金市場ニュース

ニュースレター(2019年11月8日)米中貿易協議への楽観論の広がりで金は3か月来の低さへ

週間市場ウォッチ

今週金曜日午後3時の弊社チャート上の金価格はトロイオンスあたり1464.76ドルと、前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から2.9%の下げで3か月ぶりの低さとなっています。それに対し銀価格においては、本日12時のチャート上の価格はトロイオンスあたり16.79ドルと、前週のLBMA価格(午後12時)から7.3%下げで、やはり3か月ぶりの低さとなっています。また、プラチナは本日午後3時の弊社チャート上では890.18ドルと前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から4.8%の下げで、3週間ぶりの低さとなっています。

今週金相場は、米中ともに関税の部分撤廃の可能性を示唆するなど貿易協議の部分合意が近い観測が広がり、ドルと長期金利が上昇する中で、金は大きく押し下げられることとなりました。

月曜日金相場は米中貿易協議の部分合意に関するポジティブなコメントや米国の欧州自動車等への関税のが行われない可能性があるというニュースで株価が全般上昇する中で、金は押し下げられていたものの、心理的節目のトロイオンスあたり1500ドルを維持して終えていました。

火曜日金相場は、米中貿易協議部分合意関連でトランプ米政権が対中制裁関税の一部撤回を検討しているというニュースが伝えられ、ドルが強含み、米長期金利が5週間ぶりの高さへと上昇する中で、トロイオンスあたり1480ドルを一時割り、先週木曜日以来の低さへ大きく下げていました。

米政権は今月後半に予定する米中首脳会議で「部分合意」を実現させるため、9月から課している1120億ドル相当の中国製品への追加関税の撤回を検討していると伝えられ、12月15日に予定する「第4弾」の制裁関税も見送られる可能性があるとの観測が広がっていました。

また、中国の習近平国家主席が上海で同日開幕した「中国国際輸入博覧会」の基調講演で、グローバルな貿易障壁の除外など市場開放方針を示したことも投資家心理の改善につながっていた模様です。

そして、米ISM非製造業景況指数が予想を上回ったことも株価を上昇させ、金を押し下げる要因となっていました。

水曜日金相場は、トロイオンスあたり1490ドルと前日の下げをほぼ半減して終えていました。

これは、同日「米中首脳会談は日時や場所の論議がまとまらず、12月に遅れる可能性がある」と報じられたことで、米政府が12月15日に予定する対中制裁関税「第4弾」が発動されかねないと懸念されたことが要因となりました。

また、この数日米中協議の部分合意が近いとの観測で市場更新をしていた株価の調整も入っていたことから、金も調整で押し戻されていました。

木曜日金相場は、ドルが3週間ぶりの高さへ強含み株価が全般上昇し、S&P500種が史上最高値を更新する中で、10月1日以来の低さのトロイオンスあたり1460ドルへと前日比2.0%一時下げた後に、1469ドルへと戻して終えていました。

これは、同日中国商務省が、米国との貿易協議で発動済みの追加関税を段階的に撤廃する方針で一致したと発表したことから、部分合意は来月にずれ込むものの進展しているとの観測からでした。

金曜日も米中貿易協議の部分合意への期待が高まる中で、金相場は押し下げられてトロイオンスあたり1458ドル前後で1週間を終える方向で推移しています。

本日は、アジア時間に発表された中国の貿易収支で輸出高が予想を上回ったことで、米中貿易戦争への悪影響が予想以下であったこともリスクオン基調を高めていました。

その後ロンドン時間午後にトランプ大統領が関税を段階的に撤廃する方針には合意していないと否定したことで、株価が下げ金も多少上昇しましたが、その後再び米中貿易協議への楽観論が主流となり、S&P500種とダウ工業株30種平均も最高値を更新して終えることとなりました。

その他の市場のニュ―ス


  • 金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、今週木曜日までに0.2トン減少し914トンと、引き続き9月24日以来の低い水準となっていること。

  • 金ETFの第2の規模のiShare Gold Trustの残高は、今週木曜日までで0.59トン(0.17%)増の357.6トンと、引き続き史上最高値を更新していること。

  • 銀のETFとして最大銘柄のiShares Silver Trustの残高は、昨日0.70%増加し、10月10日以来の増加となっていたこと。

  • 金銀比価は今週木曜日までLBMA価格では82.99から84.87の間を推移していたものの、本日のロンドン時間正午の価格では89.72と銀が割安となっていること。

  • また、今週の上海黄金交易所(SGE)のロンドン価格との差のプレミアムは、水曜日に9ドル弱まで上げたものの、昨日5ドルを割り、本日は5.27となっていたこと。

  • 木曜日イングランド銀行の金融政策委員会で、政策金利を0.75%に据え置くことを決定したものの、2人の委員が利下げを主張し、他の委員からも世界的な景気減速やEU離脱を巡る向かい風が継続する場合は利下げを検討するとの見解が示されたことから、ポンドは対主要通貨で3週間ぶりの低さへ下げていたこと。

  • 先週末に発表されたコメックスデータによると、先週火曜日にトランプ大統領の米中貿易協議の部分合意が可能というコメントで金価格が下げる中、全ての貴金属で強気ポジションが増加していたこと。

  • コメックスの金先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは火曜日に3.17%増の725トンと3週間ぶりの高さとなっていたこと。

  • コメックスの銀先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、先週火曜日に11.9%増の7676トンと、5週間ぶりの高さとなっていたこと。

  • コメックスのプラチナ先物・オプションの資金運用業者のネットポジションは、48.8%増で35.7トンとなっていたこと。

  • コメックスのパラジウム先物・オプションの資金運用者のネットロングポジションは、1.66%増で45.6トンとなっていたこと。

来週の主要イベント及び主要経済指標

昨日金相場を大きく動かした米中貿易協議の部分合意関連ニュースは引き続き重要となりますが、その他主要経済指標は下記のようになります。

月曜日の英国の第3四半期GDPと鉱工業生産、火曜日の英国失業率、ドイツとユーロ圏のZEW景況感調査、水曜日のドイツ、英国、米国の消費者物価指数、木曜日の中国の小売売上高と鉱工業生産、ドイツとユーロ圏の第3四半期GDP、米国の生産者物価指数、金曜日のユーロ圏の消費者物価指数、米国のニューヨーク連銀製造業景気指数と小売売上高と鉱工業生産等ととなります。

ブリオンボールトニュース

金が米株価が上昇する中で下げたものの、トロイオンスあたり1500ドルを維持したことを伝える米経済サイトのMarketWatchで、弊社リサーチダィレクターのエィドリアン・アッシュのコメントが取り上げられていました。

ここでエィドリアンは、「FRBは米中貿易協議のポジティブなニュースが見出しを飾ることを祈りながら、利下げを休止した。」と述べ、「しかし世界の製造業の数値は悪化を示しており、その見通しは良いものではない、そして大部分の主要国の国債の利回りはインフレを考慮するとマイナスを付けている。これは、金の機会費用をマイナスとして価格を支えるものとしている。」とコメントしています。

今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。

ロンドン便り

今週英国では6日に議会が解散されて、正式に総選挙の選挙戦が始まりましたので、日々そのキャンペーンぶりが伝えられています。

 

その様な中で、来週11月11日は第一次世界大戦終結を記念したリメンブランス・デー(戦没者記念日)で、日曜日のリメンブランス・サンデーには多くの式典が行われることもあり、関連ニュースが伝えられています。

 

そこで、今年6月のノルマンディー上陸作戦75周年記念で英国国営テレビのBBCがこの作戦に参加したHarry Billinge氏へ行ったインタビューが多くの人に感動を与えていましたが、今朝のBBCの番組でも再度彼が招かれてインタビューを受けていましたので、ご紹介しましょう。

 

Billinge氏は今年93歳の英国人男性ですが、彼が18歳の時にノルマンディー上陸作戦に参加し多くの戦友が亡くなる中で生き残ったことからも、その戦友達の記念碑のために長年路上で募金を集めてきていました。そして彼の目標のノルマンディー上陸作戦で亡くなった22,000人に対して1ポンドずつ募るという22,000ポンド(約300万円)を超えたこともあり、インタビューを受けていたのでいた。

 

ここで、彼はこの募金が使われる記念碑が準備されているビデオを始めて見せてもらい、声を詰ませて「素晴らしい」と一言述べた上で、インタビューアーに今年6月に話したように、「私は勇敢ではない、ただ単に生き残れたラッキーな人間だ。私はこの作戦で亡くなった戦友に恩義がある。全ての作戦に参加した人々はお互いを心から愛し尊敬していた。それは、女性に対するもの以上のものだろう。それを正確に言い表すことはできないが、私は戦友の皆を愛し、2度と忘れることはない。」と語っていました。

 

そして、若者へのメッセージとして「多くの若い人達も募金をしてくれました。それは必ずしもノルマンディー上陸作戦がどのようなことだったのか理解したからではなかったかもしれません。しかし、私は彼らがこれから生きていく中でお互いを愛することを祈ります。この世には多くの憎しみや欲望や意味のないことがあふれています。それらは関与するべきものではないのです。」と伝えていました。

 

93歳にして未だ自分の使命は戦友たちを想いその経験を伝えることと活動しているBillinge氏に対して心から敬意を示し、11月11日のリメンブランス・デーにこの平和な日々を築くために戦った人々を想いたいと思います。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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