社チャート上では957.17ドルと前週金曜日のLBMA価格から6.71%高と2ヶ月ぶりの高さへ上昇しています。

今週は再び月曜日にバイオ製薬のモデルナのワクチンの臨床試験の良好な結果で世界株価が史上最高値を付けるリスクオンとなり、金と銀が頭の重い動きをして2週連続の下げ傾向である中で、プラチナが2ヶ月ぶりの高さへ上昇を続けるという異なる動きをしていました。

それでは、その背景について日々の動きとと共に解説してみましょう。

月曜日はモデルナのワクチンニュースがロンドン時間正午に入り、前週月曜日のように株価が上昇し、金は一時トロイオンスあたり1865ドルまで0.8%急落しましたが、その下げ幅は前週の5%を超えるものに比べて小幅なもので、同日中に1888ドルまでほぼ戻していました。

この間、先週金を大きく押し下げた米10年物国債利回りの動きも同様で、先週の8ヶ月ぶりの高さの0.97%高さには及ばない0.92%へと上げていました。金は金利がつかない資産ですので、金利上昇は金にとってはネガティブな要因となります。

また、ドルインテックスも前週後半に1週間ぶりの安値へ下げた水準から上昇して金を押し下げる要因となっていました。

そして、今年記録的な増加を見せている金と銀のETFの残高が前週減少していたことも、金へのセンチメントを下げていました。

その後火曜日は、米国小売売上高が予想を下回ったこと、米国のCovid-19感染者数が高止まりしていること、前日の株価の急騰の反発もあり、リスク基調が一服する中で、金は前日終値から多少下げる水準の1881ドルで終えていました。

水曜日は再びワクチンの良好なニュースでリスクオンが進み、トロイオンスあたり1869ドルと押し下げられることとなりました。

そのニュースとは、米製薬のファイザーと独ビオンテックが共同開発する新型コロナウイルスワクチンの臨床試験の結果が先週月曜日の90%以上の予防効果を上回る95%と伝えられ、ワクチンの早期実用化観測が広がったことからでした。ちなみに、月曜日のモデルナは94.5%と伝えられていました。

しかし、日本でのCovid-19感染者数増加のニュースが日本株を下げたように、欧米の感染者数の高さへは警戒感は広がっており、しかも米長期金利がパウエルFRB総裁の米国経済は未だ回復に至るには「長い道のり」があると述べたことで、4日連続で下げていたことは金をサポートしていました。

木曜日は、世界株価が下げたことでドルが安全資産として買われて金は一時1852ドルとサポートラインの1850ドルを試して、1863ドルで終えていました。

この背景は米新規失業保険申請件数が予想を上回ったこと、米感染者数がが高止まりしていることが背景にありました。しかし、オックスフォード大学と英製薬アストラゼネカが開発しているコロナワクチンの臨床試験の初期データで高齢者を含む全ての被験者に抗体反応が確認されたことやファイザーとモデルナのワクチンは米食品医薬品局から緊急許可を受けて供給が始まる見通しとなっていることはリスクオフ基調をある程度コントロールしていました。

この間プラチナは2ヶ月ぶりの高さへのトロイオンスあたり956ドルへと上昇し、金と差であるプラチナのディスカウントが1000ドルを割って50ドルを超えて今週動いていました。

この背景は、下記のようになります。


  • プラチナは他の貴金属が史上最高値や数年ぶりの高さへ上昇したことに比べて、3月の17年ぶりの価格の下げから戻しきっていなかったこと。

  • プラチナ主要産出国の南アフリカ・ランドが3月以来の高さに上昇していたこと。

  • 今週発表されたプラチナの最新の需給レポートで供給不足が予想されていたこと。

  • ワクチンで経済回復期待は工業用途が半数以上のプラチナにとってはポジティブなニュースであること。

それでは参考までに年初からの価格の推移を下記のチャートでご覧ください。

本日金曜日は、ロンドン昼過ぎに金は1879ドルまで一時上げていました。これは、米株価指数が下げていたことが背景となりますが、これは、ムシューニン米財務長官がFRBと共同で立ち上げた新型コロナに対応するための政策の一部を期限となる12月31日以降延長しない方針を示し、FRBは声明でその方針に反対をするなど、この政策運営を巡る不透明感が嫌気された模様です。

また、Covid-19 の感染拡大から米カルフォルニア州が夜間の外出禁止令を出したことによる、経済停滞への懸念も要因となっているようです。

しかし、ファイザーは本日新型コロナワクチンの米食品医薬局への緊急使用許可申請の意向を明らかにしており、株価をサポートし、金の上値を抑えている模様です。

その他の市場のニュ―ス


  • 銀の第3四半期の需給レポートがシルバーインスティチュートから発表され、銀もプラチナ同様にコロナ禍で供給が減少する中で投資需要の伸びで供給不足となる傾向とのこと。

  • コメックスの貴金属先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、先週火曜日10日にファイザーとビオンテックのコロナワクチンのニュースで貴金属価格が急落した際に、金と銀で減少し、プラチナとパラジウムで増加していたこと。

  • コメックス金の先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは前週比9.02%減の345トンへ3週連続で減少していたこと。これはショートポジションの増加は4週ぶりである中にロングポジションがほぼ18ヶ月ぶりの低さへ下げたことから。また、建玉は7週連続で100万枚を割っていたこと。

  • コメックス銀の先物・オプションのネットロングポジションは、前週比0.1%減の6439トンと7月21日以来の高さから2週連続の減少となっていたこと。

  • コメックスのプラチナ先物・オプションのネットポジションはネットロングへと一週間のネットショート後再び切り替わっていたこと。これは、前週比338%増で1.28トンと9月末以来の高さ。

  • コメックスのパラジウム先物・オプションのネットロングポジションは、前週比35.77%増で13.37トンと、2週ぶりの増加で2月25日以来の高さへ。

  • 金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、今週木曜日までに週間で17.1トン(1.4%)減で1217トンと2週連続の週間の減少傾向であること。

  • 金ETFの第2の規模のiShare Gold Trustの残高は、今週は週間で1.84トン(0.35%)減で529トンと週間で減少の傾向で、先週3月の金価格急落以来初めての週間の下げに続き2週続けての減少傾向であること。

  • 銀のETFとして最大銘柄のiShares Silver Trustの残高は、今週80.98トン(0.45%)減で17,498トンとやはり2週連続の週間の下げの傾向であること。

  • 金銀比価は、77台前半を安定して推移していたこと。

  • 上海黄金交易所(SGE)のディスカウント(ロンドン価格と上海価格の差 - プレミアムは中国での需要の高さ、ディスカウントは需要の低さを示す)の週平均は上海金価格が6月半ば以来の低さとなる中で、人民元が対ドル2年ぶりの高さへ強含んでいることからも、14.78と6月24日以来の低さとなっていたこと。

  • コメックスの取引量は、今週再びコロナワクチンのニュースで先週の下げ幅よりも狭いながら金と銀が下げる中で、金と銀は週間で先週の取引量から下げ、プラチナは価格が2ヶ月ぶりの高さへ上昇していたことからも、週間の取引量は前週を上回って推移していること。

来週の主要イベント及び主要経済指標

来週は木曜日が米国の感謝祭の祝日となりますので、翌金曜日は祝日ではありませんが、多くの人々が休暇を取るので薄商いとなる可能性があります。

また、本日はファイザーとビオンテックがコロナワクチンの緊急使用許可をベ米食品医薬品局へ申請と伝えられていますが、ワクチン関連ニュースは先週と今週市場を動かしたように重要となります。

そして、感染者数の拡大もまた警戒感の広がりで市場が反応しますので重要となります。

その他経済指標は月曜日から水曜日に主要国のPMIやGDP、そして水曜日にFOMCの議事録が発表され、これらに市場は注目することとなります。

その他の詳細日程及び指標については「主要経済指標(2020年11月23日~27日)」をご覧ください。

ブリオンボールトニュース

今週は日本貴金属マーケット協会(JBMA)がワールド・プラチナム・インベストメント・カウンシルが協賛で主催したプラチナムフォーカス番組に参加し、「欧米のプラチナ投資について」お話させていただきました。よろしければ、ご覧ください。

JBMA主催のウェビナーの前回3月のロンドン現地レポートでは「新型コロナ危機&金急騰とポンド」そして、「投資家動向と金市場の異変」についてもお話させていただいています。

このようにJBMAでは金及び貴金属全般のウェビナーを多く模様しています。よろしければ、JBMAのYouTubeチャンネルを購読いただければ、最新の番組の連絡が入りますので是非。

今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。

なお、弊社のYouTubeチャンネルでは、日々の弊社の金価格ディリーレポート(英文)を音声でもお届けしています。よろしければ、こちらも購読ください。

ロンドン便り

今週は英国でも新型コロナワクチン関連のニュース、感染者数が頑固なまでに高止まりしていること、クリスマスに家族や友人と会えるようにロックダウンがある程度解除される可能性があるのか等が日々トップニュースで伝えられています。

そのような中、毎年ここでご紹介している英国の様々なクリスマスコマーシャルが今週ほぼ全般出揃いましたのでそれらをお伝えしましょう。

毎年最も注目されるのはこのようなクリスマス用の物語性があるコマーシャルを2007年に最初に作った英国のJohn Lewisというデパートのものです。

今年はコロナ禍からも、例年のパーティーや豪華なイメージで予算を多くつぎ込んだものよりも、家族と過ごせる心温まるクリスマスを思い描くものが多いようです。

John Lewisの物語「Give a little Love(少しの愛情を与えてください)」は他の人に何か親切なことをすることをメインテーマとし、チャリティーパートナーの名前も出してこれらチャリティーへの寄付も募っています。

また、コカ・コーラのクリスマスコマーシャルは、今年は「泣ける」と評判となっています。

そして、マクドナルドのコマーシャルは、ティーンエィジャーの息子と母親の物語で、大人になる過程で親離れをしようとする子供との経験を持つ母親にとっては心に響くものでもあります。

それに加え、全く世界的には知られていないアイルランドのDIY(日曜大工)のお店Woodieのコマーシャルは、地域の人々がお互いを思いやる姿を描いていて今年は特に人々の琴線に触れたようです。

それでは、一足早いクリスマスの雰囲気をお楽しみください。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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