日本の金需要、プラスに転じる?
初心者にも分りやすい金のブログとして、経済アナリスト、そして金市場の第一人者の豊島逸夫氏にも推薦されている「はじめての金読本」で、日本の金需要に変化が見られていることに注目し、その背景について分析しています。なお、この記事は7月12日に同サイトで掲載されたものです。
バーナンキFRB議長の言葉で風向きが変わりました。
量的緩和ペース縮小計画を発表した一月後に一転して緩和継続の声明を出したことで、マーケットには様々な憶測が飛び交っています。金読本も思わずtwitterで呟いてしまいました。
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さて、今日は、日本の金需要についてのお話です。
金ETFが残高を減らし、金先物がショート*1に傾くなか、日本では個人の金現物買いが旺盛になっています。欧米から見ると、なぜいま買うのか驚きのようです。
日本の金塊退蔵(金地金需要)の推移を追ってみると、1990年代の初めから、売買相殺したネットで、年平均で60トンほどの買い越しが続いていました。買い越し状態は、2005年まで続いています。
それが一転、売り越しに転じたのは2006年です。昨年まで年平均で売買相殺したネットで、およす45トンほどの売り越しが続いていました。
ところが、ここが歴史の綾というものでしょうか、翌年の夏にサブプライム・ショックが起きています。巨大なデフォルトのリスクを嗅ぎ取った金価格は、その後リーマン・ショックを経て急騰を続けました。
金価格が低迷していた1990年代から2006年まで、日本人は金地金・金貨を買い続けていましたから、2006年から2011年の間に売り戻した日本人は、ほとんどの人が、売却益を享受したと思われます。
そして、2013年に潮目が変わろうとしています。
2006年以降、年平均でおよそ45トンの売り越しが、2012年には、10トンの売り越しに縮小しています。そして今年はどうやら買い越しに転じそうな気配。
欧米の金ETFが年初から残高を減らし続け、おなじく金先物がショート傾くなか、日本の個人はふたたび買い向っています。
ここから先はあくまでも想像の域を出ませんが、理由として考えられることは、どんなことでしょう。
1. 円安がさらに進むのではと思い始めている。
2. 円安と共にインフレの懸念を嗅ぎ取っている。
3. アベノミクスに一抹の不安を感じている。
この他にも、年金支給年齢の引上げ・減額なども、庶民には切実な問題として受け止められているはず。
短期の取引では欧米に果実をさらわれ気味ですが、長期の取引ではどっこい日本人の目は、結構いいところを突いているのかも知れません。
長期プロジェクト、長期投資は、日本人の得意技。10年後がどうなっているか、ちょっと楽しみです。
本日はここまで。
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*1:空売りのこと。将来価格が下がると予想する向きが、現物を持たず、証拠金を積んで、売り建てし、下がったところで買い戻して利益を上げる行為。
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