金価格ディリーレポート(2019年11月4日)米中貿易協議の部分合意期待が高まる中で、主要国債金利の82%が引き続きマイナス金利を付け、金相場はほぼ横ばい
本日金価格は、米中貿易協議の近い部分合意と欧州製品への米国の関税延期という楽観的見方から、先週金曜日に史上最高値を付けた米国株価を引き継いで世界株価が上昇する中で、多少ながら下げて推移していました。
また、本日からバンコックで行われているASEANサミットでは、インドを除く15か国が2020年中の協定署名に向けた手続きを進めることで合意しています。
金の現物価格は、ドルが5営業日連続の下げから多少上昇する中で、6週間ぶりの高い終値となった金曜日の水準から0.3%下げ、トロイオンスあたり1509ドルをロンドン昼過ぎに推移していました。
中国外務省の耿爽報道官は月曜日に、米中首脳会談開催の時期と場所について、習近平国家主席とトランプ米大統領はさまざまな方法でずっと連絡を取っていると述べ、トランプ大統領の部分合意が近いうちに行われるというコメントを肯定する内容となっていました。
主要国債価格は多少ながら下げ、その結果長期金利は上昇していました。
「金を動かす一つの重要な要素、特に中短期においては、機会費用となります。」と金産出会社の業界のマーケティング団体のワールドゴールドカウンシルの最新のレポートは分析しています。
「国債とは異なり、金は金利や配当を生み出しません。それはクレジットリスクがないからです。この金利を生み出さない投資は投資家をひきつけません。」
「しかし、先進国の26%の国債がマイナス金利で取引され、インフレを考慮すると82%の国債がマイナス金利となっている現在では、金の機会費用はなくなり、国債を保有することによる費用が発生しない利点ともなっているのです。」
欧州株価は、先週金曜日に予想を上回る米雇用統計で、製造業のデータ悪化による経済停滞懸念を打ち消し、S&P500種が史上最高値を更新後初めての取引の本日、2年ぶりの高さへと上昇していました。
ユーロ建て金相場は、本日のラガルド欧州中央銀行総裁の就任最初の演説を待つ中で、ユーロが12週間ぶりの高いレベルから多少下げる中で、トロイオンスあたり1355ユーロまで上昇していました。
主務長官であるロス米商務長官は3日、ブルームバーグテレビとのインタビューで「欧州と日本、韓国の友人たちととても良い対話をした」としながらトランプ政権が自動車関税を課す必要はないかもしれないと話したことが伝えられています。
ポンド建て金相場は、ポンドが12月12日のブレグジットの混迷を解決するためにボリス・ジョンソン首相が踏み切った総選挙を前に為替市場で直近の高値の水準を推移する中で、トロイオンスあたり1169ポンドと多少下げていました。
英国主要日刊紙のタイムズ紙は保守党が最大政党となることを予想し、反離脱政党の自由民主党が最大野党労働党に僅差で迫っているとのことです。
原油価格は全般上昇し、ブレント原油価格はひと月ぶりの高さへと上昇しています。これは、米中貿易協議の部分合意の観測と、来月のOPEC会議での大幅な減産にイランが合意する可能性があることが要因の模様です。
この間、昨日サウジアラビア国営石油会社サウジアラムコの世界最大と見られている新規株式公開(IPO)のプロセスが開始されています。
他の貴金属の銀価格は、ロンドン昼過ぎにドル建てにおいて0.2%上昇しトロイオンスあたり18.14ドル、プラチナは先週終値を0.3%上回るトロイオンスあたり952ドルとなっていました。