金市場ニュース

シルバー その2

スタンダードバンク東京支店長の池水雄一氏が、「池水雄一のゴールドディーリングのすべて2」で、シルバー市場の基礎として需要の詳細を、先週に引き続き解説しています。

 

今週は先週に続いてシルバーについて。今回は需要について簡単に紹介します。

銀の総需要32600トンのうち工業用需要は14490トンとその44%を占めます。これに写真需要を加えるとほぼ50%になります。シルバーの需要の半分が産業の材料としての需要です。10年前からのその需要の推移を見ると、写真用の需要が6000トンあったものが2012年には1800トンを割り込むまで減少しています。10年前は22%の加工用需要での割合を占めていましたが、現在はほんの7%にまで落ち込んでいます。これがデジタルカメラの復旧によるものであることは想像に難くないところです。最近では銀塩フィルムのカメラ自体ほとんどみかけなくなりました。家庭用のフィルム以外のフィルムもどんどんデジタルに置き換わっており、この分野の需要は減少のペースは幾分スローダウンするかもしれませんが、やはり今後も減少していくものと思われます。

しかしその一方、その他の工業用需要は増加傾向を示し、2003年は11459トンだったものが2010年には15576トンにまで増加し、写真需要の減少分を十分にカバーするほどの需要が生まれたことになっています。その中でも近年特に目立っているのは「太陽光電池」によるシルバーの需要です。この分野は2007年から2011年の間はほとんど70%という驚異的なスピードで伸びていました。太陽光発電のソーラーパネルはthickとthinの二種類のカテゴリーがあるらしいのですが、シルバーのペーストをその太陽電池の表面と裏に使うのはthickの方です。この分野は政府などの公的機関からの補助金や有利な料金設定、そして再生エネルギーの部分的強制などという特別な法的条件によってどんどん大きくその需要を伸ばしていきました。さすがに過去二年の経済的な逆風はこの分野の急成長に急ブレーキをかけましたが、それでも経済の回復とともに、太陽光電池への需要は今後も増加傾向が続くと予想されています。特に落ち込んでいた欧州はまだ回復には時間がかかるかもしれませんが、日本はいち早く回復傾向にあります。

この分野の最大の懸念はやはり補助金とクリーンエネルギー政策に頼っているところが非常に大きいということ。そして特に中国で2011年までの成長期における明らかに大きすぎる投資とそれによる在庫過剰状態が今度足を引っ張るという見方もあります。今度の各国政府の太陽光を始めとするクリーンエネルギーへの政策がとても大切なのがこの分野です。ちなみに太陽光パネルに使われるシルバーのペーストは日本のメーカーが得意をする技術でもあり、韓国の精錬会社 から大量のシルバーインゴットを輸入し、それをシルバーペーストに加工して、また韓国に輸出してサムソンやLGなどに販売するというようなルートができて いるようです。日本の技術はまだまだ韓国に負けているわけではないのですね。

その他、シルバーの需要には銀食器、宝飾、コインなどそのままの形で加工されるものがあります。また最近ではナノ・シルバーと呼ばれ、微細な粒子をその 抗菌作用を利用して医療用品やグラスや文房具、公園の遊具、そして材木の保存のための薬品などいろいろな分野に使われつつあります。これらはまだまだ今後の分野ではありますが、シルバーというのは常に新たな利用法が出てくるメタルです。ゴールドやプラチナと比べると圧倒的に安く、(それでも非鉄金属と比べ ると圧倒的に高いのですが)ゴールドを上回るようなその科学的に優れた性質がそうさせるのでしょう。

以上

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池水雄一氏は、貴金属ディーリングの世界でも第一人者。上智大学を卒業後、住友商事、クレディ・スイス、三井物産、スタンダードバンクと貴金属ディーリングに一貫して従事し、現在はスタンダードバンク東京支店長。Oval Next Corp.サイトで市場分析ブルース(池水氏のディーラー名)レポートも掲載。

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