WGC:2015年金需給レポート
金業界の金開発団体であるワールド・ゴールド・カウンシルが2015年の金需給レポートを本日発表した。
第4四半期の概要は次の通りとなる。
- 第4四半期の金需要は前年度四半期比4%増で47トン増の1117.7トン。
- 中央銀行の需要は同四半期に33トン増で、前年同四半期比25%増と、この需要増を牽引した。
- 金投資需要は、前年同四半期15%増。
- 宝飾品は6トン減、工業用需要は6トン減と共に減少。
- 産出量は2008年以来初めて-16トン減し、リサイクルも減少。
2015年通年においては下記のようになる。
- 前半期の需要の6%減は後半期に6%増とほぼ取り戻され、14トン減の4212.2トンと前年とほぼ同水準で、2010年の需要とほぼ同水準ともなる。
前半期の需要減の要因は、金消費国の需要減:インドは悪天候による収入減、中国の景気後退、トルコの通貨安、そして、金価格がレンジ内の動きに留まり、リスクオンの基調が強くなり、米国経済への楽観論が広がったことなど。
- 中央銀行は通年で1%増。
外貨準備の多様化として金が購入されたこと。中国が7月から金準備高を公表したことも、他の中央銀行の金購入を進めた。
- 投資需要は8%増と、消費者による需要は強いものがあった。
国別においては第4四半期の特筆すべきことは下記の通り。
- インドの需要は、天候不良による収入減から回復し、婚礼シーズンの購入が進み前年同期比6%増。
- 中国の需要は前年同期比3%増で250.6トン。これは通貨安の懸念が広がる中、資産保全目的の金地金と金貨の需要(25%増)が牽引。
- 日本の需要は第4四半期14.1トンと少ないものの、前半期の15.2トンに続くもので、3四半期連続でプラス。これは、価格の下げと円高要因。
- イランの制裁が解除されたことからも、第4四半期は投資が30%増、宝飾品が11%増と需要を増加させた。
- ロシアや中東等は経済制裁や原油安による経済停滞の影響で需要が、それぞれ-26%と-18%大幅に減少。