ニュースレター(2014年2月14日) 200日移動平均線を超え1320ドルへ
週間市場ウォッチ
今週金曜日のPM Fix価格は、トロイオンスあたり1320ドルと前週同価格から4.6%の上げとなっています。これは、昨年11月4日以来の高い水準です。
週明け月曜日は、翌日のイエレンFRB新議長のスピーチを前に、前週金曜日の雇用統計の結果が予想を下回ったことなどから、量的緩和縮小ペースが鈍るという観測が広がり金価格は上昇することとなりました。
翌火曜日は市場注目のイエレン議長の下院でのスピーチがあり、「FOMCの金融政策姿勢に強い継続性を想定している。」と量的緩和縮小継続を確認し、価格は一時下げたものの、低金利政策を長期にわたり継続する姿勢を改めて強調したことを受けて、株価と共に金価格も上昇しました。
水曜日もまた、前日の上げ傾向を受け継ぎ金価格は緩やかに上昇し、一時1294ドルまで上げることとなりました。これは、前日のイエレン議長のスピーチが、量的緩和縮小は継続するものの、「労働市場の回復は完全な呼べる状況には程遠い。」というコメントからも、雇用問題に応じて修正もあるとの解釈が広がったことからです。
木曜日は、金価格は更に上昇することとなりました。これは、同日発表された米国経済指標の週間新規失業保険申請件数と小売売上高が、経済回復を疑問視する内容であったために、量的緩和が継続される観測が広がったためです。また、節目である1300ドルを超えたことから、テクニカル分析を基としたショートの買戻しも入っていた模様です。
金曜日は金価格は1320ドルへと上げることとなりました。これは、200日移動平均線を超えたこととなり、2012年8月以来となります。この要因は、1300ドルを超えて市場のセンチメントが強気に傾きつつあること、本日発表の米国鉱工業生産が予想を下回るなど、今週の指標の悪さが量的緩和縮小ペースを鈍らせる観測を広げていることなどからです。また、月曜日が米国の祝日であるために、ポジション整理も進んだ模様です。
他の市場のニュース
- 中国の金消費量が2013年に1000トンを超えたこと。この詳細は「中国の金消費量が2013年1000トンを超す」をご覧ください。
- 欧米のメディアが中国の需要と供給の差に注目し、中央銀行の購入の可能性について言及したこと。この詳細は「中国の行方が知れない金の謎」をご覧ください。
- SPDRゴールドシェアの残高が11日に1.8トン、13日に7.5トン増加し、昨年末比で増加に転じたこと。
ブリオンボールトニュース
今週の金価格の上げを受けて、ブリオンボールト米国市場開発責任者のミゲル・ペレスーサンタイアがCNBCで、金価格の動向の背景を解説しています。
また、ブリオンボールトリサーチ主任のエイドリアン・アッシュが、ウォール・ストリート・ジャーナルの経済サイト「Market Watch」で、1300ドルが心理的な節目であることを解説しています。
そして、先週発表されたブリオンボールトの金投資家インデックスについて、金市場の動向の解説時に「Market Watch」と「Metal.com」が取り上げています。
今週のブリオンボールト市場分析ページには下記の記事が掲載されました。
- ブリオンボールト・リサーチ主任エィドリアン・アッシュの「中国の行方が知しれない金の謎」
- ブリオンボールト・リサーチ部門の「中国の金消費量が2013年1000トンを超す」
- スタンダードバンク東京支店長池水雄一氏の「GFMS GOLD SURVEY 2013 UPDATE2」
今週の主要経済指標の結果と解説は、下記のリンクでご覧いただけます。
ロンドン便り
今週の英国では、英国を襲う嵐と洪水、そしてソチ・オリンピックの英国人の活躍がトップニュースを飾っています。
この冬の英国の雨量の多さは、すでにこのロンドン便りでもお伝えしてきました。その雨量は留まることを知らず、それに加えて強風注意報が出るほどの嵐が英国を今週襲っています。
先日もお伝えしたように1月の雨量は記録を更新し、観測が開始された1766年以来の最多で、今年の冬もまた観測史上最多の雨量となるとのことです。そして、この雨量によって、12月の初めから商業施設を含む5800戸が浸水したとのこと。これは、2000年の10,700戸と2007年の55,357戸と比べると少ないものの、悪天候は続いており、まだ被災規模が広がる気配です。
今週キャメロン英国首相は洪水対策のための非常事態委員会(COBRA)を設置し、「救援費用に糸目はつけない」と明言した上で、全力で洪水対応にあたるとしていますが、被災した人々からは、政府のこれまでの洪水対策が十分でなかったのが要因でもあるという声も上がっています。
それでは、今週は明るいニュースも一つお届けします。
英国はスコットランドの一部を除き、雪が積もることは稀です。そのため、冬季オリンピックでのメダル獲得数は夏季のそれとは比べ物にならないため、あまり盛り上がらないのですが、今年のソチ・オリンピックでは、史上初、雪上競技でメダルを獲得しました。それは、スノーボード女子スロープスタイルで、決勝第一滑走者だった今年33歳のジェニー・ジョーンズが、2度目の滑りを決めて表彰台へ登ることとなりました。
彼女は17歳で初めてドライスロープでスキーをし、シャレー(スキー場の宿泊施設)で働きながらスノーボードを学んだ遅咲きの選手です。昨年引退することも考えた彼女が晴れの舞台で見事にメダルを獲得した時は、BBCのコメンテーターは感極まって嬉し泣きをしながら中継をしていました。
きっと彼らもまた、彼女や過去のオリンピック選手の頑張りを見てきただけに、日本のノルディックスキー複合の渡辺暁選手が銀メダルを獲得した時に号泣していたテレビ東京のキャスターである荻原次晴氏と同じ気持ちとなったのでしょう。
ソチ・オリンピックは、世界のスポーツファンにまだまだ感動を届けてくれそうです。