金市場ニュース

ニュースレター(2019年10月4日)テクニカル要因で大きく下げた後に、経済指標悪化で金価格上昇

来週私は休暇をいただきます。そこで、弊社ニュースレターはダイジェスト版を来週月曜日にお届けします。

週間市場ウォッチ

今週金曜日午後3時の弊社チャート上の金価格はトロイオンスあたり1499.16ドルと、前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から0.6%上げとLBMA価格においては5週ぶりの週間の上げとなっています。銀価格においても、本日12時のチャート上の価格はトロイオンスあたり17.59ドルと、前週のLBMA価格(午後12時)から4%上昇しています。なお、プラチナは本日午後3時の弊社チャート上では876.35ドルと前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から5.3%と3週連続で下落しています。

今週は月曜日に50日移動平均を割ったことでテクニカル要因の大きな下げを見せた後に、今週発表された経済指標が予想より悪化していたことで、その下げを取り戻して上昇していました。その後、本日市場注目の米雇用統計は予想を非農業部門雇用者数は下回ったものの、前月数値が上方修正されたことからも、ロンドン時間午後はトロイオンスあたり節目の1500ドルを挟んでのもみ合いとなっていました。それでは、日々の動きをお届けしましょう。

月曜日は、9月末、四半期末でポジション整理が進む中で、ドルインデックスが今年年初からの最高値を付けるドル高となり、金相場は50日移動平均を割ったことで売りが売りを呼び、一時トロイオンスあたり1468ドルと3か月弱ぶりの低さまで下げていました。

なお、トランプ政権は週末に中国企業の米株式市場上場を禁止するというニュースも出ていましたが、政権幹部はそれを(もしくは一部を)否定していました。

火曜日金相場は、欧米株価が下げ、ドルが多少ながら弱含む中で、トロイオンスあたり1487ドルまで一時戻し、1481ドルで終えていました。

このドル安は同日発表された米サプライマネジメント協会(ISM)の9月の製造業景況感指数が10年3カ月ぶりの低水準となり、米景気後退への懸念から米国株の売りが膨らみ、ドルが弱含むことからでした。

また、欧州の株価の下げはやはり同日発表されたユーロ圏のMarkitの製造業PMIが予想を下回ったことで、欧州株も下げていました。

水曜日金相場は、市場注目の米国ADP全国雇用統計が予想を下回り、前日のISM製造業指数が2009年以来の低さだったことからも、欧米株価が2営業日連続で下げる中で、トロイオンスあたり1505ドルまで一時上昇していました。

木曜日金相場は、ドルが3営業日連続で下げる中で金は一時トロイオンスあたり1519ドルへと上昇し1508ドルで終えていました。

これは、ロンドン時間午後に発表されたISM非製造業景況指数が3年ぶりの低さへと下げたことで、今週火曜日のISM製造業景況指数、昨日のADP全国雇用者数と共にデータの悪化が際立つこととなり、FRBによる利下げ観測が一気に広がり、ドルが弱含んだことからでした。

そのため、FedWatchによる利下げ予想は、今月のFOMCでの利下げを一週間前は50%以下としていましたが、前日が77%で、同日は90.3%までISMデータ発表直後は上昇していました。

しかしながら、米国株価はISM非製造業景況指数発表後一旦下げたものの、同様に利下げ観測の広がりで前日比上昇となったことからも、金は上げ幅を多少失うこととなりました。

本日金曜日は市場注目の米雇用統計が発表され、予想の14.5万人を下回る13.6万人であったものの、前月は13万人から16.8万人へ上方修正されていました。また、失業率は3.5%と前回と予想の3.7%を下回り50年ぶりの低さとなり、平均時給は前回と予想の3.2%を下回る2.9%となっていました。

これにより、今月のFOMCでの利下げ観測が広がって、米株価が上昇することで、金は多少ながら下げたものの、その後戻してトロイオンスあたり1505ドル前後を推移しています。

なお、本日は米国時間午後にパウエルFRB議長のスピーチが行われることとなっていますので、この内容で市場が動く可能性がありますが、この動きは来週またお伝えします。

その他の市場のニュ―ス


  • 今週火曜日豪中央銀行のオーストラリア準備銀行は、政策金利のオフィシャルキャッシュレートを25ベーシスポイント引き下げ、過去最低の1%とすることを決定たこと。豪中銀による利下げは6月に続き2会合連続。

  • 金曜日にインドの中央銀行もまた今年5度目の利下げを行ったこと。

  • 金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、今週木曜日までに0.9トン増加し924トンと、引き続き2016年11月半ば以来の高い水準となっていること。

  • 金ETFの第2の規模のiShare Gold Trustの残高は、今週木曜日までで4.57トン(1.3%)増の約343トンとなっていたこと。

  • 銀のETFとして最大銘柄のiShares Silver Trustの残高は、今週0.45%増加していること。

  • 金銀比価は今週は水曜日に86.48まで上げたものの、本日はロンドン時間午前中は85台の高さ(銀割安)となっていること。

  • 先週末に発表されたコメックスデータによると、貴金属先物・オプションの資金運用業者の強気ポジションは、先週火曜日にトランプ大統領が国連で中国を非難したことで、金価格が上昇した際に、金とパラジウムが増加し、銀とプラチナが減少していたこと。

  • コメックスの金先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは11.53%増の908トンと、建玉の枚数と共に史上最高値となっていたこと。

  • コメックスの銀先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、先週火曜日に7.1%減の7,874トンとなっていたこと。

  • コメックスのプラチナ先物・オプションの資金運用業者のネットポジションは、6.24%減で39.3トンとなっていたこと。

  • コメックスのパラジウム先物・オプションの資金運用者のネットロングポジションは5.2%増の42.8トンと8週間ぶりの高さとなっていたこと。

来週の主要イベント及び主要経済指標

今週は本日の米雇用統計を含み多くの指標が発表されましたが、来週は主要経済指標の数は比較的少ない週ですが、水曜日のFOMC議事録と木曜日の米消費者物価指数は、としては木曜日の米国消費者物価指数で、これにより月末のFOMCの利下げ観測が動く可能性があります。

その他の指標としては、火曜日の中国CaixinサービスPMI、米国の生産者物価指数、木曜日のドイツ貿易収支、金曜日のドイツ消費者物価指数、米国のロイター・ミシガン大学消費者信頼感指数等となります。

なお、米中貿易協議は来週木曜日と金曜日にワシントンで開催される予定ですので、このイベントも市場は注目することとなります。

ブリオンボールトニュース

今週火曜日にISM製造業景況指数の悪化で上昇した金を解説する米主要経済サイトのMarketWatchの記事で弊社リサーチダィレクターのエィドリアン・アッシュのコメントが取り上げられています。

ここでエィドリアンは、「月曜日の四半期末の金の下げは激しかったが、驚くべきものではなかった。多くの主要国債の利回りがマイナスとなる中で、金は金利上昇にとても繊細になっている。(月曜日に)遅れて利益確定の売却をした投資家やトレーダーは慌てたことを後悔しているだろう。」と述べています。

今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。

ロンドン便り

今週も英国ではボリス・ジョンソン政権が保守党大会で2日にEUへ離脱協定案の代替案を公表しEUに提出したことが大きく伝えられています。

また、先週ここでお伝えしたヘンリー王子とメーガン妃の南アフリカ訪問中に、メーガン妃が英大衆紙のメール・オン・サンデーを相手取り、私的書簡を不法に公開されたと訴えたこともトップニュースで伝えられていました。

その様な中でも、日本で行われているラグビーワールドカップは、ラグビー発祥地で英国内からももイングランド、ウェールズ、スコットランドと3チームが参加していますので、かなりの盛り上がりを見せて、日々伝えられています。

そこで、先週末の日本が世界ランク2位のアイランドを破った試合を伝えていた英国メディアの様子をお伝えしましょう。

英国主要日刊紙ガーディアンは、「2015年の『ブライトンの奇跡』(対南アフリカ戦)は、2度と繰り返されない一度のみ起こったことと思われていた。それは映画の物語のように。しかし、日本はこの続編を作り上げ、さらなるヒットシリーズができることになりそうだ。」と今回の日本チームの偉業を「静岡のセンセーション」と名付けています。

また、やはり英国の主要日刊紙のテレグラフ、「『静岡のセンセーション』―ラグビーワールドカップの歴史に残るどんでん返し、日本はアイルランドを破る」と伝え、日本の勇敢な選手たちは、土曜日に2019年ラグビーワールドカップの導火線に火をつけたと称え、選手たちが試合後に深々とラグビースタジアムの4隅に向かって敬意を示すお辞儀をしていたことも紹介していました。

同日は、2015年の時のように、私も職場や友人たちからお祝いのメールや言葉をいただき、誇らしい1日を過ごさせてもらいました。

次は明日行われるサモアとの試合。ロンドンからも力いっぱいエールを送りたいと思います。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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