WGC第2四半期最新金需要レポート: 世界の金需要が16%減少
金業界の金市場開発団体のワールド ゴールド カウンシルがまとめた最新の『ゴールド・デマンド・トレンド』によると、2014 年4~6 月期の世界の金需要は964 トンと、前年同期比で16%減少したことが明らかとなった。
しかし、この減少幅の大きさは、昨年第2四半期の金の急落による、アジアを中心とした記録的な需要に比較したことからであり、実際今年第2四半期の需要は、過去10年間のの平均的水準であるとのこと。
次に分野別には、金需要全体の半分以上を占める宝飾品向けの需要は510 トンと前年比30%減。この分野では、従来通りインドおよび中国が世界の宝飾品市場の重要なけん引役を担い、それぞれの需要は共に154 トンとなったものの、前年同四半期比ではそれぞれ-45%、-18%となった。中国の大幅な需要の下げは、価格に敏感な同国の消費者が昨年同四半期の価格の大幅な下げに対し記録的な需要を見せたことからであり、2012年同四半期と比較すると16%増とのこと。また、インドの宝飾品の需要は、同国でこの時期に行われた選挙期間中に高額購入制限があったのと、継続的な金輸入制限の影響を受けたため。これに対し、欧米市場では需要回復の兆しが見られ、米国の宝飾品需要は15%増の26 トン、英国は21%増の4 トンとなった。この要因としては、経済の回復とイエロ-ゴールドが流行となったことが上げられている。
中央銀行による2014 年第2 四半期の金購入量は118 トンで、前年同期比を28%上回り、14四半期連続で買い越しとなった。特にロシアが54トン及びカザフスタンが7トンと新興国中央銀行が積みましていることなどからも、米ドル離れによる分散化の継続、イラクやウクライナ情勢などが考えられるとのこと。
2014 年第2 四半期の総投資需要(上場投資信託(ETF)投資と金地金およびコインへの投資を合わせたもの)は、前年同期比4%増の235 トンとなった。しかし、金地金およびコインへの投資は275 トンで、価格急落による史上最高の需要を記録した前年同期より56%低下している。また、今四半期は、金ETFの残高は減少したものの、その量は40 トンと、前年同期に見られた流出の10 分の1 となったとのこと。
ちなみに、米政府への14日の届け出によると、金ETFの最大銘柄であるSPDRゴールド・トラストの持ち分を最も多く保有する著名ヘッジファンド運用者のジョン・ポールソン氏率いるヘッジファンド運営会社ポールソンの4-6月の持ち分は1023万口と、四半期連続で変化していないことが明らかになっている。
なお、総供給は前年同四半期比10%上昇して1,078 トンとなっている。