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日本経済:その見通しと問題点-低成長下、東日本大震災を超えて(付録)

専修大学経済学部教授で、金融政策の専門家である田中隆之経済学博士が、日本経済の見通しと問題点について、東日本大震災の影響と、経済低成長の背景を説明し、解説しています。このレポートの付録資料を、前回(その1)と(その2)と(その3)に続きお届けいたします。

日本経済:その見通しと問題点-低成長下、東日本大震災を超えて

(付録)欧州危機と日本経済

①財政危機の行方

  • 抜本的対処としては、

①ギリシャ等債務悪化国のユーロ離脱

②ドイツ等財政健全国のユーロ離脱

③時間をかけて欧州財政統合の、3つの選択肢

  • 現実には③の道を歩む?

(1)各国の財政健全化をはかる一方で、

(2)金融安定化のための欧州金融安定化基金(EFSF)の規模拡大、ユーロ共同債発行を検討

  • ギリシャのIMF融資審合格や、EFSFの規模拡大など実現しても、抜本的解決難しく危機は長引きそう
  • 次第に、①に現実味

②ソブリン問題の実体経済への影響

  • 問題国の国債を抱える銀行の危機
  • →貸出減少→欧州実体経済の減速
  • →国際金融市場の動揺(流動性不安)
  • →新興国からの資金流出
  • 財政緊縮や増税による各国実体経済の減速
  • →欧州への輸出減→日本を含む世界各国の実体経済の減速
  • →ユーロ安→円高→日本の実体経済の減速

③日本への示唆

  • 経常収支の動向が、国債価格(長期金利)の行方の鍵を握る
  • ただし、市場の判断に大きく依存

図表20 各国の財政状況、経常収支、長期金利

長期的に見た為替レート

  • 生産性上昇率のより高い国の通貨 → 上昇
  • そのような国の為替レートが上昇しないと、その通貨安が進んでいることになる
  • インフレ率のより低い国の通貨 → 上昇
  • そのような国の為替レートが上昇しないと、その通貨安が進んでいることになる

例)最近の日本。したがって、実質為替レートは円安になっている

円の実質実効為替レート

非伝統的金融政策の整理

1 準備預金(中央銀行当座預金)の増加

→貸出の増加を通じた通貨(預金)の増大

2 中央銀行による非伝統的金融資産の買入

→リスクプレミアムの低下を通じた長期金利の低下

3 政策コミットメントによる期待形成

①将来の短期金利のコミットメント→長期金利の低下

②将来のインフレ率のコミットメント→インフレ期待の上昇

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1957年長野県生まれ。1981年東京大学経済学部卒業、日本長期信用銀行入行。産業調査部、調査部ニューヨーク駐在、市場企画部調査役、長銀総合研究所経済調査部主任研究員、長銀証券投資戦略室長チーフエコノミストなどを経て、現在専修大学経済学部教授、博士(経済学)。専門は財政金融政策、日本経済論。著書に、『「失われた十五年」と金融政策』(日本経済新聞出版社、2008年)、『金融危機にどう立ち向かうか』(ちくま新書、2009年)などがある。

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