金市場ニュース

ニュースレター(2020年10月2日)米大統領候補TV討論、トランプ大統領Covid-19感染、雇用統計を消化する中で、米追加経済対策合意の期待のドル安で金は上昇

週間市場ウォッチ

今週金曜日午後3時の弊社チャート上の金価格はトロイオンスあたり1901.94ドルと、前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から2.27%高となっています。また銀価格は、本日12時のチャート上の価格はトロイオンスあたり23.91ドルと前週のLBMA価格(午後12時)から5.66%上げています。そして、プラチナは本日午後2時の弊社チャート上では891.03ドルと前週金曜日のLBMA価格から5.95%上昇しています。

なお、8月に金価格は史上最高値を記録した後に、9月にドル高で大きく押し下げられていた貴金属は、LBMA価格べースで月間の下げ幅が、金が3.6%、銀が13.25%、プラチナが4.95%と顕著なものとなっていました。

しかし、年初からの9月末までの金と銀の上げ幅は、それぞれ未だ24%と31%と強いものを見せている中、プラチナは年初に上昇していたことからも9%の下げとなっています。

さて、今週の週間の金の動きは、火曜日のトランプ大統領とバイデン前副大統領のテレビ討論を挟んで、ほぼ米国の追加経済対策の協議への楽観論と悲観論でドルが動く中で、それに反応する形で貴金属は動いていましたが、本日トランプ大統領がCovid-19に感染したことが伝えられ、金融市場が大きく反応する中で、金は上昇し、一時8営業日ぶりの高さのトロイオンスあたり1917ドルを付けていました。

それでは、今週市場が注目した米追加経済対策の動きを中心に金の動きを簡単にまとめてみましょう。

月曜日はペロシ下院議長が、ムニューシン米財務長官と合意する可能性はあると述べて楽観的観測でドルが弱含み、金が上昇に転じていました。

火曜日は民主党が新たな2.2兆ドル規模の経済対策法案を用意し協議される予定ではあったものの、トランプ大統領が妥協するのは1.5兆ドルまでと述べていたことからも、市場は合意へは懐疑的でありました。

水曜日は、トランプ大統領とバイデン前副大統領のTV討論の結果、バイデン氏優勢と伝えられ、トランプ大統領が大統領選の結果を認めないという混乱が懸念される中で一時ドルは強含んでいましたが、米与野党の追加経済対策の協議が継続され、ムニューシン米財務長官が「合意が可能だという希望を持っている。」と述べたことが伝えられ、再びドルが弱含んで金を押上げていました。

木曜日もムシューニン米財務長官とペロシ下院議長が協議を続け、前夜下院民主党が予定していた民主案の採決を先送りしたことで、与野党歩み寄りの期待もあり株価が全般上昇する中で、ドルが弱含んでいました。

本日金曜日は、トランプ大統領のCovid-19陽性が伝えられ、追加経済対策の与野党協議のダイナミクスに影響を与えると懸念が広がる中で、先程ペロシ下院議長は、航空会社に協議合意の可能性があるために、解雇を待つようにと述べたことが伝えられています。

ちなみに、米下院は3日から、上院は10日から休会して大統領選及び議会選の準備へと入るために、デットラインはかなりタイトなものとなっており、また下院は野党民主党が過半数、上院は与党共和党が主導権を握っていますので、この追加経済対策が大統領選以前に合意されるのはかなり厳しい見通しではある中、トランプ大統領のCovid-19感染で政治リスクも認識されて、ドルは本日前日比上昇しており、金の頭を抑えている模様です。

なお、本日は市場注目の米雇用統計が発表され、85万人の予想を下回る66.1万人で、失業率は7.9%と予想の8.2%を下回りましたが、市場の反応は限定的となっています。

ブリオンボールト・リアルタイム金価格チャート

その他の市場のニュ―ス


  • コメックスの貴金属先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、先週22日にドルが強含んだことで貴金属価格が下げる中で、パラジウムを除くすべての貴金属で減少していたこと。

  • コメックス金の先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは前週比20.67%減の408トンと、3ヶ月半ぶりの低さであったこと。これは、ロングが2週間ぶりの低さに過ぎなかったものの、ショートポジションが1年3ヶ月ぶりの高さであったことが要因。そして建玉は12週連続で100万枚を超えていたこと。

  • コメックス銀の先物・オプションのネットロングポジションは、前週比9.4%減の5534トンと4週ぶりの低さとなっていたこと。

  • コメックスのプラチナ先物・オプションのネットロングポジションは、前週比85.88%減で2.5トンと1年2ヶ月ぶりの低さとなっていたこと。

  • コメックスのパラジウム先物・オプションのネットロングポジションは、前週比1.69%増の12.34トンと、少ないながら4週連続の増加で6ヶ月ぶりの高さとなっていたこと。

  • 金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、今週木曜日までに週間で9.3トン(0.8%)増で1276トンと2週連続で週間の増加傾向であること。

  • 金ETFの第2の規模のiShare Gold Trustの残高は、今週は週間で0.98トン(0.19%)増で518トンと2週連続の上昇傾向であること。

  • 銀のETFとして最大銘柄のiShares Silver Trustの残高は、今週65.12トン(0.38%)増で17,079トンと、6週連続で減少後に週間の増加傾向であること。

  • 金銀比価は、火曜日に78台へ下げた後に79から80台を推移していること。これは、先週の83台より下げたものの、8月と9月上旬の70台前半よりは銀割安傾向。

  • 今週中国が1日から8日まで祝日で上海黄金交易所(SGE)はしまっているものの、週前半のディスカウント(ロコ・ロンドン価格と上海価格の差 - プレミアムは中国での需要の高さ、ディスカウントは需要の低さを示す)の平均は42.88と7月末以来の低さであったこと。

  • コメックスの金取引量は先週ドル高で大きく下げた後に、心理的節目のトロイオンスあたり1900ドルを超えて上げしぶる中で、平均量で前週比33%減少していたこと。

来週の主要イベント及び主要経済指標

今週は火曜日のトランプ大統領とバイデン前副大統領のテレビ討論、そして本日の雇用統計へ市場は注目する中でも、最大の市場の関心は米追加経済対策を米与野党が合意するかということでした。

しかし、本日のトランプ大統領のCovid-19感染ニュースで先の協議のダイナミックスも変わったとペロシ下院議長が述べていることも伝えられているように、またこれにより金融市場のボラティリティも高まっていることから、トランプ大統領の病状やCovid-19関連ニュースへ市場は来週以降注目することとなります。また、本日米追加経済対策が与野党の協議で合意となり下院を通過した場合は、上院での採決は重要事項となります。

来週の主要経済指標では火曜日のパウエルFRB議長発言と水曜日のFOMC議事要旨が重要となりますが、詳細予定は下記をご覧ください。

その他指標の予定は主要経済指標(2020年10月5日~9日)をご覧ください。

ブリオンボールトニュース

今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。

なお、弊社のYouTubeチャンネルでは、日々の弊社の金価格ディリーレポート(英文)を音声でもお届けしています。

ロンドン便り

今週英国は、Covid-19の感染率が全国的に高まる中で、地域的な人の移動の制限が強化されていることからこの関連ニュース、そして英国のEU離脱の移行期間を前に行われているEUとの貿易協議についてがトップで伝えられています。

そのような中、今週日曜日4日には4月から延期されていたロンドンマラソンが開催されるので、本日はそのことについてお伝えしましょう。

ロンドンマラソンは世界6大マラソンの一つであり、世界のランナーにとって最も走りたいレースの一つであることからも、申し込んだ人々の中で10分の1以下の確率で選ばれる一般ランナーにとっては、輝かしいレースです。

しかし、今年は新型コロナウィルス感染拡大を受けて、他の多くのレースが中止や延期になったように、ロンドンマラソンも4月から10月に延期され、当日はエリートランナーのみに限定し、通常のコースではなく、バッキンガム宮殿の隣りにあるセント・ジェームズ・パークの約2キロほどの周回コースを19.6周し、無観客で開催されることとなりました。

そのような中、今年ロンドンマラソンは40周年記念であることからも、今年出場権をとっていた一般ランナーにバーチャル(自分の決めたコースをそれぞれが10月4日に24時間以内に42.195キロを走る)枠を提供し、それ以外の人々へも45000人まで世界各国で参加できるように「Most inclusive(最も多様性を受け入れる)」レースを企画したのでした。

そこで、このバーチャルレースに参加する一般ランナーは、当日までにロンドンマラソンアプリをそれぞれがスマートフォンにインストールし、好きな時間に好きな場所で走ることとなります。

この欄では、私の趣味が走ることで、過去にマラソンに参加したことをお伝えしたことはありますが、今回始めてロンドンマラソンにバーチャルで参加することになっています。

この10年近く申し込んでは外れてきた憧れのレースにこのような形で参加できることとなり心は踊っていますが、今年は怪我などもあり十分な準備ができていませんので、まずは無理せず42.195キロの旅を楽しみたいと思います。

 

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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