プラチナとゴールド
スタンダードバンク東京支店長の池水雄一氏が、「池水雄一のゴールドディーリングのすべて2」で、プラチナとゴールド価格のスプレッドが狭まっている中、その背景を解説しています。
プラチナとゴールドの値差(スプレッド)が急激に縮小しています。今週はプラチナとゴールドをめぐるマーケットの現状をみていきましょう。
プラチナとゴールドの関係が急速に縮小しました。ゴールドがプラチナよりも高くなったのは2011年の9月、ゴールドが1920ドルを越えて史上最高値をつけてからです。それからほぼ1年4ヶ月、2012年3月に一時逆転することがありましたが、そのとき以外はずっとゴールドがプラチナよりも高い状態が続いていました。最大でゴールドがプラチナよりも223ドル(2012/8/10)高い時がありました。それが今ほぼpar(同じレベル)にまで戻ってき ています。その背景となった状況をプラチナとゴールドでまとめると以下のとおりです。
・プラチナは年初から南アの供給不安による急騰。年末1620ドルから一時1700ドル越え。南アAnglo American Platinum社(世界一のプラチナ生産会社)が、そのプラチナ鉱山事業のリストラ策を発表。彼らが所有するRustenburg鉱床を現在稼動している3つの鉱山にしぼり、4つのコストが高く維持するのが大変な鉱山(Khuseleka1&2とKhomanani1&2)での生産を停止し、長期的メンテナンスとする。その結果彼らの年間の生産高から400,000オンス(約12.4トン)が減少することになった。
・Nymexのプラチナ投資家ロングポジションは急速に膨らんでおり、投資家がプラチナを買っている。また同時にショートをしていた向きのショートカバーも入っている。投資家ロング残高は微増、ショートが減少している。現在、建て玉全体における投資家ロングの割合は60.2%と過去5年の平均である 51.1%を大きく上回っており、これをみると少し買われすぎていることは否めない。しかし、今後の南アでの労組問題の可能性を考えると、ここから売って くる展開は可能性が小さいと思われる。
・またプラチナETFにも大量に投資マネーが流れ込んでいる。1月第二週には235.5k toz(約7.3トン)もの買いが入り、現在の残高は1,735.000toz (約54トン)と史上最大残高を更新し続けている。
・自動車販売の好調。1月の発表された統計によると世界での自動車の売り上げ高、2012年は5.2%増で自動車の売り上げが増えつつある。それに伴いプラチナの需要も増加傾向にある。
・一方ゴールドは下がらずともじわじわとした上げ。特に年初から旧正月へ向けてのアジアでの現物需要が好調。しかし金融緩和早期停止の思惑からの利食い売りがマーケットの頭を抑えている形の実需買い、一部投資家売りの構図である。
現在ゴールドとプラチナは1700ドル近辺でほぼ近い価格で落ち着いています。今後本格的にプラチナがゴールドを逆転するにはまだ時間がかかるでしょ う。世界の景気が回復し、株価がより一段上昇、自動車の売り上げも伸び、ゴールドへの投資が下火になり、産業用メタルであるプラチナが買われるという環境になる必要があり、そうなるためには、まだ少なくとも1-2年くらいの時間が必要であろうから。
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