金市場ニュース

金価格ディリーレポート(2020年9月28日)米大統領候補のTV討論前にコメックスが弱気ポジションを増加させる中で、金が下げを止めて銀が反発

月曜の金価格は本日ロンドン時間昼過ぎに下げから上げに転じていました。
この間、明日のトランプ大統領とバイデン前副大統領のテレビ討論会に向けて、週末伝えられた大統領の納税記録を巡って民主党が攻撃する中で、米ドルが下落し、株式市場が上昇していました。
 
ドルインデックスは、先週2ヶ月ぶりの高値を記録した水準から下落していました。
 
金地金の現物価格は、先週4.5%下落して2ヶ月ぶりの最低値を記録した後、本日0.3%上昇し、トロイオンスあたり1866ドルとなっていました。
 
「明日には最初の米大統領候補の討論会が予定されており、今週中にはBrexitの貿易交渉が行われ、金曜日には米雇用統計が発表される予定であるため、市場は非常に慎重な状況が続き、少なくとも最初の討論会が終わるまでは大規模なポジショニングは望めないだろう」と、証券会社のStone X Group Inc.のRhona O'Connell氏は述べています。
 
金のETFの世界最大と第2の規模のSPDR Gold Trust (NYSEArca: GLD)とiShares Gold (NYSEArca: IAU)の両方が金曜日にその残高を減少させていましたが、まだ全体として週間で残高を増加させていました。
 
コメックスの先物・オプション市場の最新データによると、ヘッジファンドやその他のレバレッジ投機家は、9月22日までの週に、金の強気ポジションを3週間で最小の規模に減らした一方で、弱気ポジションを15ヶ月間で最大に増加させていました。
 
これにより、資金運用業者のネットロングポジションは21%減少し、過去3ヶ月で最小となっていました。
 
コメックス金先物とオプションの資金運用業者のショートポジションとロングポジションの推移 出典元:ブリオンボールト
 
また、米国の規制当局である商品先物取引委員会(CFTC)が発表したデータによると、投機筋は銀に対するネットロングポジションを5週間で最小に減らし、プラチナ価格に対するネットロングポジションを14ヶ月で最小に減らしていました。
 
先週14.6%下落して2カ月ぶりの安値を記録した銀も金と同様に月曜日のニューヨーク取引開始が近づくと、、オンスあたり0.7%高の23.05ドルまで上昇し、小幅ながら、先週の下げ幅を削っていました。
 
この銀の強さが金銀比価を81弱まで押し下げていました。この数値は、3月のCovid-19の危機で史上最高値の125を付けた後に、今月初めに70へと大幅に銀割安状況を解消して、金銀比価は3年間の最安値を付けていましたが、先週再び83まで上昇していました。
 
プラチナ価格は本日2.2%上昇して866ドルとなり、先週の9%の下げ幅の一部を回復し、金に対するディスカウントをトロイオンスあたり1000ドル以下に緩和させていました。
 
金価格と同様に、欧州の株式市場も先週の多額の損失から回復し、中国からの良好な工業企業利益のデータや、中国のPing An Insuranceが先週の25年来の安値を付けた英国で上場しているHSBC(LON: HSBA)への多額の投資を発表したことで銀行株が反発したことがその要因となっていました。
 
日曜日、 ニューヨーク・タイムズは、ドナルド・トランプ大統領が2016年と2017年の両年共に連邦所得税をわずか750ドル支払ったのみと報じ、それは、トランプ氏が保有するビジネスの大規模な損失を使って何億もの利益を相殺した事によると発表していました。
 
「実際には、私は税金を払った 。」と、リアリティTVで名を挙げた不動産王は、この報道を「フェイクニュース(偽りのニュース)」として却下していました。
 
そして、「 私の確定申告書を見ればすぐにわかるでしょう。しかし、これは監査中で、このためには長期間必要とします。」と続けていました。
 
英国ポンド建て金価格は、英国とEUの交渉担当者が共に、今年末に英国のEU離脱までの移行期間が終了する前に重要となる10月中旬のEUサミットの前に、貿易協議のいくつか点で合意されるいう楽観的な見通しであるというニュースが伝えられる中で、ポンドが強含み、トロイオンスあたり1450ポンドと0.7%下落し、7月中旬の水準まで下げていました。
 
本日昼過ぎに欧州中央銀行のクリスティーヌ・ラガルド総裁が欧州議会で演説を行う前に、ユーロ建て金価格もドル安によるユーロ高を受けて上昇を押さえられ、0.1%安の1599ユーロまで下落していました。
 

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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