ニュースレター(2014年6月6日)1247.50ドル 欧州中央銀行の政策金利発表で金価格が上昇
週間市場ウォッチ
今週金曜日のPM Fix金価格は、トロイオンスあたり1247.50ドルと前週同価格から0.2%下げています。
週明け月曜日は、中国と香港がドラゴンボートフェスティバルで祝日の中、前週同様株高となり、金価格は押し下げられることとなりました。そのような中、発表された米主要経済指標のISM(米供給管理協会)製造業景況指数が、短時間に2度修正され、それに反応して他の金融商品同様に価格が上下することとなりました。
翌火曜日と水曜日は、木曜日に何らかの非伝統的金融政策の発表が行われていると予想されている欧州中央銀行の政策金利発表があり、それを待つ中狭いレンジでの取引となりました。
木曜日は、注目の欧州中央銀行(ECB)の政策金利発表があり、主要政策金利を0.25%から0.15%に引き下げ、上限金利の限界貸出金利は0.75%から0.40%へ、下限金利の中銀預金金利をゼロ%からマイナス0.10%へとそれぞれ引き下げられました。これは、想定内でありましたが、今回行われなかった量的緩和については、「必要であれば、一段の措置を講じる」と言明したことが好感され、金価格はトロイオンスあたり10ドルほど上昇しました。
本日金曜日は、やはり市場注目の米国雇用統計が発表され、非農業部門雇用者数が217,000人と予想の218,000人とほぼ同レベルとなり、前回数値288,000人は、282,000人へと若干下方修正されました。また、失業率は6.3%と、予想の6.4%へと上昇すること無く、前回から変更なく終わり、金価格への影響は大きなものではなく、トロイオンスあたり8ドルのレンジで動いた後、ロンドン時間午後4時半に1252ドルあたりを推移しています。
他の市場のニュース
- ファイナンシャルタイムズが、水曜日に、LMEとCMEに続き、ETF Securitiesも銀フィキシングを行う可能性をロンドン貴金属市場協会(LBMA)と話をしていることを伝え、インフォメーションベンダーの Plattsも同様な話を進めていることを明らかにしたこと。なおここでは、関係者の話として、トムソン・ロイター社も興味を示していると伝えています。
- インドの金の輸入関税が引き下げられる可能性があることが伝えられたこと。この詳細は、「インドの金の輸入関税が10%から引き下げられる計画」をご覧ください。
ブリオンボールトニュース
ブリオンボールトがまとめている、金投資家インデックスの5月数値が今週火曜日に発表され、主要メディアで取り上げられました。
- ブルームバーグ 「ブリオンボールトの指数によると、金投資家の傾向は過去4ヶ月で最低となる」
- USA Today 「金投資家インデックス−金投資への興味は薄れる」
- The Street 「250トンの金のブラックマーケットを、新政権がどのように封じ込めていくのか」
この日本語のプレスリリースは、金の情報を日本語で網羅している、ゴールドニュースサイトでご覧いただけます。また、この詳細は、弊社リサーチ主任の記事「金の投資家は安値で購入」でもご覧いただけます。
今週のブリオンボールト市場分析ページには下記の記事が掲載されました。
- ブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュの「金の投資家は安値で購入」
- ブリオンボールトリサーチ部門の「インドの金の輸入関税が10%から引き下げられる計画」
今週の主要経済指標の結果と解説は、下記のリンクでご覧いただけます。
ロンドン便り
本日6月6日は、第2次世界大戦のノルマンディー上陸作戦が行われて70年であることから、この地で行われている記念式典、また出席している世界の首脳について、英国主要メディアが伝えています。
ご存知のように、ノルマンディー上陸作戦は、第2次世界大戦中にナチス・ドイツによって占領されていたフランス北西部のノルマンディーの海岸から、アメリカ軍を主体とする連合軍が上陸した作戦です。
70年前の今日、この作戦の最中に4,413人の連合軍兵士が亡くなったとのこと。しかし、この日に連合軍がフランスに拠点を築いたことで、11か月後の終戦への道のりが確固としたものになったことからも、第2次世界大戦を語る上で重要な位置づけとなっています。
また、上陸の計画は1年以上も前から始められ、上陸にふさわしい天候状況は、潮の満ち引きの関係など1ヶ月に2日程しかないために、必ずしも完璧ではなかったこの日に決定することは簡単なことではなかったようです。
今回の記念式典には、オバマ首相、プーチン大統領、ウクライナのポロシェンコ次期大統領も出席するために、ウクライナ問題の打開のきっかけになるのかも期待されているようです。
また、英国からはエリザベス女王とエジンバラ公、チャールズ皇太子と夫人のコーンウォール公爵夫人、ウイリアム王子とキャサリン妃、キャメロン首相とサマンサ首相夫人と、そうそうたるメンバーが出席していることからも、英国にとっていかにこの日が重要な意味を持っているかも表しています。
しかし、先日ここでも伝えましたが、5月末にチャールズ皇太子が、公式行事中の参加者との私的な会話で、ロシアがクリミア半島を制圧したことを、ナチスドイツに例えて問題となって以来、チャールズ皇太子がプーチン大統領と初めて席を同じくすることからも、外交上の駆け引きにも英国メディアは注目しているようです。