ニュースレター(10月24日)1232.75ドル 良好な経済指標に金相場は押し下げられる
週間市場ウォッチ
今週金曜日のPM Fix金価格は、トロイオンスあたり1232.75ドルと前週同価格から0.1%下げています。
週明け月曜日は、前週の流れから米FRBの量的緩和終了延期の観測が広がる中、金価格は緩やかに上昇することとなりました。
翌火曜日は、金相場はトロイオンスあたり1250ドルを越え、過去6週間で最も高い水準となりました。これは、同日発表された中国第3四半期GDPが7.2%と金融危機2009年初旬以来の低水準となり、9月小売売上高も過去5年間で最も低い水準となったこと、また、欧州中銀(ECB)が量的緩和に踏み切るというニュースが伝わったことなどが要因です。
ちなみに、香港を含む中国とインドへのスイスからの金の輸出は、それぞれ36トンと58トンと過去7ヶ月で最も高い水準となっていることも同日明らかとなり、市場センチメントに影響を与えた模様です。
水曜日は、米国消費者物価指数が予想を上回り、ドル高が進む中、金相場は多少下げることとなりました。
木曜日は、ユーロ圏のPMIデータが予想を上回り欧州株が上げる中、金相場は下落することになりました。また、同日発表された米国週次失業保険新規申請件数は、前週比悪化したものの、4週の移動平均では14年5ヶ月ぶりの低水準となり、ドル高が進み、金相場は更に押し下げられることとなりました。
金曜日は、主要指標の発表もない中狭いレンジでの取引となりました。
他の市場のニュース
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金値決めの新方式を提案する5社のプレゼンテーションが24日に行われたこと。その5社とは、Autilla Ltd. (Sapient Corp.と共同)、CME Group Inc. (トムソン・ロイターと共同)、 Intercontinental Exchange Inc.(ICE)、EBS Service Co. Ltd.( ICAP PLCの傘下)、the London Metal Exchange(LME: Hong Kong Exchanges & Clearing Ltd.の傘下)となります。 -
金ETFの最大銘柄SPDRゴールドシェアの残高が、月曜日約9トン減少し、2014年の最も大きな下げ幅となり、752トンとなったこと。
ブリオンボールトニュース
金の値決めについて、ロンドン貴金属市場協会(LBMA)が、8つの提案を受け、既に5つに絞ったことをナスダックが伝え、ブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュの「プラチナとパラジウムの値決めがLMEと先週決まったことからも、今週の提案企業によ るLBMA会員向けプレゼンテーションで、それぞれが激しく競いあうことが予想される」というコメントが取り上げられています。
今週のブリオンボールト市場分析ページには下記の記事が掲載されました。
ブリオンボールトのリサーチ部門の「インドの金購入が祝祭シーズンに急増の兆し」
今週の主要経済指標の結果は、下記のリンクでご覧いただけます。
ロンドン便り
今週は、ロンドンの不動産バブルを象徴するニュースがありましたのでお届けします。
北ロンドンのイズリントンにある、英国で最も小さいと思われる家が、27万5千ポンド(約4700万円)で売れたというニュースです。この家の床面積は188スクエアフィート(17.466m2)と1ルームマンションの大きさです。写真は下記のリンクでご覧いただけます。
http://www.telegraph.co.uk/property/propertynews/11182765/Britains-small...
ロンドンの不動産価格は、年々下がる気配がなく、今年は前年比19.1%増となり、平均価格が51万4千ポンド(約8800万円)を記録したことも伝えられています。
問題は需要と供給のバランスが崩れていて、明らかに供給不足であることからですが、ロンドンの不動産は世界の富裕層が投資対象として購入していることもあり、一般の人々にはまさに高値の花となってしまっています。
政府は、手頃な価格の住宅の建設や初めて住宅を購入する人々の不動産ローンに何らかの優遇措置を設けるなどという政策を導入していますが、とにかく供給数が需要を満たすに至っていません。景観や緑地帯を守るための、多くの建設上の規制も住宅建設を困難としているとも聞いています。
そのため、20歳から34歳までの2百万人の英国人は、不動産を購入して独立することが経済的にできないために、両親と未だ住んでいるという統計も今年発表されていました。
1980年代の日本の不動産バブルとその崩壊を見たものとしては、1990年代から価格が上がり続けているロンドンの不動産バブル行方がどのようなものなのか、興味深く見守っているところです。