金市場ニュース

ニュースレター(2019年1月25日)FRBのQE引き締め終了観測で7か月ぶりの高さへ

週間市場ウォッチ

今週金曜日午後3時の弊社チャート上の価格は1293.82ドルと、前週金曜日のLBMA価格のPM価格(午後3時)から0.7%上げています。また銀価格においては、本日12時のチャート上の価格はトロイオンスあたり15.38ドルと、前週のLBMA価格(午後12時)から0.6%下げています。

今週も中国の経済低迷を示すデータ、米中貿易関連ニュース、米国政府一部閉鎖関連ニュースで動いた株式市場やドルインデックスに反応する形で動くこととなりましたが、本日はウォールストリートジャーナルが伝えた、FRBのQE引き締め終了の議論がきっかけで7か月ぶりの高さへと上昇することとなりました。その詳細の動きについては曜日ごとに追ってみましょう。

月曜日金相場は、昨年の中国GDPが天安門事件以降抗議運動が続いていた1990年以来の低い水準の6.6%を付けたことが明らかになる中、トロイオンスあたり1280ドル前後を推移することとなりました

この中国のGDPのニュースで欧州株は下げていましたが、アジア株は上昇していました。これは、中国政府の新たな経済刺激策への期待からでした。

米中貿易交渉に関しては、週末トランプ大統領は「中国との対話は進展している」と語ったことが伝えられ、米メディアは「中国が2024年までの輸入増を米国へ提示した」とも伝えられていました。

火曜日金相場は、米長期金利が一週間ぶりの低さへと下げる中で、ほぼ前日同様にトロイオンスあたり1277ドルから1284ドルの狭いレンジでの取引となっていました。

同日は世界株式が世界景気減速懸念で全般下げていましたが、これは前日の中国の28年ぶりの低さの昨年のGDP、IMFが2019年の成長率予想を下方修正したこと、米国政府の一部閉鎖も解決の目途が見えないこと、また米株式の下げは5営業ぶりでもあり、利益確定もあったとのことです。

なお、前日中国の習近平国家主席が同国指導部との異例の会談で、政治的安定を維持する必要性を強調したことも伝えられ、米中貿易摩擦や景気減速の社会的な影響について共産党が懸念を強めている兆候が再び表れたことも株価の下げの要因とも伝えられていました。

水曜日金相場は、ロンドン時間午前中は株価上昇で下げたものの、午後には株価がその上げ幅を失う中、下げ幅を取り戻してトロイオンスあたり1284ドルで終えていました。

同日の株価の上げは、IBMなどの企業の良好な決算が要因であったようですが、その後 米経済諮問委員会のケビン・ハセット委員長が、米経済は全般的に引き続き力強いとし、政府機関の一部閉鎖により米国の格付けが引き下げられるリスクはないとの見方を示したものの、政府機関閉鎖は経済的な先行き不透明感を高めるとし、今後3月末まで継続した場合、同四半期の米経済成長率はゼロ%になる可能性があるとの認識を示したことが、警戒感を呼んだ模様です。

また、ラリー・クドロー国家経済会議(NEC)委員長が来週の米中両政府が開く閣僚級の貿易協議が決定的な影響を与えると述べたものの、この協議を前にトランプ政権が予備協議の開催を拒否したとも伝えられたことで、懸念は広がっていた模様です。

木曜日金相場は、今週のレンジ内のトロイオンスあたり1276ドルと1283ドルの間を推移することとなりました。

同日はロス米商務長官が、中国との合意には「まだ何マイルも距離がある」と話したことが伝えられ、貿易交渉の早期決着への期待が後退したことで金は一時上げていましたが、クドロー米国家経済会議委員長は楽観的なコメントを出していたこと、同日発表された米国指標の新規失業保険申請件数、製造業及びサービス業のPMIはそれぞれ予想を上回ったこと、またECBの政策金利発表が行われ、予想通り据え置かれ、また夏まで据え置くことが確認されたことからもドルが強含み、金は押し下げられることとなりました。

本日金相場は、ドルインデックスが2週間ぶりの低さへと下げる中、一時トロイオンスあたり1300ドルを超えて7か月ぶりの高い水準へと上昇しています。

これは、本日ウォールストリートジャーナル紙が、FRBが金融緩和で買い入れた保有資産の縮小の終了を議論していると報じたことから、FRBが金融政策の正常化のペースを緩めるとの観測が広まっているからのドル安であり、それに反応する形での金の上昇である模様ですが、買いが買いを呼ぶ動きとも見えます。

コメックスの先物・オプションのポジションが12月18日から米国政府の一部閉鎖のために発表されていないことからも、ポジションの動きが見えませんが、この関連のストップオーダーの動きもあるかもしれません。

その他の市場のニュ―ス


  • トランプ大統領の元顧問のロジャー・ストーン氏がロシア疑惑捜査の一環として本日逮捕されたこと。

  • 本日米国ニューヨークのラガーディア空港が、米政府一部閉鎖の影響で閉鎖されたことも伝えられていたこと。

  • ベネズエラの野党指導者の具合度国会議長が暫定大統領の就任を宣言したことに対し、米国率いる欧米及び南米が承認を行ったことに対し、中国とロシアとキューバはマドゥロ大統領を支持するなど、国際社会が二分していること。

  • 金ETFの最大銘柄のSPDRゴールドシェアの残高は、先週金曜日に12トン増加した後、今週は木曜日までに全く動きはないものの、809トンと昨年6月末の高さまで増加していること。

  • 29日に予定されていたトランプ大統領の一般教書演説は、民主党のペロシ下院議長からの要請で政府閉鎖が終わった後に延期されたことが伝えられていたこと。

  • ロイターがイングランド銀行で保管されているベネズエラの金の総量が倍増したと伝えていたこと。これは、ベネズエラとドイツ銀行が行った取引の結果とのことですが、その量は31トン(約13億ドル)へと増加したとのこと。

  • 昨年英国での2重スパイ殺害未遂から経済制裁を受けているロシアの中銀が史上最高の273トンの金準備を積み増して2100トンとしたことも伝えられていたこと。これにより、昨年10月末までのロシアの金産出量が265トンであったことからも、産出された金のほぼ全てが金準備に充てられとも言えること。

来週の主要イベント及び主要経済指標

来週は多くの重要イベントおよび指標が発表されます。まず、水曜日と木曜日に予定されている劉鶴副首相が訪米し行われる米中貿易協議、水曜日のFOMC後の政策金利発表とパウエルFRB議長の記者会見と金曜日の米雇用統計が市場注目のイベント及び指標となります。

その他、月曜日の日銀金融政策決定会合議事録とドラギECB総裁とカーニーBOE総裁の発言、火曜日は米国ケース・シラー住宅価格指数と消費者信頼感指数、水曜日は米ADP全国雇用者数、米第4四半期GDP、木曜日は中国のCa製造業PMI、ユーロ圏失業率と第4四半期GDP、米国個人消費支出PCE、シカゴ購買部協会景気指数、金曜日は中国Caxin、ユーロ圏、米国の製造業PMIと、ユーロ圏消費者物価指数、米国ISM製造業景気指数とミシガン大学消費者態度指数となります。

ブリオンボールトニュース

 


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今週の市場分析及び投資ガイドページには下記の記事が掲載されました。

 

ロンドン便り

英国がEUから離脱する3月29日まで63日となる中で、今週も英国のEU離脱のニュースが日々トップニュースとして伝えられています。いまだ、デッドロック(動きの取れない)状態は崩れていませんが、合意のない離脱を避けようとする動きが離脱強硬派の中でも見られているようです。

そのような中で、今週心温まるニュースが伝えられていましたのでお届けしましょう。

それは、トニー・フォールド(Tony Foulds)氏という英国の年金受給者の方が、過去75年間にわたって、この方のお住まいの近くの野原に墜落した飛行機の乗員であった米国兵士10名の方達の慰霊碑を、日々欠かさず世話をしてきたことを紹介するものでした。

フォールド氏のことは、たまたま彼がお住まいの英国中部シェフィールドに住むBBCのプレゼンターの方が、犬の散歩中にお会いしたことから朝の番組で今月初めに紹介したところ、フォールド氏が長年望んでいた、この飛行機墜落から75年を記念した、アメリカ空軍による慰霊碑上空の記念飛行が叶うことになったとのことです。

フォールド氏は、彼が8歳の時に墜落した飛行機の乗員の方が、ジェスチャーで逃げろと合図をしていたことから、野原で遊んでいた自分たちを避けようとしたのだろうと感謝の気持ちを感じ続けていたとのことです。

長年慰霊碑の世話をする中で、亡くなった兵士の方達は自分の家族のように思うと話すフォールド氏が、涙して記念飛行のことを喜んでいる姿は、人々を感動させるものがありました。

2月22日の記念飛行がお天気に恵まれた一日であることを祈りたいと思います。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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