金市場ニュース

年末年始のゴールドの動き

スタンダードバンク東京支店長の池水雄一氏が、「池水雄一のゴールドディーリングのすべて2」で、スタンダードバンクのアナリストの意見を反映させた上で、現状の金やコモディティー市場を分析しています。

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あけましておめでとうございます。今年もまた(おもに)マーケットに関するいろいろなことを書いていこうと思いますのでよろしくお願いします。2013年が皆様にとってよい年となりますように!

年末年始のゴールドとユーロの動き
ゴールド過去一年の動き

年末、そして特に年始からゴールドは激しい動きになりました。「財政の崖」、「FOMC議事録」、「雇用統計」、などの材料が矢継ぎ早にマーケットを動かしました。それらを少し冷静に考えてみましょう。以下はスタンダードバンクのアナリストの意見を反映させた現状のゴールドとその他コモディティ・マー ケットの分析です。

Standard Bank view on 4th Jan 2013

・財政の崖。米国の1/1深夜、東京の1/2に財政の崖の二ヶ月延長を議会が承認し、とりあえずの危機が回避されたことから、リスクオンの波にのりゴールドは一時1695ドルまで大きく買われる。

・しかし翌日1月3日、12月10-11日のFOMCの議事録が発表され、その内容が2013年以内に債券の買取(資金の供給)をやめるという意見の理事が多かったということで、金融緩和の早期解除の想像から、ニューヨーク市場に続く翌4日のアジア・欧州市場では大きく売り込まれて一時1620ドル台まで 急落。その後のニューヨークでは今度は雇用統計の数字が発表され、失業率は7.8%で前月と変わらず、NFPは15万5000人とほぼ市場の予想通り。雇用統計改善の勢いが少し弱まったということから、今度は逆に金融緩和の早期解除はないという思惑から大きく買い戻しが入り、年始の最初の一週間は結局売られる前にレベルで戻ってきたことになる。

さてこの中でもおそらくもっとも大切なのはやはり米金融当局、つまりFRBの今後の金融政策の舵取りの方向を端的に示しているFOMC議事録である。今回の議事録では理事のうち何名かが2013年の終わりまでに資産買取による金融緩和の出口を探しているということが示唆されていた。FRBのバランスシー トのコントロールはやはり今ゴールドの価格にとって(そしてシルバーの価格にも)重要な役割を果たしているのはご存知のとおり。もしFRBの資産買取が終わるともちろんゴールドとシルバーのみならずほかの商品にも大きな影響を与えるだろう。もちろん、本当に資産の買取を今年年末までにやめることができるのかどうかはそのときが来てみないとわからないが、その潜在的な影響は考えていたほうがいいだろう。

もし本当にFRBが金融緩和終了とするならば、少なくともドル建てのゴールドとシルバーの上昇の可能性は大きくそがれるであろう。ただしFRBのバランスシートは、もっと大きな「流動性」と「マイナスの実質金利」の全体像の一片に過ぎない。たとえば世界の外貨準備は「流動性」そのものであり、それは今後も増大していくと思われる。また実質金利は多くの国で「マイナス」であり、アメリカのインフレリンク債の利回りは-1.41%である。このマイナス金利は まだしばらく続きそうな勢いであり、その結果ゴールドやシルバーのロングを持つコストは、ほとんど無視できるレベルになっている。

そのためFRBがそのバランスシートを実際に縮小させ、マイナス金利がプラスにならない限り、やはり戦略的(長期的)には2013年のゴールド価格には強気である。しかし戦術的(短期的には)ゴールドはもう少し売られる可能性は否定できないであろう。

もしFRBがそのバランスシートを膨らませるのをやめると、多くのコモディティーの相場の頭を抑えることになろう。しかしゴールドやシルバーと違ってほかの、特に産業用のコモディティーにとっては「資金流動性」がもっとも重要な価格決定要因ではないということを考えておく必要がある。現在多くのコモディ ティーが供給過剰の状態にあり、それをとりまく政治の不安定さを考えあわせると、多くのコモディティが短期的には下値不安があるといえよう。

以上

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池水雄一氏は、貴金属ディーリングの世界でも第一人者。上智大学を卒業後、住友商事、クレディ・スイス、三井物産、スタンダードバンクと貴金属ディーリングに一貫して従事し、現在はスタンダードバンク東京支店長。Oval Next Corp.サイトで市場分析ブルース(池水氏のディーラー名)レポートも掲載。

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