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「とまらない円建てメタルの上昇、ゴールドプラチナ5000円時代到来か?」

スタンダードバンク東京支店長の池水雄一氏が、「池水雄一のゴールドディーリングのすべて2」で、今週5000円台にのった金とプラチナ価格の相場解説をしています。

円建てメタルの上昇の勢いがとまりません。2月に入りとうとうプラチナは5000円を大きく越え、ゴールドも5000円目前まで来ました。これはひとえに70円台からの為替の急激な円安への戻りが原因と言えます。昨年2011年半ばは80円を割り込み70円台での推移が続いていましたが、12月の総選挙が 近づき、政権交代が確実化してくるにしたがって、円高からの巻き戻しが始まり、10月からじわじわ上げ始め、これまで越えることのできなかった80円を抜けるとそれからは戻りらしい戻りのほとんどない、一直線の円安の動きになり、2月一週には93円までの円安になっており、四ヶ月でなんと15円も円安が進んだことになります。

これにより円建ての金価格は4400円から5000円までほぼ600円の上げとなりました。この間ドル建てのゴールドはというと1770ドルから 1670ドルへ逆に100ドル下落しています。どれだけ円安の影響が大きいかよくわかると思います。2月4日の夜には東工取でゴールドが初めて5000円 を越えました。

(1 year チャート:円建てゴールド、ドル建てゴールド、ドル円)

・円安はまだまだ続きそうな気配です。この動きが2007年の124円から2012年の75円への4年間に及ぶ大きなドル円の流れの巻き返しだと考えれば まだまだ始まったばかりだと考えることができます。だとすれば今後数年かけて100円・110円はては120円まで戻してもまったく不思議ではありませ ん。

(ドル円週足チャート2003-現在)

・一方ドル建て金価格はドル円の戻りが始まった昨年10月の1770ドルから1670ドルへ100ドル下がりましたが、逆に15円ものドル高の動きと比べ るととても緩やかな下げにとどまっています。本来ならば15円も動くと300-400ドルくらいドル建てが下がってもおかしくありません。そういう意味で はドル建てゴールドはとてもしっかりしているという印象を持ちます。ドル建てのゴールドを支えているのはやはり米国の金融緩和政策が依然として有効である ということ。そしてファンダメンタル的には1650ドル近辺では中国、東南アジアといった国々の実需買いが活発に入っています。今年に入ってからゴールドは1650-1700ドルのレンジを破れずにいますが、下値を支えているのはこういった実需の買いで、上値を抑えているのはドルの強さであるといえるで しょう。

(1 year chart ドル建てゴールド)

・プラチナに目を向けてみると、ゴールドが100ドル下がった期間にプラチナは160ドル上昇しました。Amplatsのプラチナ生産リストラによる供給の減少がそのままマーケットの反映されての上昇となりました。南アの鉱山労使問題は今後も常に存在する危機として認識されてることになります。また Amplatsの決算発表によると昨年の生産は6%減少、キャッシュコストは21%も増加しており、プラチナ生産を巡る状況は非常に厳しいと言えます。下値は限られ上値は今後の南ア情勢、自動車販売の伸びで大きく跳ねる可能性も秘めていると思われます。

・このドル建て相場の堅調さ(ゴールド)、強含み(プラチナ)と円安の流れがまだまだ続くと考えると円建てのメタルはまだまだ上昇の可能性があると考えられるでしょう。プラチナは6000円、ゴールドは5500円程度までの上昇が長期的にはありえるのではないかと思います。もちろん、それもこれもすべては ドル円次第ということなのですが。あまりに一方的に上がってきただけに、どこかで調整が入るのではと思うのですが、これまではごく短期的な調整ですぐに上昇というパターンが続いています。Dipを待っている投資家にほとんどdipが来ないまま上がっています。どこかで一度大きな反落が欲しいところなのですが。

当然のことながらほかの貴金属であるシルバーとパラジウムも、ゴールド、プラチナと同様に円建てでは強含みが期待されます。シルバーは基本的にゴールドと同じ動き、パラジウムは実は一番大きく上がる可能性を秘めています。それに関してはまた別途書くことにします。大きな流れには身をまかせましょう。まさ にbuy and forget(相当長くforget!)が一番よい相場となるのではないでしょうか。

(プラチナ東工取円建て価格と取り組み高)

以上

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池水雄一氏は、貴金属ディーリングの世界でも第一人者。上智大学を卒業後、住友商事、クレディ・スイス、三井物産、スタンダードバンクと貴金属ディーリングに一貫して従事し、現在はスタンダードバンク東京支店長。Oval Next Corp.サイトで市場分析ブルース(池水氏のディーラー名)レポートも掲載。

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