【金投資家インデックス】金投資センチメントが11か月ぶりの高さへと上昇 水曜日, 6/05/2024 15:35 欧米投資家の金投資へのセンチメントは、5月に再び上昇し、貴金属価格が米ドル建てで史上最高値を更新する中で、世界でも有数のオンライン貴金属市場を提供するブリオンボールトで過去11ヶ月で最も高い水準に達していました。 ブリオンボールトの10万人を超える9割が欧米在住の顧客は、史上最高の46億ドル(7,290億円)相当の金、銀、プラチナ、パラジウムを保管しています。 既存の顧客による利益確定の売却は、2ヶ月連続で減少していました。また資金木顧客数は、過去12ヶ月の平均を50%以上上回っていました。 そのため、中央銀行と中国の投資家が、金価格を史上最高値まで上昇させたことで、欧米の利益確定の地金売却は出尽くしたようですが、2024年に予定されている主要国の総選挙が、すでに勃発している紛争やそれによる地政学的緊張の高まりの中で、それぞれの国の不確実性が認識されてきているために、金地金現物を購入することへの関心が高まっているようです。 2024年5月の金地金価格は、英国ポンドとユーロ建てでは、トロイオンスあたり1862ポンドと2175ユーロを維持し、4月に記録した金地金の新高値で横ばいとなりました。 しかし、米ドル建てでは、「安全資産」である貴金属は1.7%上昇し、2352ドルと3ヶ月連続で最高値を更新し、日本円建てでも2%高のgあたり11796円と5か月連続で史上最高値を更新していました。 そこで、ブリオンボールトの月間で売却量を上回る購入をしたネット購入者数は、4月の10か月ぶりの高い水準から8.1%下げていました。 これとは対照的に、金の売却を選択した月間のネット売却者数は51.5%減と昨年8月以来の少なさとなっていました。その結果、金投資家インデックスは4月から2.8ポイント上昇し54.4となっていました。 これは、昨年6月以来の高水準で、 3月の過去最低の金投資家指数47.5を6.9ポイント上回っていました。なお、50.0を上回る数値は、月間を通じてネット購入者数がネット売却者数を上回ることを示し、金投資家インデックスは、2020年3月にコロナ危機が発生した際に、10年ぶりの高水準となる65.9を記録しています。 前回、金投資家インデックスがこの水準であった時は、金価格はトロイオンスあたり430ドル安でした。 そのため、今春の史上最高値の上昇の勢いは止まらないかもしれませんが、金融システムと地政学的ヘッジとしての金のユニークな魅力は、欧米の中で再び見出されているようです。 投資家は、5月にブリオンボールトを利用して、134キログラムの金地金を売却し、4月に売却した量の半分以下の量を清算して、総保有量を0.3%減らしていました。 その結果、顧客がロンドン、ニューヨーク、シンガポール、トロント、チューリッヒから選択した場所で保有する金地金の総量は45.1トンとなり、2020年9月以降で最も少ない量となっていました。しかし、金地金の評価額は、ドル建てで34億ドル、日本円建てで5,340億円という月末の記録を更新していました。 一方、5月の新規顧客数は、 13ヶ月ぶりの高水準であった4月から17.3%減少していました。しかし、米国、フランス、スペインに居住する新規顧客数の急増に牽引され、12ヶ月平均を51.3%上回っていました。 ご覧のように、銀投資家インデックスは、3月の史上最安値から5月にはさらに上昇していました。 しかし、金投資家のセンチメントとは異なり、銀投資家インデックスは48.0となり、4月より0.7ポイント上昇していたものの、前月より3.0ポイントのみの上昇となっていました。この間銀価格は、月間平均でドル建てで11年ぶりの高さのトロイオンスあたり29.40ドルとなっていました。 金と同様に、ブリオンボールトの顧客による銀地金の売却は、1月以来の僅差で需要を上回ったものの、さらに1.1%の流出となり、およそ13トンの減少となっていました。その結果、顧客の銀の総保有量は1,155トンと40ヶ月ぶりの低水準となったものの、評価額は史上最高で11億ドル(1,810億円)を初めて上回っていました。 この5月の米国ドル建て 銀価格の水準は、金融危機後の金と銀価格の暴落(1980年代以来の急落)前の2013年2月のことであり、その当時ブリオンボールトの投資家インデックスは58.1となり、先月の値から10ポイント以上上回っていました。 2024年前半の欧米の投資家による金と銀の売却は、貴金属投資を手じまいするということではなく、利益確定とポートフォリオのリバランスを意味しています。しかし、今春のセンチメントの好転は、非常に低い水準からのもので、今年政治的緊張と不確実性が継続、もしくは高まることが予想される中で、新たな価格上昇に大きな弾みをつける可能性はあるでしょう。 そして、欧米の中央銀行による金利の引き下げ開始が大幅に遅れる中で、地金価格の底値を固める助けになることでしょう。