2013年の金市場: 個人投資家は強気傾向を継続
2013年に欧米の投資家は金投資を諦めたのでしょうか?ブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュが欧米の個人投資家の金投資傾向を、ここで分析しています。
個人投資家は、金融危機を機関投資家よりもしっかりと覚えているようです。それは、機関投資家とは異なり、2013年に個人投資家による金の売却は少量にとどまり、低価格においては新たな需要も見られたことからです。
金投資家インデックスは、オンライン金投資サービスを提供する世界有数のブリオンボールトにおける金の購入者数と売却者数のバランスを計るものです。この数値が50である場合は、購入者数と売却者数が完璧に一致したことを示します。そして、2013年12月の数値は、52.9となり、2012年12月の58.3を下回ることとなりました。
しかし、このインデックスは、ブリオンボールトにおいては購入者数が売却者数を上回ったことを示しています。そして、ブリオンボールトの顧客は、13億ドル(約1300億円相当)の金地金を、チューリッヒ、ロンドン、ニューヨーク、シンガポール、トロントで保管しており、この米国ドル建て評価額は、2012年末と比較して28%下げています。それは、金価格が下げたからであって、重量においては1%減ったのみであり、32.3トンと、世界の多くの中央銀行の金準備量を上回っているのです。
すでに世界で5万人以上の顧客によって金・銀地金現物の取引と保管で利用されているブリオンボールトは、2012年に、その顧客動向から金投資市場の傾向を示す金投資家インデックスを作り上げました。
ブリオンボールトの顧客の90%以上が、西欧、北米に居住しています。そのために、この数値は欧米の傾向を示すこととなります。ブリオンボールトは、個人投資家がその資金でどのように金投資を行っているかを示す指標を提供しているのです。
このインデックスの昨年の平均数値は注目するに値するでしょう。それは54.0と、一昨年の55.0と比較して1%下げたのみであったのです。
そのため、ブリオンボールトにおける2013年を通した金投資では、購入者数が常に売却者数を上回ったことを意味します。そして、金の魅力は価格下落時にも継続したということになります。昨年の金融商品の保険としての金購入は、2014年に株式市場の急騰が一服した際に、懸命であったことが証明されることでしょう。
2011年の金投資家インデックスは、同年9月に史上最高値の71.1を記録したことから59.5となっています。そのため、保険として、もしくは利益を出す目的で金を購入する必要性は、2013年に明らかに低いものでした。これは、納得のできるものです。それは、世界の株式市場は、MSCIのインデックスによると、ドル建てにおいて20%の収益率を上げていたためです。
それでは、誰が金をこのように必要としたのでしょうか?それは、機関投資家以上に個人投資家でした。彼らは、四半期毎の実績のみを考慮しているのではなく、彼ら自身の資金を管理し守る必要があるのです。そのために、金融危機で学んだことをよりはっきりと覚えているのです。