金市場ニュース

シルバーの上昇基調

スタンダートバンク東京支店長の池水雄一氏が、「池水雄一のゴールドディーリングのすべて2」で、昨今上昇を続けていた銀市場について解説しています。

今年に入ってすべてのメタルが上昇基調ですが、その中でもシルバーが際立って上昇しています。今週はその背景を考えてみたいと思います。まず年初が極端に安かったこと。年末の売りで年初は28ドルと過去一年でみても、もっとも下がったところにありました。そのため、2月末現在、年初からの価格上昇は33%となりました。ゴールドは14%の上昇(1606ドルから1780ドル)です。

この上昇基調の背景にあるものを考えると以下の通りです。
 
・テクニカルな上抜け。昨年9月の急落以来約半年越えられなかった35ドルを超えたこと。ここから上は9月の急落で一挙に落ちたところで、上昇を阻むものはチャート上には何もない。
 
・ゴールドとの関係を考えるとまだシルバーが比較的安い状態にある。金銀比価は50を割り込んできたが、昨年2011年のピークは32。過去一年の平均は46。
 
・シルバーは実は金融緩和にもっとも敏感であること。QE2(2010年11月)以降一番上昇したのはシルバーであった。今後もFRBの金融緩和姿勢が続く限り、ゴールド同様、シルバーは恩恵を受けそうである。
 
・消費者信頼指数との一致。景況感に敏感。消費者信頼指数が上昇するときにはシルバーも上昇傾向を強くしている。個人投資家が多い分、敏感に反応するのかもしれない。
 
・実需(産業用)は低値では確実に存在しており、なくなったわけではない。(30ドル以下では非常に活発な買いがある)逆にこのレベルでは中国の生産者の現物売りが大きいが、現在は投資家がそれを吸収している。
 
・店頭の現物投資需要は停滞気味。
 
・投機家:活発。これまでは上値のコール買いが一番ポピュラーであり、まだ本格的に先物での買いもだんだん増えてきている。しかしまだ取組みとしては軽く、まだまだ増える可能性は高い。
 
・Silver ETF:安定。少しづつ増加傾向。
 
・Option Volatility:依然として割安。過去一年でもっとも安いレベルに近い。(32.82%)
 
・Comexの取引証拠金が下げられたこと。
 
以上
 
金銀比価
米消費者信頼指数とシルバー
 
ETFの残高推移
 
Comexの投資家ロング残高とシルバー価格
 
Comex Silver 1mos ATM ボラティリティ

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池水雄一氏は、貴金属ディーリングの世界でも第一人者。上智大学を卒業後、住友商事、クレディ・スイス、三井物産、スタンダードバンクと貴金属ディーリングに一貫して従事し、現在はスタンダードバンク東京支店長。Oval Next Corp.サイトで市場分析ブルース(池水氏のディーラー名)レポートも掲載。

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