個人投資家は金価格が戻す中金投資のペースを保つ
金利が記録的低水準を続ける中、個人投資家は金購入を進めているようです。
ブリオンボールトがまとめている欧米の個人投資家の金投資傾向を表す金投資家インデックスは、金価格が四半期最大の下落をした第2四半期の後に上昇を続けた7月に、個人投資家が金投資のペースを保ったことを示しました。ブリオンボールトのリサーチ主任エィドリアン・アッシュが、ここでその数値を解説しています。
2013年4月から6月の間に25%下げた金価格は、ドル建てで過去3年間の最低水準となり、7月に10%上昇しました。世界最大のオンラインでの金現物投資サービスを提供するブリオンボールトがまとめる、個人投資家の金投資傾向を表す金投資家インデックスは、前月とほぼ同レベルの52.6となりました。
そして、この7月の数値は、2012年同月比上回っています。
金投資家インデックスが50を上回った場合、その月における購入者数が売却者数を上回ったことを表します。このインデックスは2011年9月に71.7と最高値を記録し、価格が急落した今年4月に、過去16ヵ月で最も高水準の58.6となっています。
金価格が下落していた4月から6月の間も、ブリオンボールトにおいては、金投資を行なう金購入者数は金売却者数を上回り続けました。しかし、個人投資家が保有する保管総量は減少することとなりました。
顧客の金保有総量は、長期保有をしていた顧客が利益確定を行い、また短期保有者が損切りを行なったことから、過去最大の33トンから第2四半期に1%下げていました。
しかし、この保有総量の減少は、7月に少なくとも一時的に止まったようです。それは、ブリオンボールトの顧客が保有する金総量が今年3月以来初めて少ないながらも増加したためです。主要経済指標が米国経済の回復を示唆していることから、アナリストが米連邦準備理事会が早ければ9月にも量的緩和縮小を開始すると予想する中、ブリオンボールトのユーザーの動向を見ると、ネットで需要が増加しています。
これは、記録的な低水準の金利が続く中、貯蓄者が金投資を選択しているということでしょう。中央銀行の金融政策を憂慮する人々が、ハードマネー(Hard Money)である金現物を資産保全の手段として選択している状況が、金融危機以来6年を経た現在でも続いていることを、金投資家インデックスが表しているのです。