金市場ニュース

ニュースレター(2018年3月23日)1346.60ドル:FOMCの利上げ後も米中の貿易戦争激化への懸念で金価格上昇

週間市場ウォッチ

今週金曜日のLBMA金価格のPM価格はトロイオンスあたり1346.60ドルと、2月に株価が急落した際に上昇した水準に近づき、前週同価格から2.8%上昇しています。

週明け月曜日金相場は、ドルが弱含む中でトロイオンスあたり1319ドルへと上昇することとなりました。

同日は米大統領選時にフェイスブックの会員情報が不正利用された疑いで米当局がザッカ―バーグCEOに証言を求める方針と伝えられ、フェイスブックの株が下げる中、他のネット関連銘柄にも売りが波及し、FOMCで今後の利上げペースが速まる観測もあり米株式が下げていました。

また、英国のEU離脱関係の交渉では、移行期間について2020年末で合意されたことが伝えられ、ポンドが対ドル強含んでいました。このように米国株安、ポンド高、FOMC前に既に強含んでいたドルの調整の動きなどでドルが弱含んだことが、金を押し上げることとなりました。

火曜日金相場は翌日のFOMCの政策金利発表を待つ中、利上げペースが速まる観測から米長期金利が2.88%へと上昇し、ドルインデックスが90を超えて強含む中、トロイオンスあたり1307ドルへと一時下落することとなりました。

なお、ナスダックを含む米株式の下げを引き起こしたフェイスブックは同日も続落していましたが、米株式市場は落ち着きを取り戻していました。

 

 

水曜日は市場注目のFOMCの政策金利が発表され、金相場はトロイオンスあたり1336ドルまで上昇をすることとなりました。

これは、FOMC後の発表では予想通り3ヶ月ぶりにフェデラルファンド(FF)金利誘導目標1.75%と1.50%から0.25%の利上げが伝えられましたが、その後行われたパウエルFRB議長の初の記者会見が予想よりもタカ派ではなかったこと、声明の中で今年の利上げ回数を今後2回とこれまでの年内3回から変更しなかったこと、インフレが2%を超えてもある程度は容認するとしたこと、また今後も緩やかな利上げを行うという内容であったことも市場が好感し、すでに利上げは価格に織り込み済みとなっていたことからも金は上昇することとなりました。

木曜日金相場は、ロンドン時間緩やかに前日の上げ幅を失いつつありましたが、ニューヨーク時間外でトロイオンスあたり1338ドルへと上昇して終えることとなりました。

これは、トランプ政権が発表した中国製品600ドル(約6兆4000億円)規模への追加関税による、貿易戦争への懸念からドルが弱含み株価が大きく下げたことが要因となりました。また、昨夜はマクマスター安全保障大統領補佐官の退任が伝えられ、トランプ政権の主要交換の交代が相次いでいることへの懸念も金相場をサポートすることとなりました。

なお、当日発表されたイングランド銀行の政策金利は0.5%、資金購入枠も4350億ポンドと据え置かれましたが、金利引き上げをメンバーの2人が支持したことで、近い将来の利上げ観測が広がり一時ポンドが強含み、ポンド建て金相場が上昇していました。

本日金曜日の金相場は、昨夜伝えられたトランプ政権の中国製品への追加関税に対抗する中国の米国製品への関税引き上げ計画が伝えられる中、米中貿易戦争への懸念でドルが弱含む中ロンドン午前中に上昇していました。

その後、トランプ米大統領が本日米国時間未明に上院が可決した1兆3000億ドル(約137兆円)規模の包括的歳出法案について、拒否権の発動を検討していると明らかにしたことでドルと株価が下げ(ダウは今週4.4%の下げ)、さらに金相場を押し上げることとなりました。この理由としては、幼少期に不法入国した80万人もの移民の在留を認める措置を置き去りにしていることと、メキシコとの国境に壁を建設する費用が不十分であることが理由とのことです。

このニュースを受けて、恐怖指数と呼ばれるVIX指数が3週間ぶりの高さの24.06へと上昇をしています。

なお、ロンドン時間17時半過ぎにトランプ大統領が拒否権の発動を検討していると述べていた包括歳出法案に署名したことが伝えられています。

 

その他の市場のニュ―ス

  • 金ETFの最大銘柄SPDRゴールドシェアの残高は月曜日に10.6トン増加し、今年1月18日以来の最大の一日の増加量となっていたこと。また月間の増加量としては、昨年の9月1日以来の2.8%。そして、SPDRゴールドシェアを保有する投資会社やファンドマネージャーの割合は39.8%と、英国がEUからの離脱を決めた2016年第2四半期以来の高さとなっていたこと。


  • すでに月曜日にお送りしたニュースレターでもお伝えしましたが、先週末発表の先週火曜日のコメックス貴金属の先物・オプションの資金運用業者ネットロングポジションは、全て減少していました。金先物・オプションにおいては、9.98%減少し453トンと、今年最も低い水準へと下げていました。


  • 銀先物・オプションの資金運用業者のネットポジションは、先週火曜日に5週連続でネットショートとなっており、そのネットショートポジションも2518トンと増加していたこと。ちなみに、このように長期間ネットショートが続いたのは2015年半ば以来。


  • また、プラチナの先物・オプションの資金運用業者のネットロングポジションも19.08%減少し26トンと、今年1月9日以来の低い水準へと下げていたこと。このネットロングポジションは3週続けて減少。


  • パラジウムの先物・オプションのネットロングポジションも先週火曜日に2週連続で減少し、その減少幅は9.67%で39トンとなってたこと。このポジションは2017年1月3日以来の低さ。

ブリオンボールトニュース

世界の地金業界で貢献している企業に授与される賞のthe S&P Global Platts Global Metals Awardsで、ブリオンボールトが貴金属業界のリーダーシップアワードのファイナリストに選ばれました。この最終結果は今年5月17日に発表されるとのことです。この結果についてはここでまたお届けさせていただきます。

今週の市場分析ページには下記の記事が掲載されました。

ロンドン便り

今週も英国では2週間前にお伝えした、ロシアの元2重スパイのセルゲイ・スクリパリ氏とその娘のユリアさんが英国南西部のソールズベリーで神経剤が使われ毒殺未遂で重体となっている事件に関連した、国家間の動きが大きくメディアで伝えられています。

事件は今月4日に発生しましたが、その後7日に神経剤が使われたことがロンドン警視庁によって断定され、先週12日にロシア関与の可能性が極めて高いとメイ首相が発表し、13日中にロシア政府に説明を求めたものの、ロシア政府は拒否をしたことから、14日にメイ首相はロシア外交官23人を国外追放することを伝えていました。

その後17日にはロシアが英国外交官23人を英国への報復として追放することが発表され、英国とロシアの対立が激しさを増していました。そして、昨日22日に開かれた欧州連合(EU)の首脳会議でも、この事件について議論され、「ロシアに責任がある可能性が極めて高い」との英国の主張に賛同することで一致し、首脳会議で採択された総括文書は「加盟国は協調して対応する」とし、各国首脳はEUの駐ロシア大使を召還することで合意し、一部加盟国は英国に同調し、ロシア外交官の追放を検討するとのことです。

この間21日には、英国外相のボリス・ジョンソン氏が、今年6月に開幕するサッカーW杯ロシア大会について、ナチスドイツが1936年のベルリンオリンピックで行ったように、プーチン大統領が大会をプロパガンダの道具に使おうとしているという下院議員の意見に同調したことが大きく伝えられていました。

ジョンソン外相は6月にロシアで開催されるワールドカップでの英国ファンの安全を確保することをロシアに求めていますが、この安全対策を練る役員をロシアが追放したとのことで、英国代表チームやファンの安全対策が懸念されています。

ちなみに、2016年のフランスでの欧州選手権ではイングランド対ロシア戦が行われたマルセイユ市内やスタジウムでファン同士の衝突が起こり、35人が負傷し、イングランドのファン2人は重傷となる事件が起きています。

なお、昨日トランプ大統領が発表した安保担当補佐官のマクマスター氏の事実上の更送の一つの要因は、トランプ大統領が先の事件後にもかかわらず、プーチン大統領の4選を電話で祝意を伝えたことに対し、マクマスター氏は再選を祝うべきではないという報告書を提出していたこと等からともBBCは伝えています。

終わりが見えない英国とロシアの外交上でのぶつかり合いに欧米の主要国も関わり解決への複雑さを深める中、今後ワールドカップなどで一般の人々が巻き込まれないことを心から祈るばかりです。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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