ニュースレター(2014年3月28日)1294.75ドル 200日移動平均線を下回る
週間市場ウォッチ
今週金曜日のPM Fix価格は、トロイオンスあたり1294.75ドルと、前週同価格から3%下げています。
週明け月曜日は、先週ウクライナ情勢の沈静化と米国量的緩和縮小継続及び金利上昇期待などから価格を下げていた金は、ウクライナ情勢を協議するオランダでの緊急G7に注目する中、さらに下落することとなりました。
また、同日発表された中国経済指標の3月HSBC/マークイット製造業PMIが前回と予想を下回り、昨年7月以来の低水準であったことも、世界最大金消費国の需要への懸念なども金価格を押し下げた模様です。
翌火曜日は、狭いレンジの取引となりました。また、同日ニューヨーク市で講演したフィラデルフィア地区連邦準備銀行のプロッサー総裁の発言が予想以上にタカ派的なものであったことが伝えられたものの、米2月新築住宅販売戸数は予想を下回ったことから、方向性の出ない市場となりました。
水曜日は、金価格は更に下落し、トロイオンスあたり1300ドル割れを何度か試すこととなりました。これは、同日発表された米国2月耐久財受注が予想を上回り3ヶ月ぶりにプラスとなったことなどが金価格を押し下げる要因となった模様です。
木曜日は、ロンドン時間午前中に1300ドルを割り、1296ドルの200日移動平均線を下回ったことから、ストップロスの売りが発動され、1289ドルと6週間ぶりの安値を付けることとなりました。また、同日発表された週次新規失業保険申請件数が予想数値より下げる好結果であったことも要因となったようです。
金曜日は、ロンドン時間午後4時の段階では、1290ドルと1300ドルの間を狭いレンジで推移しています。
来週は市場注目の米雇用統計が金曜日に発表されます。また、火曜日の中国の製造業PMI数値も中国の経済状況を判断するためにも注目することとなります。
他の市場のニュース
- 金現物3000億円規模の闇取引の抑制のために、韓国証券取引所が24日から金現物取引を開始したこと。
- 田中貴金属の銀座本店の販売量が前年同月比金貨は4.5倍、金地金が2倍へとなっていることが伝えられたこと。
- 中国の2月の香港からの金輸入量が109トンと、前年同月の61トンを大きく上回ったことが明らかとなったこと。
ブリオンボールトニュース
先週のFRBイエレン議長の金利上昇時期へのコメントを受けて価格を下げた金市場の背景と今後の見通しについて、ブリオンボールト米国市場開発責任者のミゲル・ペレスーサンタイアがCNBCでインタビューを受け解説しています。ここで、短期的にはボラティリティが上がるものの、機関投資家は市場に戻っているとし、金利が上昇することが必ずしも金価格の下落とはならないと述べています。
米国著名経済サイトTheStreet.comにおいても、ブリオンボールト米国市場開発責任者ミゲル・ペレスーサンタイアがインタビューを受け、先週の金価格下落の背景を解説しています。ここで、ウクライナ情勢、イエレンFRB議長の金利上昇時期のコメントの影響で下げていることを解説した上で、今後価格が1250ドルまで下げる可能性はあるものの、今後の経済の不透明感を考慮すると金を保険として購入する必要があるのではないかとし、これが買い時とも述べています。
今週のブリオンボールト市場分析ページには下記の記事が掲載されました。
- ブリオンボールトリサーチ主任エィドリアン・アッシュの「金先物への投機的資金(Hot Money)の流入」
- スタンダードバンク東京支店長の池水雄一氏の「Dr. Gloom - マーク・ファーバー博士のゴールド感」
今週の主要経済指標の結果と解説は、下記のリンクでご覧いただけます。
ロンドン便り
今週の英国発ニュースは2つお届けします。
まず最初に、35年ぶりに英国でライブを行うことを発表したケイト・ブッシュの追加コンサートチケットが、本日15分で売り切れたことが伝えられています。これは、すでに今週発売されたコンサートチケットが30分で完売した後のことです。
1977年に「嵐が丘」でデビューし、全英4週連続第一位を記録した彼女は、ダンスやパントマイムを交えた独特のパフォーマンスで有名ですが、その作品数は10枚のアルバムのみとメディアの露出度はかなり低いミュージシャンです。しかし、英国音楽メディアでは、「ロック史上、誰よりも大きな影響を与えてきた女性アーティスト」と評価されており、昨年は、大英帝国勲章を授与されるなど、彼女の音楽性は高く認められています。
すっかり、見逃してしまったチケットですが、せめて9月のコンサートのニュースを楽しみにしたいと思います。
次に、毎年行われているBBCのスクールリポート・ニュースデイについて。
これは、英国の11歳から16歳までの学生が、実際にニュースを作り上げる過程を学び、作り上げたレポートをBBCが放送するというものです。
今年は、1000の学校の3万人がこのプログラムに参加し、昨日が今年のニュースデイで、BBCで学生たちが作成した様々なニュースレポートが放送されていました。その1つは、教育相マイケル・ゴーブ氏へのインタビューレポートで、ここでラップ好きのゴーブ教育相が、学生に請われてラップを披露したビデオも放送されていました。
このように、学生がニュース制作過程を学び、政治家、スポーツ選手、芸能人などあらゆる人々へのインタビュー機会が与えられることで、時事問題にも興味を持たせるというのは賢い試みであり、自分で考え、表現することを重要視する英国ならではのプログラムとも言えるかもしれません。