ニュースレター(2月20日)1208.25ドル ギリシャ債務問題協議が継続される中、楽観論が広がり金相場下落
週間市場ウォッチ
今週金曜日のPM Fix金価格は、トロイオンスあたり1208.25ドルと、前週同価格から2%下落しています。
週明け月曜日は、米国がプレジデントデーで祝日の中、狭いレンジでの取引となりました。
翌火曜日は、、前日ギリシャ債務問題を協議するユーログループ会合が4時間ほどで決裂し、ウクライナ情勢も停戦合意後も戦闘が激化する中、トロイオンスあたり28ドルほど大きくさげることとなりました。
この要因として、旧正月を前に中国での金現物の需要が思わしくないこと、そしてクリーブランド連銀のMester総裁が、ウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューで金利引き上げに前向きな発言をしたことが上げられていました。
水曜日は、前日の下げ基調の流れを受け継ぎ下げる中、ECBがギリシャの銀行の資金繰り支援で小幅に留めながらも、緊急供給枠(ELA)拡大をしたことが伝えられ、トロイオンスあたり1200ドルを割った後、ロンドン時間19時に発表されたFOMC議事録の内容が、ハト派的と解釈され、トロイオンスあたり15ドルほど戻しました。
木曜日は、前日発表されたFOMC議事録で上昇基調となった金相場は、ロンドン時間午前中上げることとなりました。しかし、ギリシャ債務問題において引き続き楽観的な観測が広がる中、欧州株式が上昇し、金相場はロンドン時間午後にはその上げを多少失うこととなりました。
この背景は、同日ギリシャが翌日の期限を待たずに融資支援の6ヶ月延長を申請し、即座にドイツは不十分という認識を示したものの、翌日にユーロ圏財務相会合を開き、この申請を受け入れるかを判断すると伝えられたことからです。
本日金曜日は、ユーロ圏の財務相会合を待つ中、ロンドン時間午前中に、ECBがギリシャのユーロ脱退という不測の事態に備えていると、ドイツのSpiegel誌が伝えたことを受けて、金相場が上昇することとなりましたが、何らかの合意に至るという楽観論も根強く、ロンドン時間午後に緩やかに戻すこととなりました。
その他市場のニュース
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著名ヘッジファンドマネージャーのポールソン氏が、6四半期連続で金ETP持ち分を昨年第4四半期に維持したことが伝えられたこと。 -
1000年前の金貨約2000枚が、イスラエル沖の地中海海底で発見されたこと。 -
インド政府の予算案発表前にインド中央銀行が金輸入規制を緩和したことを発表したこと。これによると、金貨の輸入と金取引に関わる新たなローンを許可するとしたものの、金貨の国内の販売は銀行に限ることは継続とのこと。 -
ロンドン貴金属市場協会(LBMA)の新たな金値決めが3月20日にローンチされることが、木曜日LBMAによって発表さ れたこと。
ブリオンボールトニュース
今週火曜日の下落を前に、中国やインドの需要増の可能性についてまとめたCNBCの記事の中で、ブリオンボールトのリサーチ主任のエィドリアン・アッシュのコメントが取り上げられました。
今週の市場分析ページには下記の記事が掲載されました。
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ブリオンボールト・リサーチ主任のエィドリアン・アッシュの「中国の金需要とその背景について」
今週の主要経済指標の結果は、下記のリンクでご覧いただけます。
ロンドン便り
今週英国では、英国のプレミアリーグのサッカーチーム「チェルシー」のサポーターが、パリの地下鉄で人種差別行為に関わったビデオが公開され、問題となっていることが広く報道されています。
これは、今週17日にパリでフランスの「パリ・サンジェルマン」チームと欧州チャンピオンズリーグを戦った「チェルシー」を応援に駆けつけていたサポーター数人が、「俺達は人種差別主義者」と何度も叫びながら、黒人の男性がパリの地下鉄に乗車するのを、胸や方を突いて止めたところを、たまたま乗車していた英国人男性がビデオに取り、英国主要紙「ガーディアン」が取り上げたことから明らかになりました。
このニュースを受けて、「チェルシー」は、この事件に関わったと見られるサポーター3人を特定し、このチームの本拠地であるスタンフォード・ブリッジへの立ち入りを禁止したことを昨日発表しています。
サッカーファンで試合会場の内外で騒動を起こす人々は、「フーリガン(Hooligan)」と呼ばれています。
一般的には、フーリガンと呼ばれる人々は、労働階級の人々で、日頃の憂さ晴らしで暴動を引き起こすことが多いとされています。イングランドチームのサポーターによる暴動は、1960年代頃から頻発したようですが、1970年台に欧州各地で更に頻繁に引き起こり、1985年のベルギーのブリュッセルで行われたUEFAチャンピオンズカップにおいては39人が死亡する事件が起きたことから、抜本的な取り組みが行われました。
そのため、近年は暴動騒ぎが起こるのは稀で、フーリガンという言葉を聞くことはほぼ無くなっていました。
そのような歴史があることからも、メディアは大きく伝え、「チェルシー」は厳しい措置を取る必要があったのでしょう。
FAカップやチャンピオンリーグ等の大会の際は、同僚達は贔屓チームの勝ち負けを仕事場でも熱っぽく議論するなど、古くから世界でも高い水準のサッカーを見られる英国で、サッカーが自分の生活の一部となっている人々も多いようです。
今回の事件は、単独のケースだと思われますが、スポーツに熱狂することと、その場を利用して日頃の鬱憤を晴らすことが異なることを、英国のサッカーファンは過去から学んだと信じたいです。