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「GFMS GOLD SURVEY 2013 UPDATE2」

スタンダードバンク東京支店長の池水雄一氏が、「池水雄一のゴールドディーリングのすべて2」で、貴金属コンサルタント会社トムソン・ロイターGFMCが発表した最新のレポートをまとめ、解説しています。

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今週はGFMSが先ごろ発表したGOLD SURVEY 2013 UPDATE2の要約を見てみましょう。

 
 

 2013年は12年間続いたゴールド強気相場の終わり告げる年でした。2014年はゴールドの価格を動かす要因が、世界の金融システムの安定性と健全性 に対する不安の問題から現物の実際の需給、つまりファンダメンタルへと変化する中での下値固めの年になりそうです。この背景においてゴールドは一時的にで も「売られすぎ」となり、いくつかのゴールド生産者が赤字に陥る可能性があります。しかし最終的には宝飾、地金、コインや産業用需要などの現物需要が、年 間平均価格を1200ドル以上に持っていくと考えます。

 

 また、潜在的なインフレ懸念、解決されていない国家の負債の問題、そして政治的な危機などゴールド価格上昇のリスクは少なくありません。一方現状のアジ アおよび中東の価格下落時の買いを見ていると価格下落の可能性は限定的だと思われます。また、これは議論の余地はありますが、ほとんどの鉱山の生産がコス ト割れの状態にあるときに、地上在庫が大量に還流する経済的理由もみつかりません。2013年の鉱山生産オールインコスト(すべてのコストを含んだもの) の平均は1200ドルくらいだと考えられ、2014年の前半の予想平均価格1233ドルに非常に近いレベルにあるからです。

 

 加工用需要は2013年は306トン増加しました。これは第二四半期のアジアからの需要増によるものです。この増加はその後ゴールド価格が上昇したため に短い期間で終わりました。7月からはインドの需要が関税引き上げと輸入規制によって減少し、中国がインドを抜いて世界一のゴールド需要国となりました。 供給サイドでは鉱山生産が118トン増えて4%の増加となりましたが、スクラップ回収からの供給が219トン減り、相殺以上に減少になりました。

 

 2013年のマーケットを端的に表現すると投資家の売りとその結果による価格の下落と言えるでしょう。それを具体的に示す2つのもっとも典型的な指標 は、ETFの残高とComexの投資家ポジションです。ETFは880トンの減少、Comexは484トンの残高の減少となり、そのほかの商品からも一年 を通して投資家の離脱が目立ちました。先進国での投資家の売りとアジアからの現物需要の増加という相反する二つの動きの結果、その価値で考えると歴史上最 大のゴールドのアジアへの動きがありました。ゴールドのラージバーは溶かして小さなサイズのバーに鋳なおされ、需要地であるアジアへと運ばれたのです。 2014年の年前半はそれを対照的に、価格の動きも現物需要も小さなものとなりそうです。ゴールドマーケットは新しい局面に入りつつあると考えるからで す。

 
「供給」
 

・鉱山生産は4%の増加し、2013年はゴールド価格の短期的価格に対する「非弾力性」を示すことになった。
・スクラップからの供給は14%減って1371トン。価格が下がったことが主な要因。

 

 2013年の鉱山生産は4%増え2982トン。価格の非常に大きな下げにもかかわらず生産が増加したことは鉱山業界の価格への「非弾力性」を証明するこ ととなりました。安定した生産がほとんどの地域で見られたが、その中でも特にアジア、ラテンアメリカ、CISなどが目立っています。アフリカは南アの減少 のために全体でも約1%の減産となりました。この価格の下落によって起こったもっともはっきりした現象は鉱山会社が、生産コストを強く意識し始めたことで す。操業のことスト抑える試みは多くの鉱山会社が行っており、新たな投資も縮小されるか延期されることが多くなりました。しかしながらまだ鉱山の閉鎖とい う事態には陥っていません。

 

 スクラップからの供給は14%減少して1371トン。ゴールド価格が29%も下がったことによって。過去5年間では最小の数字となりました。この価格の 下落と経済の好転から、投資家のゴールドの売り戻しはその勢いをなくしたのです。米国でのゴールドスクラップの売りは10%減少、欧州は17%減少しまし た。これは他のゴールド市場においても同じで、中東では最大の落ち込みを記録し20%以上の減少で過去12年の中で最低の数字となりました。東南アジアは 13%の落ち込みでしたが、中国の供給増が減少している分をカバーした結果となりました。インドのスクラップの売り戻しは8%だけ減少しました。これはイ ンドルピー建てのゴールドが第三四半期に史上最高値をつけたため、この時期は相当量のスクラップの売りが個人投資家の利食いとして出てきました。

 
「需要」
 

・宝飾需要は13%増加し、過去5年間で最高の2198トンとなった。
・工業用需要はほぼ2012年と変わらずの405トン。
・生産者は先売りヘッジポジションを50トン減少させた。
・公的機関の買いは34%減って359トンとなったが、それでもこれは歴史的に非常に高いレベル。
・投資は11%減少し、1342トン。

 

 013年の宝飾需要は2010年以来初めての前年比で増加。13%増えて2198トンになり、すべての需要の46%を占めました。重量ベースでは 2008年以来の最も多い年となりましたが、年平均価格は2008年よりも49%高いことを考えるとこれは驚くべきことです。この増加の主な要因は中国の 宝飾需要の急増にあります。1992年以来の最大の伸び率であり、この169トンの伸びが中国を724トンの宝飾需要として、613トンのインドを逆転 し、世界一の宝飾消費国にしました。中国をのぞいた世界の宝飾需要の伸びは5.6%と比較的穏やかな数字になります。

 

 この宝飾需要の伸びはやはり価格の下落によるところが大きいと言えます。特に第二四半期には、投資関係の買いが増加し、マーケットに新たな参加者が増え ました。インドは、年前半に宝飾需要が2桁のパーセンテージで伸びましたが。年後半は国内需要の減退、政府の輸入規制により一年を通してではほとんど前年 と変わらず。

 

 中東での宝飾需要は2013年は増加。やはり価格に対する反応が敏感です。また米国では価格の低下と経済のゆるやかな回復のため宝飾の売り上げは大きく 回復しました。欧州は長期的な宝飾需要下降傾向は変わりませんが、価格下落のため、下落幅が2.4%と小さなものとなりました。

 

 工業用需要はわずか0.7%の減少。電子工業は0.7%の需要減、歯科用需要はその長期的低落傾向がつづいており、その他の工業用需要と装飾用需要は若干の増加になりました。

 

以上

池水雄一氏は、貴金属ディーリングの世界でも第一人者。上智大学を卒業後、住友商事、クレディ・スイス、三井物産、スタンダードバンクと貴金属ディーリングに一貫して従事し、現在はスタンダードバンク東京支店長。Oval Next Corp.サイトで市場分析ブルース(池水氏のディーラー名)レポートも掲載。

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