ニュースレター(2014年4月25日)1301ドル ウクライナ情勢の緊張が高まり1300ドルを超える
週間市場ウォッチ
今週金曜日のPM Fix価格は、トロイオンスあたり1301.25ドルと前週同価格から0.2%の上げとなっています。
週明け月曜日は、、欧州、香港、オーストラリア市場はイースタマンデーで祝日であったために、薄商いの中金価格は神経質な動きをすることとなりました。
翌火曜日は、英国グラクソなどの医薬品関連株がM&Aのニュースなどで上昇する中、金は下げることとなりました。また、ニューヨーク時間に発表された米国3月中古住宅販売件数が予想を上回ったことも、株価を押し上げたことから、金は更に弱含むこととなりました。
水曜日は、膠着状態のウクライナ情勢と、米国3月新築住宅販売件数が昨年7月以来の低水準となったことから米株価が下げ、金は一時反発することとなりました。しかし、それも長続きはせず戻す中で、狭いレンジの取引となりました。
木曜日は、ロンドン時間午前中に株価が上げる中、金価格はトロイオンスあたり10ド
そして、ロンドン時間午後に入ったところで、金価格はトロイオンスあたり1300ドルに迫る急騰となりました。これは、米国経済指標の週次新規失業保険申請件数が予想を上回り、価格が反発を始めた頃に、ウクライナ軍の攻撃により、ウクライナ東部の反政府武装勢力の5人が死亡したこと、それに応じる形でロシアがウクライナ国境近くで軍事演習を行ったことが伝えられ、緊張が高まったことが要因であった模様です。
本日金曜日は、昨日の流れで株価が下げる中、金価格は1300ドルを越え高い水準で推移しています。
来週は、日本はゴールデンウィークに入りますが、水曜日には日銀金融政策決定会合が行われ、金曜日には米国雇用統計が発表されます。これらの数値に市場は注目することとなります。
他の市場ニュース
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英バークレイズ銀行が、商品(コモディティー)取引事業の大半から撤退することが伝えられ、卑金属、エネルギー、農産物市場から撤退し、貴金属事業を為替取引部門に統合する計画とのこと。 -
金の値決めプロセスの立ち入り調査のために、英国金融行動監視機構(FCA)の当局者が、値決めプロセスの座長役の仏ソシエテ・ジェネラルを訪問し、このプロセスに関わる他の4行、英バークレイズ、HSBCホールディングス、ドイツ銀行、加ノバスコシア銀行を訪問予定であるとのこと。
ブリオンボールトニュース
今週月曜日の英国主要日刊紙テレグラフの「金価格の上げが、FTSEの下げ傾向に金鉱会社株が反することを助ける」の記事で、ブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュのコメント「金鉱会社にとって昨年は最悪の年でした。そのために、この株価が反発するのは当然のことでした。...」が取り上げられました。
今週水曜日には、金先物価格が反発上昇した背景を、ウクライナ情勢、米国株価の下落、米国主要経済指標の弱さと分析した、米経済サイトのMaketWatchで、ブリオンボールトのリサーチ主任、エィドリアン・アッシュのコメントが取り上げられています。
今週のブリオンボールト市場分析ページには下記の記事が掲載されました。
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ブリオンボールト米国開発責任者ミゲル・ペレスーサンタイアの「「供給不足」の3年後に銀価格が50ドルへ急騰した背景(パート1)」 -
スタンダードバンク東京支店長の池水雄一氏の「ゴールド・リースレートの話」
今週の主要経済指標の結果と解説は、下記のリンクでご覧いただけます。
ロンドン便り
今週英国メディアでは、治癒不可能な癌を患いながら、癌のチャリティーへ2百ポンド(約3.4億円)を超える多額の寄付金を募った19歳のスティーブン・サトン君のことを広く取り上げています。
サトン君は、15歳の時に大腸癌と診断され、数々の手術や治療の後、治癒不可能であることが分かって以来は、残された時間で叶える目標を定めて実現してき ていました。それは、スカイダイビングであったり、クラウド・サーフィング(crowd surfing)などと、ティーンエージャーらしきものでした。
そして、その目標の1つが、彼自信もサポートをしてもらっているTeanage Cancer Trust(10代の癌患者のためのチャリティー団体)への寄付を1万ポンド(170万円)募るというものでした。しかし、その寄付金が順調に集まったた めに、目標額を百万ポンド(約1.7億円)に上げていたのでした。
15ヶ月前からソーシャルメディアを利用して、彼の生き様を発信していたサトン君に共感した多くの有名人の協力も得て、百万ポンドまであと少しとい うところまで来ていた今週日曜日に彼の右肺が潰れてしまい、最後を覚悟した彼は、火曜日にフェイスブックで最後のメッセージを残していたのでした。
そこで、英国のコメディアンのジェイソン・マンフォード氏が何とか彼の望みの100万ポンドへ達するために、彼自信も1万ポンド(170万円)を寄付した 上で、あらゆるメディアで人々に訴え、翌日水曜日には百万ポンドに達し、なんと本日の段階で2百ポンドを超えるに至っています。
サトン君は奇跡的に一命を取り留め、木曜日にフェイスブックを通して感謝のメッセージを送り、現状としてはまだ危険な状況に変わりはないものの、症状は安定していることを伝えています。
自分自身を紹介する際に「Dying from my cancer (癌によって命を削っている)」ではなく「Living with my cancer(癌と共に生きている)」を好んだ、人生を前向きに生き抜くことを実践している彼のエネルギーが、波動のように広がっていった一週間でした。