金価格ディリーレポート(2019年9月30日)米中貿易戦争激化でドルが強含み、金ETFは急増し、金先物・オプションの強気ポジションは新記録を付けたものの、金は下落
金価格は、市場がトランプ政権の中国企業の米株式市場上場を禁止するというニュースを軽視する中、ドルと株価が上昇する中で下落しています。
現物金価格は、ドルインデックスが2019年の最高値を記録する中で、先週終値から0.8%下げて7週間ぶりの低さのトロイオンスあたり1484ドルを付けていました。
しかし、このドルの強さは他の通貨建ての金の下げを緩和し、ロンドン時間昼過ぎにユーロ建てではトロイオンスあたり1363ユーロと多少の下げで、ポンド建てでは1207ポンドと1週間ぶりの低さにとどまっていました。
銀価格は先週終値から1.9%の下げでトロイオンスあたり17.20ドル、プラチナは2.8%の下げとさらに下げ幅を広げて、トロイオンスあたり903ドルを付けていました。
それに対し、ガソリン車の排ガス触媒に利用されるパラジウムは、需給ひっ迫が懸念されて、再び最高値を更新し、先週の2.4%の上げからさらなる上昇をみせて、トロイオンスあたり1700ドルを超えていました。
「投資家はトランプ大統領の手法に慣れてきたのです。それは、協議の前にプレッシャーを与えて、合意へ導くといったものです。」と、金曜日に伝えられていた米国が中国企業を自米国市場から廃止するという噂で世界株価が影響を受けていた後に、Pictet Asset ManagementのLuca Paolini氏が述べていました。
トランプ大統領は本日も中国に対し、明日からの中国建国記念70周年の国慶節の休暇「ゴールデンウイーク」を前に同様の手法を使っていました。
米中貿易協議はこの休暇後に行われる予定です。
日本の日経株価指数は、日本の消費者が明日からの消費税8%の10%への引き上げを前に大量の買い物を行う中で、今年一番の月間の上げ幅を付けていました。
香港当局は、昨日夜半から17週間続いている抗議デモの中心人物2名を逮捕したと述べていました。
昨日は中国の国営メディアが、金曜日に伝えられた米国が中国企業を米株式市場から廃止するというニュースですらも、米中の経済やこの2国の企業にも将来的に大きな悪影響を与える可能性があると伝えていました。
ちなみに本日発表された中国の製造業と非製造業PMIは予想を上回っていたことが伝えられていました。
なお、先週末発表されたコメックスの金先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションは、先週火曜日に史上最高値を付けていました。
また、この建玉の総数も6月末からほぼ100万枚を維持し、先週火曜日は再び史上最高値を更新していました。
そのために、金先物・オプションのネットロングポジションの建玉の中の割合は23.5%と、8月のピークの25.6%より押し下げられていました。ちなみに、10年前の金融危機の際や2016年の英国のEU離脱を決定した国民投票結果が明らかとなった際や、トランプ大統領が選出された際等は、この数値は30%を超えていました。
金のETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアは、金曜日に多少残高を減らしたものの、6月半ば以来の速いペースで、28.7トン増の923トンと、前週末比3.2%増加させていました。
また、米国第2位の金ETFのiShareゴールドもまた先週増加し、5.3トン増の339トンとなっていました。
それに対し原油価格は、サウジアラビアのムハンマド皇太子は日曜日のインタビューで、「世界がイラン抑止へ断固とした行動をとらなければ、石油供給が混乱し、相場は想像できないほど高騰するだろう」と警告していたものの、月曜日午前中に下げていました。