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【金価格ディリーレポート】 地政学的緊張が高まる中、米国の重要経済データを週半ばに控えて、金は1週間ぶりの高値をつける

金相場は月曜日に、1週間ぶりの高値をつける中、原油価格と天然ガス価格は前週の上昇基調を受け継ぎいていました。これは、先週発表された米経済指標が予想を上回ったことや、中東やウクライナ戦争での地政学的緊張が高まる中、今週発表される注目の米経済指標を控えてのことでした。
 
投資家は、火曜日に発表される7月の米生産者物価指数、水曜日に発表される米消費者物価指数、木曜日に発表される7月の米小売売上高に注目し、世界最大の経済国である米国の状況をより良く理解したいと考えています。
 
金現物価格は、地政学的な緊張が高まる中で、先週、 月曜日の世界株価の暴落が落ち着く中で、先々週金曜日の過去最高値からの下落幅を1.7%に縮小した後に、月曜日にトロイオンスあたり0.5%上昇して2444ドルを付けていました。
 
「金は)イラン、イスラエル、ウクライナの緊張が高まる中、地政学的リスクと連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ予想に支えられている」と、デリバティブ・プラットフォームのサクソバンクのストラテジー・チームは述べていました。
 
ブレント原油先物は0.9%上昇し、米国産ウエスト・テキサス・インターミディエートは月曜日のランチタイムまでに1.1%以上上昇していました。
 
 
IGのマーケットアナリスト、トニー・シカモア氏は、原油価格についてコメントする際、「先週の予想より良好の米雇用データは、米国の景気停滞懸念を後退させた」と先週の米新規失業保険申請件数が、約11ヶ月ぶりの大幅な減少となったことに触れていました。しかし、同データの4週間移動平均は、2023年9月以来の高水準に上昇していました。
 
「また、イランがイスラエルによるハマスとヒズボラの主要指導者暗殺の報復をいつ行うかという不安も大きい」と続けていました。
 
それは、「 いつ の問題であり、もしの問題ではない。」と述べていました。
 
ANZのシニア・コモディティ・ストラテジスト、ダニエル・ハインズ氏は、先週の急落から回復した商品先物に関する最新ノートの中で、「ウクライナのロシアへの侵攻が欧州のエネルギー供給を危険にさらすなど、地政学的リスクは依然として高まっている」と述べていました。
 
欧州の天然ガス価格は、ロシアのパイプラインからの供給に対する懸念から、2023年12月以来の高値付近で推移していました。しかし、ロシアのガスプロムは月曜日、ウクライナ経由で欧州に3960万立方メートルのガスを送ると発表していました。
 
ウクライナのゼレンスキー大統領は土曜日に初めて、ウクライナ軍がロシア西部のクルスク地方内で国境を越えた攻撃を実施していることを確認した。これは2022年2月に戦争が始まって以来、ロシア領内への最大の侵攻であり、ロシア政府はは強力な反撃を誓っていました。
 
日曜日には、現在ロシア軍が占領しているヨーロッパ最大のウクライナのザポリツィア原子力発電所で火災が発生していました。そして、ロシアとウクライナ政府の双方は、この事故について互いの攻撃と非難していましたが、双方とも放射線量が上昇した兆候はないと報告していました。
 
中東に話を戻すと、フランス、ドイツ、イギリスの首脳は月曜日の 共同声明で「これ以上の遅れは許されない」と述べ、ガザでの停戦の緊急の必要性を強調した。 また、イランとその同盟国に紛争をエスカレートさせないよう警告し、米国、カタール、エジプトが提案した、8月15日に予定されている新たな停戦協議を含む協議計画を支持していました。
 
月曜の欧州株は堅調に推移し、ストックス欧州600種株価指数はほとんど変化していませんでしたが、同指数は月間で3.6%下落していました。これは、先週、悪化した米雇用統計を背景に 日本の株式市場が暴落したことが波及したことが主な原因でした。
 
日本市場は月曜日は祝日のために休場で、その間先週急激1.7%近く強含んだ日本円は1ドル147円まで弱含んでいました。金曜日に主要株価指数がすべて上昇したものの、週の下げを全て回復することなく終えた後、米国株式先物は月曜日上昇していました。
 
一方、ユーロ建ての金価格は0.4%上昇し2235ユーロを上回り1週間ぶりの高値となり、 ポンド建ての英国金価格は0.5%上昇し1914ポンドと先週月曜日以来の高値となっていました。
 
工業用途が6割を占める銀の価格はトロイオンスあたり27.85ドルと1.4%上昇し、先週の下げ幅を3分の1以下に縮小していました。
 
デリバティブ取引所であるCMEグループの FedWatchツールによると、9月の米連邦準備制度理事会(FRB)の次回決定に対する予想は、現在、米中央銀行が政策金利を23年ぶりの高水準である年率5.25~5.50%から引き下げる可能性が100%としていました。また、その利下げ幅を0.5%と予想する割合は、先週の世界的な株式市場の混乱により、連邦準備制度理事会(FRB)は市場の暴落に対応するため、より早く、より積極的な利下げを行う必要があるとの憶測が広がった1週間前の85%から減少して、約50%弱となっていました。
 
FOMCの投票権を持つミシェル・ボーマン連邦準備制度理事会(FRB)総裁は、今週のインフレ・データを前に、土曜日には通常タカ派的な論調を若干和らげていました。彼女は、インフレ率が引き続き「中央銀行が目標とする2%を上回り、未だ上昇のリスクを持っている」と述べたものの、過去数か月のインフレ率のいくつかの「歓迎すべき」進展を指摘していました。

ホワイトハウス佐藤敦子は、オンライン金地金取引・所有サービスを一般投資家へ提供する、世界でも有数の英国企業ブリオンボールトの日本市場の責任者として、セールス、マーケティング及び顧客サポート全般を行うと共に、市場分析ページの記事執筆および編集を担当。 現職以前には、英国大手金融ソフトウェア会社の日本支社で、マーケティングマネージャーとして、金融派生商品取引のためのフロント及びバックオフィスソフトウェアのセールス及びマーケティングを統括。

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