ドイツの保有金について
スタンダードバンク東京支店長の池水雄一氏が、「池水雄一のゴールドディーリングのすべて2」で、先週レポートされていた、ドイツ連邦会計監査院がドイツ連銀へ提言した、国外で保有する金準備の本国送還に関して、解説しています。
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今週は読み物的な話をしましょう。最近イギリスの新聞にドイツの保有金に関して興味深い記事が出ていました。それは世界第二位の金保有を誇るドイツの金の話です。ごく最近、過去の話が漏れ出てきているようです。
ドイツはアメリカの8051トンとという保有金に次ぐ世界第二位の3395トンという保有量を誇ります。そのドイツの金を巡ってこのところいろんな話が 出ています。まず東西冷戦時代、ドイツはソ連から攻め込まれる恐れがあったため、その保有金のすべてを海外に持ち出し、66%をアメリカに、21%をイギ リスに、8%をフランスに預けたということです。しかしながら、預けたあとのこのゴールドの現物は実際には一度も確認がされておらず、国家監査人はレポー トを発表し、ドイツ中央銀行に対して、実際に預けている倉庫に行き現物を確認するように求め、150トン以上ものゴールドを今後3年間で品質と重量を検査 するために取り戻すことを提案しています。
またこのレポートによると、英国中央銀行に預けていたゴールドは、その保管コストの高さのため2000年と2001年に1440トンから500トンまで 減少しており、その大部分はフランクフルトに空輸されたようです。この空輸が行われたのは、ユーロは0.84ドルと史上もっとも弱く、また時期を同じくして英国中央銀行がその保有金の大部分を当時の財務省長官Gordon Brownの命令で史上最安値で売ったという出来事があった時です。ドイツ中央銀行はおそらく自国のゴールドを守るためにそれを引き出したのかもしれません。
当時はunallocatedといういわゆる現物を特定しない「混蔵保管」という方法であり、イギリス中央銀行は、その預かりゴールドも含めて、大量に貸し出して運用していたのではないかという心配があり、預けていくよりも実際の現物を引き取ったほうが安心だと思ったのでしょう。自分の現物 (allocated gold)を確認できるのか、それとも単なるメタルアカウントの中に数字としての所有権を有しているだけのなのか、この違いは非常に大きいということです ね。
ドイツには「Bring Back our Gold」という市民運動があり、その友好団体であるアメリカの「Gold Anti-Trust Committee」とともに役人の言ってることは信用できないというスタンスであり、彼らは中央銀行はその金を貸し出しているか、もしくはもはや売ってしまっていると主張しています。この意見にドイツの国会議員の一部が呼応し、今声高に「ドイツのゴールドはすべて国に持ち帰ろう!今こそこのゴールドの保全が大事なときだ。」という主張をしています。
これに対してドイツ中央銀行は、「ゴールドの保管先に関しては、その信頼性と独立性に関してはなんらの不安もない」としており「毎年詳細な口座報告がなされている」としています。しかしそれに付け足してその金準備をより安全の保有するためさらなるステップを踏むとしており、それには「金保有の場所の移し変え」も含まれるとしています。
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