ニュースレター(2014年1月10日)1244.25ドル 米雇用統計が予想を大幅に下回り、金価格急騰
週間市場ウォッチ
今週金曜日のAM Fix価格は、トロイオンスあたり1244.25と、前週同価格から0.8%の上げとなっています。
週明け月曜日は、先週からの上昇傾向を受け継ぎ、金価格はアジア時間にトロイオンスあたり1240ドルを超えたものの、ロンドン時間では売りが進み、1230ドル台へと押し戻されました。その後、ロンドン時間午後に発表されたISM非製造業景況指数が、予想と前回を下回ったことから、株が売られ金が買われることとなりました。
しかし、その後大量の売りが出たことから、金価格は一時急落したものの10分後には1240ドル台へ再び戻すこととなりました。この大量の売りは、34トン(1万コントラクト以上)と報道されていることから、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)は否定していますが、誤発注(ファットフィンガー)という噂も出ているようです。
火曜日金価格は、20ドル近く大きく下げることとなりました。これは、同日発表された米国貿易収支が予想を上回り、ドルが対主要通貨上げ、株が買われたことから、金は大きく売られることとなりました。この米11月貿易収支は、-342.5億ドルと4年1ヶ月ぶりの低い赤字幅となり、輸出総額は過去最高を更新しました。これは、米国経済が回復していることを示唆し、量的緩和縮小を進めると市場は判断した模様です。
水曜日は、米12月ADP全国雇用者数が予想を上回ったことから、金はさらにトロイオンスあたり10ドルほど下げることとなりました。その後、買い戻されて価格を戻したところで、ロンドン時間19時にFOMC議事録が発表され、多くのメンバーが慎重な量的緩和縮小を支持するなど内容に新しいものはなかったものの、再び売り込まれた後に、ゆるやかに戻すこととなりました。
木曜日は、翌日の米国雇用統計を待つ中、ロンドン時間昼過ぎに発表された米国週間失業保険申請件数は予想を下回り、雇用の改善が見られたために、一時価格を下げたものの、その後緩やかに1230ドル台へと戻す事となりました。
金曜日は、市場注目の米国雇用統計が発表され、12月非農業部門雇用者数は7.4万人と予想の19.4万人と前回の20.3万人を大幅に下回り、12月失業率は6.7%と前回と予想の7.0%を下回りました。失業率の改善は、労働参加率の低下によるものとも理解されているため、雇用者数の予想外の低さに市場は注目し、米国経済の回復状況への懸念からも、この発表後、金価格はトロイオンスあたり1240ドル台へと急騰しました。
ブリオンボールトニュース
ブリオンボールトがまとめている金投資家インデックスの12月の数値について、ブルームバーグが「ブリオンボールトの顧客傾向を示すインデックスが、5ヶ月ぶりの低水準へ」とレポートしています。この数値は過去5ヶ月で最も低い水準となりましたが、引き続き購入者数が売却者数を上回る強気傾向であったことが明らかともなっています。詳細は、「2013年の金市場: 個人投資家は強気傾向を継続 」をご覧ください。
今週のブリオンボールト市場分析ページには下記の記事が掲載されました。
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ブリオンボールト・リサーチ主任エィドリアン・アッシュの「2013年の金市場: 個人投資家は強気傾向を継続 」 -
スタンダードバンク東京支店長の「年末年始のゴールドマーケット」
また、今週の主要経済指標の結果と解説は、下記のリンクでご覧いただけます。
なお、昨年12月に行なわれた東京ゴールドフェスティバルが来年2月11日に行なわれます。この参加は無料ですが、定員になり次第締め切りとなりますので、ご希望であれば急ぎお申し込みください。
ここでは、「ゴールドについて学び、ゴールドを体感する”特別な"一日」として、金市場の第一人者、スタンダードバンク東京支店長の池水雄一氏、日 経のマネーセクションにコラムをもたれている経済アナリストの豊島逸夫氏、政治学者の舛添要一氏など著名人の方々がパネリストとして参加されます。この詳 細は下記のリンクでご覧いただけます。
ロンドン便り
今週、世界の主要都市の生活費のランキングがExpatistan.comで発表され、ロンドンがトップになったことが主要紙でレポートされていました。これは、ガソリン代が1リットルあたり1.40ポンド(約170円)と住宅費の平均月額費用が2500ポンド(約43万円)という、交通費と住宅費の高さが要因であるとのことです。ちなみに、ロスアンゼルスのガソリン代は、0.62ポンド(約107円)と、約4割弱であり、ニュージーランドの住宅費は950ポンド(約16万円)となっています。
また、レジャー費もロンドンは高く、映画代は2人で22ポンド(約3800円)となり、シドニーの14ポンド(約2400円)とシンガポールの10ポンド(約1700円)をはるかに上回っています。
しかし、テクノロジー関係商品は、ロンドンは東京に次ぎ2位となっています。
ちなみに東京は、2013年に生活費全般では10位と、昨年の1位から円安のためにランクを下げることとなりました。しかし、1992年以来、東京は今回を含む7回以外は毎年トップであったとのことです。
英国の経済は回復の兆しが見られていますが、ロンドンの物価高は、年金生活者や低所得者層にとっては、厳しい生活を強いるものです。また、ロンドンとロンドン以外の地域の経済格差も広がっています。生活費の高さが、必ずしも生活水準の高さを示すものでないことからも、このニュースは必ずしも喜べるものではないようです。