Q3を巡るマーケットの不安心理: バーナンキFRB議長は何を考えているか
「Bernanke議長の議会証言とFOMC議事録で激しく動いた夜となりました。ニューヨークではなんと安値は1354ドルそして高値は1414ドルと 60ドルものレンジがありました。なかでも一時間の間に30ドル上がって45ドル下がるという動きがありました。この動きはBernanke議長の言葉に反応したもの。まずは彼が議会でしゃべる直前から彼の用意したテキストが完全なるハト派的な印象、つまり金融緩和はそのまま続行という印象を与えゴールドが大きく上昇、そしてその後、質問セッションに入ったときに今度は彼の言葉はぎゃくに、債券買取は次のいくつかのFOMCの前にも終わる可能性があるという内容の言葉に今度は大きく反落。」
5月22日にバーナンキFRB議長が、その議会証言の質疑応答の中で「債券買取は次のいくつかのFOMCの前にも終わる可能性がある」とのこれまでとは一変した発言をし、それが現在のマーケットのドル安、株安の引き金になりました。(残念ながらゴールド高にはなりませんでしたが。)あれから一ヶ月がすぎ、今週はあれ以降初めてのFOMCになります。このときのバーナンキ議長の真意はなんだったのか、市場は疑心暗鬼に陥っていると言っていいでしょう。今回のFOMCおよびその後の議長の議会証言は注目に値します。
この発言のあとの貴金属の値動きはゴールドは1.3%だけの上昇、シルバーは2.3%の下落、プラチナは1.6%の下落、パラジウムは2%の下落となっ ています。日経平均がこの日から下げ始め、新興国の株価は8.5%ともっとも大きく下落し、S&Pは1.5%下がりました。NY Timesによると、5月22日のバーナンキ議長の発言以降、世界の株式市場は3兆ドルもの価値を失ったとされています。
現在5月22日のバーナンキ議長の発言の真意を巡っていろいろな憶測が飛び交っています。NY timesのあげる4つの可能性は以下の通りです。
今週のFOMCではこれまで以上にバーナンキ議長の発言のすべての単語に注意がいくでしょう。そして7月に開催される議会証言も同じように注目を集めるでしょう。少なくともバーナンキ議長は、彼の考えを説明する絶好の機会を与えられたということですね。 そしてもし上記の4番目のシナリオ、つまりもはやQE解除の方向にバーナンキ議長が動いているとすれば、QEによってバブルになったマーケットからの投資家離脱は続くと考えられます。具体的には、QE3によって上昇したのものの中でも
QE3での負け組み(貴金属とその他商品)は理論的には、下げ余地は限られているはずですが、実際には逆のポジション整理(買戻し)は5月22日以降、ゴールド以外では起こっていません。
バーナンキ議長の真意が一体どこにあるのか、今週のFOMCそして来月の議会証言である程度はっきりみえてくるかもしれませんが、現在のアメリカの経済指標を見ている限りまだまだ金融緩和解除には程遠いのではないかと個人的には感じています。たとえ現在の債券買取が修正されるにしても、すべてを一度にやめるわけではなく、さらに短期金利をこのまま上げるとは思えません。先月の失業率は7.6%とバーナンキ議長が目標とする6%には程遠い数字です。冷静に 考えれば金融緩和解除はまだまだと思われるのですが、The Wall Street Journalのリポートが言っていた一言が印象的でした。”Investors aren’t listening.”
大きく膨らんでいた投資家のロングポジションが5月の第三週に劇的に減りました。南アでの鉱山業界の緊張が少し緩んだこと、5月前半のバーナンキFRB 議長の証言を前にしてQEの継続性について疑問が生じたことなどがその原因として考えられます。ネットポジションで約7.5トンものロングが減少。(ロン グの減少は4.5トン、ショートの増加が3トン)これは逆に買い余力が増えたことと逆に売りがある程度出てしまったことを意味しており、強気材料。
5月22日のあの一言以来のFOMC。とにかく今度はどういうことが出てくるのか、世界中の投資家が見守っています。
以上
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