2013年6月の金価格急落を過去の急落時と比較
今年の金価格の急落は、前例の無いものではありませんでした。また、急落後の3ヶ月の動向についても。
過去3ヵ月の間に、金価格はドル建てで25.2%急落しました。これは、金本位制が終焉して以来の40番目の下げ幅の3ヶ月であり、確かに大幅な下げといえるでしょう。ここで、ブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュが、過去の急落時と今回を比較し解説しています。
大量の売却がこの下げを引き起こしました。そのため、長期保有目的の投資家もその選択肢を考慮せざるを得ないことは自然の成り行きであるでしょう。パニック的な売却は、リスクを伴います。また、この大きな動きをただ黙視しているのも、リスクがあるといえるでしょう。
しかし、金価格の潜在的に向かっている方向が下落であろうが無かろうが、現段階で急ぎ売却をするのは賢明でないと考えます。それは、少なくとも歴史を振り返ってみる限りは、短期の急騰が起こる可能性は高いためです。
過去の45年間に、金価格が3ヶ月でこの水準、もしくは更なる下げを見せた際、その後4週間に価格は急騰しています。それは、実際5分の4の確率でです。そして、その平均的な上げ率は11.1%となっています。しかし、金価格が更に下げた際は、ドル建てにおいてはその平均的下げ幅は5.3%となっているのです。
今後の金投資に関する判断は、あくまでも投資家個人が行なわなければなりません。しかし、過去の例を振り返ってみることも重要であると考えます。過去45年間においては、今回のような急落後1月間の平均的価格動向は、8.2%の上昇となっています。
歴史上に潜在的な価格動向は、特にドル建て以外の通貨においては重要であるようです。
ドル建て金価格が3ヶ月間にこのように急落した、過去の6回の価格動向には、1つのパターンが見受けられます。それは、6回のうちの5回は、価格が3ヵ月後に急騰したというものです。しかし、同様のパターンが見られなかった、1回においては、急騰はしなかったものの、価格平均に大きな影響を与えることはありませんでした。
出典元:LBMAデータを基にブリオンボールトが作成
1973年後半と1974年半ばの下落は、金の長い強気市場の一時的な価格の調整期であることが証明されています。それぞれ、27%と25%急落した後に、それぞれ92%と39%急騰しています。
1960年5月と1982年3月は、共に28%と15%の上げを急落後の3ヶ月に見せています。しかし、1981年8月の急落後の5%の上げのように、この金価格の急落は20年間に及ぶ、長い弱気市場であることが証明されてもいます。
そのため、当時金を所有していた人々は、長い期間待った上で、この時は金価格が上昇した際に、損失を切り捨てることが可能となったのみでした。1980年から1981年の冬に、その時期を待ち続けた投資家は、その機会すら得ることはできませんでした。金価格は長期にわたり下落を続け、1981年2月の前後3ヶ月は、25%の下げを更なる20%の下げで追うこととなったのです。
それでは、この歴史上の価格の動きから何を学ぶことができるのでしょうか。ドル建てではない金投資家は、覚えておく必要があるでしょう。特に英国の貯蓄者と金投資家は。
現在と最も比較すべき1980年初頭は、金価格にマイナス影響を与える、ドル高が進んだために金価格は下げ続けました。そのために、ポンド建てを含むドル建て以外の通貨建て金価格は上昇を続けたのです。(注:ユーロ建てデータは、1999年にユーロが導入される以前のものは、ドイツ連銀のドイツマルクのデータを利用。)
そのため、急落後の価格上昇時に売却をするか、金を積み増すかどうかは、個人の選択であるべきです。しかし、金融市場全体を見渡し、過去のパターンを確認することは、今後の投資判断を行なう際に少なくとも行なうべきと考えます。
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