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【金投資家インデックス】金投資、過去最高値更新にもかかわらず上昇傾向を継続

金投資価格は5月にも月間平均で最高値を更新しました。
 
金投資家のセンチメントは、「安全資産」である貴金属が過去最高価格を更新する中、引き続き上昇傾向にあります。
 
5月の金相場は、4月の史上最高値であるトロイオンスあたり3500ドルを10.8%も下回りました。しかし、月平均価格は5ヶ月連続で上昇し、2.2%高のトロイオンスあたり3278ドルと新高値を記録していました。
 
金の価格と同様に、欧米の金投資家のセンチメントも上昇し、5月の金投資家インデックスは前月比0.7ポイント上昇し55.5となっていました。
 
この傾向は、世界有数のオンライン貴金属市場を提供しているブリオンボールトの独自指標で、月間で買い越しであった投資家と売り越しであった投資家のバランスを示す指標である金投資家インデックスで、2月の28ヶ月ぶりの高水準であった56.3以来の高い数値を示し、12ヶ月平均を54.0まで引き上げ、2023年8月以来の強い基調となっていました。
 
2023年8月当時は、金はトロイオンスあたり1920ドルで取引されており、先月の平均価格をほぼ41.4%下回っていました。
 
金投資家インデックスと月間平均金価格のチャート 出典元 ブリオンボールト
 
 

5月は、金の利益確定売却分が購入によって相殺された月となった。4月は大幅は購入超過だったのに対し、5月は売却と購入が均衡し、ブリオンボールトの全体の金保有量は43.7トンとほぼ横ばいで、評価額は約46億ドル(6626億円)に達していました。

新規の投資家数は、4月の50ヶ月ぶりの高水準からは37.4%減少したものの、前年同月比では62.8%増、過去5年間の月間平均比でも26.5%上回っていました。

ただし、米国では貴金属への新規投資意欲がやや弱く、ブリオンボールトを新たに利用した人数は、4月の48ヶ月ぶりの高水準から44.6%減少。2024年5月比で13.9%減、過去5年間の月間平均比では16.4%下回っていました。

そして、米国居住者に限った金地金の購入者と売却者の比率は2ヶ月連続で上昇し、米国のみの金投資家インデックスは、過去2年間で最高の52.7に達していました。

そのため、米国の例外主義は、ポートフォリオの保険の必要性にまで及んでいるように見える一方で、貴金属に対する投資家センチメントは、欧州に比べて低い水準からではあるものの、上昇傾向にあります。

銀投資家インデックスと月間平均銀価格のチャート 出典元 ブリオンボールト

銀の月間平均価格は、4月の米国の関税政策の混乱の中で、3月の12.5年ぶりの高値(トロイオンスあたり33.18ドル)から2.8%下落したが、5月には1.4%回復し、32.70ドルとなっていました。

4月には購入量が売却量を大幅に上回っていましたが、5月は購入と売却が拮抗し、ブリオンボールトの顧客の総保有銀地金量は、1,160トン超で、評価額では約12億ドル(1728億円)となっていました。

一方で、銀投資家インデックスは51.8と、4月の49ヶ月ぶりの高水準から6.5ポイント低下していました。

5月の銀投資家インデックスの急落は、4月に発生したバーゲンハンティング的な買いが、一時的な盛り上がりであったことを示しています。しかし、産業用途の割合が高い銀の価格が引き続き上昇していることから、金投資家インデックスと同様に、センチメントは上昇トレンドを維持しています。

5月の銀価格は12ヶ月平均でも、2013年以来初めてトロイオンスあたり31ドルを超えていました。

金の月間平均上昇率は、2020年4月から8月のコロナ禍での上昇率に匹敵しており、2011年9月における世界金融危機時のピーク以来である8ヶ月連続での上昇となっていました。これは、2006年以来で最も好調な年明けを示しています。

そのため、トランプ政権が暗号資産を推進する一方で、彼の政策がもたらす不透明さと市場の変動性は、金にとって新たな上昇の土壌となっています。その結果、金は現時点で2025年の最も好調な資産となっています。
 
21世紀における金(ゴールド)の金融市場の平均を上回るリターンの拡大が続いていることは、長期的なポートフォリオ資産としての有効性が改めて示されているといえるでしょう。
 

エィドリアン・アッシュは、ブリオンボールトのリサーチダイレクターとして、市場分析ページ「Gold News」を編集しています。また、Forbeなどの主要金融分析サイトへ定期的に寄稿すると共に、BBCに市場専門家として定期的に出演しています。その市場分析は、英国のファイナンシャル・タイムズ、エコノミスト、米国のCNBC、Bloomberg、ドイツのDer Stern、FT Deutshland、イタリアのIl Sole 24 Ore、日本では日経新聞などの主要メディアでも頻繁に引用されています。

弊社現職に至る前には、一般投資家へ金融投資アドバイスを提供するロンドンでも有数な出版会社「Fleet Street Publication」の編集者を務め、2003年から2008年までは、英国の主要経済雑誌「The Daily Reckoning]のシティ・コレスポンダントを務めていました。

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