ニュースレター(2013年6月28日)1192ドル 前半期末を前に過去3年で最も低い水準に下落
週間市場ウォッチ
今週金曜日のPM Fix価格は、トロイオンスあたり1192ドルと、前週同価格から8%の下げとなりました。これは、過去3年で最も低い水準です。
週明け月曜日は、先週FOMC後にバーナンキFRB議長がQE終焉日程を示唆したことから大幅に下げた流れを引き継ぎ、金価格は緩やかに下げることとなりました。
また、同日先週来見せている中国の信用収縮に対して、中国当局が「現状の資金需給は適当」としたことも、リスクオフの傾向高め、株安及び金価格の下げを進めることとなりました。
その間、FRBのダラス連銀フィッシャー総裁とミネアポリス連銀のコチャラコタ総裁が量的緩和継続を主張する発言をしたことが、市場を多少ながらも落ち着かせたようです。
翌火曜日は、金価格は緩やかに価格を下げ、狭いレンジで取引が行なわれることとなりました。これは、同日発表された米国主要経済指標が、軒並み経済の回復を示唆するものであったために、株価が上げ、金価格は押し下げられることとなったためです。
先の米国指標とは、5月耐久財受注、4月S&P/ケース・シラー住宅価格指数、5月新築住宅販売件数、リッチモンド連銀製造業指数、6月消費者信頼感指数であり、全てが予想と前回を上回ったためです。このうち、S&P/ケース・シラー住宅価格指数は2006年3月以来、消費者信頼感指数は2008年1月以来の高水準となっています。
同日アジア時間では、中国政府が金融市場の信用収縮に対して資金供給を行なったことから、一時5%近く下げた上海株式市場が落ち着きを取り戻しつつあったことも、欧米の株式市場を押し上げる要因となった模様です。
水曜日、金価格は大きく下げることとなりました。これは、先週来のQE終焉の懸念、中国の信用収縮による金需要の減少観測、インド当局の金輸入規制及びルピー安による金価格高騰に起因する需要の減少予想などの、金にとってはマイナス要因が重なっている中、金価格下落時に、ストップロスの売りが発動され更に下げ幅を広げることとなったためです。
木曜日、金価格は更なる下げを見ることとなりました。ドル建てにおいては、トロイオンスあたり1200ドルを割ることとなり、これは、2010年7月の水準となります。
この下げは、やはり同日発表された米国主要経済データである、5月個人所得と個人支出が予想を上回り、支出に関しては2009年9月の水準まで上昇したことから、株価が上げ、金価格を押し下げるものとなったためです。また6月末は前半期末であることからも、ファンドのポジション整理が進んでいる模様です。
金曜日は、ロンドン時間早朝に1200ドルを割り、その後PM Fixが発表される3時前に再度1200ドルを割った後反発し、ロンドン時間午後5時の時点では1220ドル近辺を推移しています。本日の価格の下げは、1つの節目でもある1200ドルを割ったことにより、更なる売りが進んだことからのようです。

他の市場ニュース
- 金ETFの最大銘柄SPDRゴールド・シェアが25日に2ヶ月ぶりの規模の16トンの残高を減少させたこと。
- ロシアとカザフスタンの金準備が5月に8ヶ月連続で増加したことが明らかとなったこと。ロシアの金準備は5月に6.2トン増加し996.2トン、カザフスタンは4トン増加し129.5トンとなったこと。
- バーナンキFRB議長のコメントに対する市場の過剰反応を緩和するように、FRBのパウエル理事とニューヨーク連銀のダドリー総裁が量的緩和縮小の時期に慎重な姿勢のコメントを27日発表したこと。
ブリオンボールトニュース
先週金曜日に発表された、CMEのComexの金先物取引証拠金の引き上げについて、ブリオンボールトのチーフエコノミストのベン・トレィノアのレポートがファイナンシャルタイムズで取り上げられました。
ここでは、証拠金引き上げによって、売却を予定していなかった人々も追加証拠金支払い(マージンコール)が発生し、売却せざるを得なくなる可能性があるという市場関係者のコメントをまとめています。この詳細(英語)は、下記のリンクでご覧いただけます。
また、CNBCで「シンガポールが金取引のアジアのハブ(中心)になる」という記事の中で、ブリオンボールトが今年シンガポールに保管場所を設けたことが取り上げられています。
今月の金価格の急落に対し、「歴史に学ぶと、7月に金価格が上昇する」という、英国の投資サイトWhatinvestment.co.ukで、リサーチ主任のエィドリアン・アッシュの「歴史的には、価格が反発する確率が高い」というコメントが取り上げられています。
今週市場分析ページには、下記の記事が掲載されました。
- ブリオンボールトリサーチ主任の「2013年6月の金価格急落を過去の急落時と比較」
- スタンダードバンク池水雄一東京支店長の「Standard Bank Quarterly Preview - Gold」
また、今週の主要経済指標の結果と解説は、下記のリンクでご覧いただけます。
ロンドン便り
今週の英国からのニュースは、オズボーン財務相が、26日に2015年度(15年4月~16年3月)の予算の歳出計画を発表し、支出を実質ベースで前年度比8~10%削減し、財政健全化つまりは緊縮財政を継続することが明らかになったことです。この中には、公務員14万4千人の人員整理やインフレ率以下の1%に公務員の給与の上げ幅を制限するなど、痛みの伴う内容のものとなっています。
そのため、今年3月にツィッターデビューをしたオズボーン財務相が、先の歳出計画発表前夜に、発表準備の様子をツィートし、添付した夜食を食べている写真が話題となってしまいました。これは、恐らく一般の人々に好感を持ってもらうために、ハンバーガーを食べながら遅くまで仕事をしている本人の姿を撮影した写真なのですが、食べているハンバーガーがマクドナルドハンバーガーの6倍以上値段の有名なレストランのものであったことが分かり、緊縮財政で痛みを感じている人々のひんしゅくを余計に買ってしまったというものです。
パラリンピックのメダル授与式でブーイングを浴びるなど、オズボーン財務相の好感度を高めるのは、緊縮財政を国民に強いる中では、なかなか容易ではないようです。
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